ライフ

自分も認知症になるのでは…と認知症検査受診、その中身と費用

54才記者、認知症検査を受けてみた(イラスト/なとみみわ)

 認知症の母親(83才)の介護にあたる54才のN記者(女性)。自分もそのうち認知症になるのではないか…と、認知症検査を受けることを決意した。

 * * *
「きっと私も認知症になるだろう」と若い頃から思っている。50代に入ってから頭の中に霧がかかるような妙な違和感を覚え始めたのだが、“頭に霧…”というのは母が認知症診断を受けた頃、盛んに言っていたキーワードなのだ。

 もちろんもの忘れもひどい。いつか仕事で大失敗をするような恐怖感にも苛まれた。更年期症状かとも思ったが、どうしても自分の脳が気になる。

 まだ決定的な支障はないからMCIと呼ばれる認知症予備軍かも。そうに違いないと思ったとき、不安はなかった。認知症でもうまく生き抜いている母を見ているし、たくさんの専門医の先生がたに、勇気づけられる取材をしている。

 白黒つけて前へ進もう。記者としての興味も胸に秘め、前のめりに臨んだ。“認知症・MCIが気になる人のための”という専門クリニックを選んだ。費用は、健康保険の3割負担で1万4000円弱だった。

 1回目の来院では学歴や職歴、既往歴などの予診、身長体重、血圧などの体の検査、長谷川式、MMSEなどの認知機能テスト、心理テスト、血液検査、MRI検査。

 2回目には検査の結果。脳の萎縮や出血はなし。長谷川式は満点だったが、ほかのテストでMCIの疑いが残り、ウエクスラー検査と呼ばれる難しい記憶検査を行った。図形、言葉、数字、物語などのテストがあり、面白いようにできるものと、頭が真っ白になって答えられないものが顕著だった。

 3回目、結果告知。結論は「認知症ではない。とても濃いグレーだがMCIとも言えない」。記憶力が非常によく、それに対して集中・注意力がかなり低く、その落差のために抑うつ気味。

 注意力の低さが生来のものか、原因のある機能低下か、経過観察をした方がいいとのことだった。集中力の低さは実感していた通り。もの忘れがひどいのは記憶力に任せてやみくもに記憶し、収集がつかない状態か…というのは自己分析。

 頭の中の違和感として感じたときは得体のしれない恐怖だったが、脳の画像を見ながら客観的に指摘されると、年齢なりに古びて衰えた自分と対峙したような、がっかり半分、安堵半分。

 母も79才のときに同じ経験をした。認知症が進行しつつも、腹をくくっているように見える母の心境を垣間見たようで、認知症や人の脳が少し身近に感じられるようになった。

 医師によると、40、50代で私と似たような悩みや疑問を抱えて検査に来る人は少なくない。ある50代女性は、母ものんでいる認知症薬を処方され、頭がスッキリとして改善されたという話も聞いた。

 この経験を認知症診療の第一人者、東京慈恵会医科大学教授の繁田雅弘さんに話すと、「検査もよいけれど、50代に私がすすめるのは、いつか認知症になっても続けられることを探し、始めること。趣味でも勉強でもいい」と、助言してくださった。

※女性セブン2018年10月25日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

中核派の“ジャンヌ・ダルク”とも言われるニノミヤさん(仮称)の壮絶な半生を取材した
高校時代にレイプ被害で自主退学に追い込まれ…過去の交際男性から「顔は好きじゃない」中核派“謎の美女”が明かす人生の転換点
NEWSポストセブン
スカイツリーが見える猿江恩賜公園は1932年開園。花見の名所として知られ、犬の散歩やウォーキングに訪れる周辺住民も多い(写真提供/イメージマート)
《中国の一部では夏の味覚の高級食材》夜の公園で遭遇したセミの幼虫を大量採取する人たち 条例違反だと伝えると「日本語わからない」「ここは公園、みんなの物」
NEWSポストセブン
白石隆浩死刑囚
《死刑執行》座間9人殺害の白石死刑囚が語っていた「殺害せずに解放した女性」のこと 判断基準にしていたのは「金を得るための恐怖のフローチャート」
NEWSポストセブン
手を繋いでレッドカーペットを歩いた大谷と真美子さん(時事通信)
《「ダサい」と言われた過去も》大谷翔平がレッドカーペットでイジられた“ファッションセンスの向上”「真美子さんが君をアップグレードしてくれたんだね」
NEWSポストセブン
ゆっくりとベビーカーを押す小室さん(2025年5月)
《小室圭さんの赤ちゃん片手抱っこが話題》眞子さんとの第1子は“生後3か月未満”か 生育環境で身についたイクメンの極意「できるほうがやればいい」
NEWSポストセブン
『国宝』に出演する横浜流星(左)と吉沢亮
大ヒット映画『国宝』、劇中の濃密な描写は実在する? 隠し子、名跡継承、借金…もっと面白く楽しむための歌舞伎“元ネタ”事件簿
週刊ポスト
中核派の“ジャンヌ・ダルク”とも言われるニノミヤさん(仮称)の壮絶な半生を取材した
【独占インタビュー】お嬢様学校出身、同性愛、整形400万円…過激デモに出没する中核派“謎の美女”ニノミヤさん(21)が明かす半生「若い女性を虐げる社会を変えるには政治しかない」
NEWSポストセブン
山本アナ
「一石を投じたな…」参政党の“日本人ファースト”に対するTBS・山本恵里伽アナの発言はなぜ炎上したのか【フィフィ氏が指摘】
NEWSポストセブン
今年の夏ドラマは嵐のメンバーの主演作が揃っている
《嵐の夏がやってきた!》相葉雅紀、櫻井翔、松本潤の主演ドラマがスタート ラストスパートと言わんばかりに精力的に活動する嵐のメンバーたち、後輩との絡みも積極的に
女性セブン
白石隆浩死刑囚
《女性を家に連れ込むのが得意》座間9人殺害・白石死刑囚が明かしていた「金を奪って強引な性行為をしてから殺害」のスリル…あまりにも身勝手な主張【死刑執行】
NEWSポストセブン
ベビーシッターに加えてチャイルドマインダーの資格も取得(横澤夏子公式インスタグラムより)
芸人・横澤夏子の「婚活」で学んだ“ママの人間関係構築術”「スーパー&パークを話のタネに」「LINE IDは減るもんじゃない」
NEWSポストセブン
LINEヤフー現役社員の木村絵里子さん
LINEヤフー現役社員がグラビア挑戦で美しいカラダを披露「上司や同僚も応援してくれています」
NEWSポストセブン