ライフ

本当にあった感動の猫話、猫カフェ店主の人生を変えた「兄貴猫」

「猫カフェ 猫家」の看板猫として7年間勤務した天太(写真提供/猫カフェ 猫家)

 猫を飼っている人の数だけ、愛猫との心温まるエピソードがあります。例えば、とある猫カフェの店主は、ある1匹の猫との出会いにより、人生が大きく変わったと言います。今回はそんな、本当にあった猫との珠玉の物語を紹介します。以下、店主の振り返りです。

 * * *
 その猫の名は「天太」。今年の6月、眠るように天国へ旅立ちました──。天太は私の飼い猫ではありませんでした。しかし、私の人生において彼との出会いは大きく、亡くなって4か月経った今でも、ふとした瞬間に涙がこぼれてしまいます。

 あれは今から14年前のこと。当時、私は会社に勤めていました。

 ある日、部下から、「猫を飼うのですが、ブリーダーの家が遠いので一緒に来てもらえませんか」と、相談を受けたんです。車で約1時間半。私は部下と一緒にブリーダーのお宅へ行き1匹の猫と出会いました。それが天太です。

 初めて抱かせてもらった時の天太の温かさ、柔らかい毛の感触は、仕事で疲れていた私の心を幸せな気持ちでいっぱいにしてくれました。

 その後も天太のことが気になり、ちょこちょこ会わせてもらっていました。しかし、さすがに部下の家を頻繁に訪れるわけにもいかず…。どうしたものかと悩んでいました。

◆面倒見のよい“兄貴猫”天太。きっと今も見守ってくれているはず

 天太に会いたくても、ままならない日々の中で私は、自分のように猫は飼えないけれど、猫に会いたい人は、たくさんいるんじゃないかと思ったんです。ちょうどその頃、世の中に“猫カフェ”が登場。私は思い切って脱サラし、猫カフェを開くことにしました。

 そして2008年9月、念願の店をオープン。天太もメンバーに加わってくれました。

 天太は人懐っこく、他の新入り子猫に顔を叩かれても抵抗しないようなやさしい子でした。面倒見もよく、自然と猫カフェの兄貴分的な存在に。2m近い高さを軽々とジャンプする姿もかっこよく、猫カフェの“看板猫”として人気者になりました。

 天太が癒したのはお客様だけではありません。経営が厳しい時、愚痴をこぼす私の手を舐め、そばに寄り添ってくれるのです。それはまるで「頑張ろうぜ」と、慰めてくれているようでした。

 天太は、カフェの大黒柱として7年も働いてくれましたが、その頃から少しずつ体調のすぐれない日が続くように。

 天太の命を蝕んだのは、悪性リンパ腫、肝臓がん、腎臓がんでした。

 そして3年の闘病後、自宅で静かに息を引き取りました。死の3か月前の彼の誕生日には、店でお祝いをしたので、こんなに急にお別れになるとは思ってもみませんでした。

 今でも天太がよく寝ていた場所に目を向けてしまいます。姿は見えないけれど、きっとそこからみんなの様子を見ているような気がするんです。

 天太と出会えたおかげで私は第2の人生を歩むことができました。天太との出会いに心から感謝しています。

※女性セブン2018年10月25日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

サントリー新浪剛史会長が辞任したことを発表した(時事通信フォト)
《総スカン》違法薬物疑惑で新浪剛史サントリー元会長が辞任 これまでの言動に容赦ない声「45歳定年制とか、労働者を苦しめる発言ばかり」「生活のあらゆるとこにでしゃばりまくっていた」
NEWSポストセブン
「第42回全国高校生の手話によるスピーチコンテスト」に出席された佳子さま(時事通信フォト)
《ヘビロテする赤ワンピ》佳子さまファッションに「国産メーカーの売り上げに貢献しています」専門家が指摘
NEWSポストセブン
王子から被害を受けたジュフリー氏、若き日のアンドルー王子(時事通信フォト)
《エプスタイン事件の“悪魔の館”内部写真が公開》「官能的な芸術品が壁にびっしり」「一室が歯科医院に改造されていた」10代少女らが被害に遭った異様な被害現場
NEWSポストセブン
香港の魔窟・九龍城砦のリアルな実態とは…?
《香港の魔窟・九龍城砦に住んだ日本人》アヘン密売、老いた売春婦、違法賭博…無法地帯の“ヤバい実態”とは「でも医療は充実、“ブラックジャック”がいっぱいいた」
NEWSポストセブン
初の海外公務を行う予定の愛子さま(写真/共同通信社 )
愛子さま、インスタに投稿されたプライベート感の強い海水浴写真に注目集まる “いいね”は52万件以上 日赤での勤務をおろそかにすることなく公務に邁進
女性セブン
岐路に立たされている田久保眞紀・伊東市長(共同通信)
“田久保派”の元静岡県知事選候補者が証言する “あわや学歴詐称エピソード”「私も〈大卒〉と勝手に書かれた。それくらいアバウト」《伊東市長・学歴詐称疑惑》
NEWSポストセブン
2021年に裁判資料として公開されたアンドルー王子、ヴァージニア・ジュフリー氏の写真(時事通信フォト)
「少女を島に引き入れ売春斡旋した」悪名高い“ロリータ・エクスプレス”にトランプ大統領は乗ったのか《エプスタイン事件の被害者らが「独自の顧客リスト」作成を宣言》
NEWSポストセブン
東京地裁
“史上最悪の少年犯罪”「女子高生コンクリート詰め事件」逮捕されたカズキ(仮名)が語った信じがたい凌辱行為の全容「女性は恐怖のあまり、殴られるままだった」
NEWSポストセブン
「高級老人ホーム」に入居したある70代・富裕層男性の末路とは…(写真/イメージマート)
【1500万円が戻ってこない…】「高級老人ホーム」に入居したある70代・富裕層男性の末路「経歴自慢をする人々に囲まれ、次第に疲弊して…」
NEWSポストセブン
橋幸夫さんが亡くなった(時事通信フォト)
《「御三家」橋幸夫さん逝去》最後まで愛した荒川区東尾久…体調不良に悩まされながらも参加続けていた“故郷のお祭り”
NEWSポストセブン
麻原が「空中浮揚」したとする写真(公安調査庁「内外情勢の回顧と展望」より)
《ホーリーネームは「ヤソーダラー」》オウム真理教・麻原彰晃の妻、「アレフから送金された資金を管理」と公安が認定 アレフの拠点には「麻原の写真」や教材が多数保管
NEWSポストセブン
”辞めるのやめた”宣言の裏にはある女性支援者の存在があった(共同通信)
「(市議会解散)あれは彼女のシナリオどおりです」伊東市“田久保市長派”の女性実業家が明かす田久保市長の“思惑”「市長に『いま辞めないで』と言ったのは私」
NEWSポストセブン