芸能

笑福亭たま 桂米朝しかやらない大ネタでブレイクの兆し

笑福亭たまの魅力とは

 音楽誌『BURRN!』編集長の広瀬和生氏は、1970年代からの落語ファンで、ほぼ毎日ナマの高座に接している。広瀬氏の週刊ポスト連載「落語の目利き」より、上方落語の笑福亭たまの、ブレイクの兆しについてお届けする。

 * * *
 上方の若手爆笑派、笑福亭たま。早くから積極的に東京に進出、パワフルな芸風で人気だ。8月23日、彼が隔月開催する「笑福亭たま日本橋劇場独演会」に出掛けた。前回は「芸歴20周年」をサブタイトルに掲げていたが、今回は「花形演芸会大賞受賞記念」としてある。

 たまの1席目は『近日息子』。三代目桂三木助が東京に持ってきた噺だが、もちろん元は上方落語。バカ息子が父親の葬式の準備を始めたのを見て町内の連中があれこれ噂をする場面での「いつも言い間違いをする男」のくだりは東京版にはないが、この脱線の可笑しさにこそ上方版『近日息子』の真髄がある。たまはここを重点的に描き、エピソードを膨らませて爆笑を呼ぶ。

 この日のゲストは落語芸術協会から2人。まずは瀧川鯉朝が『ペコとマリアとゆかいな仲間』。不二家のペコちゃん人形が喋る新作落語『街角のあの娘』の続編だ。

 続いてたまが演じたのは『土橋萬歳』。上方の大ネタだが、あまり聴けない珍しい演目だ。1991年の桂米朝の高座を収録したDVDの解説には「今は米朝しかやらない」と書かれており、その米朝にしても「滅多にやらない古風な噺」と言っていた。

 遊びが過ぎて離れに閉じ込められた大店の若旦那が、見張りの丁稚を言いくるめて逃げ出した。丁稚から行先を聞き出した番頭、若旦那を連れ戻そうとするが聞く耳を持たず、蹴倒されて追い返されてしまう。

 ひとしきり宴会に興じた若旦那が「河岸を変えよう」と芸妓・幇間を引き連れて出たところを追い剥ぎが襲う。追い剥ぎの正体は番頭で、なんとか諌めようという苦肉の策だったがそれも効かず、遂に番頭が若旦那を刺し殺すという事態に……。

関連キーワード

トピックス

NBAレイカーズの試合観戦に訪れた大谷翔平と真美子さん(AFP=時事)
《真美子夫人との誕生日デートが話題》大谷翔平が夫婦まるごと高い好感度を維持できるワケ「腕時計は8万円SEIKO」「誕生日プレゼントは実用性重視」  
NEWSポストセブン
被害者の村上隆一さんの自宅。死因は失血死だった
《売春させ、売り上げが落ちると制裁》宮城・柴田町男性殺害 被害者の長男の妻を頂点とした“売春・美人局グループ”の壮絶手口
NEWSポストセブン
元夫の親友と授かり再婚をした古閑美保(時事通信フォト)
女子ゴルフ・古閑美保が“元夫の親友”と授かり再婚 過去の路上ハグで“略奪愛”疑惑浮上するもきっぱり否定、けじめをつけた上で交際に発展
女性セブン
突然の「非常戒厳」は、国際社会にも衝撃を与えた
韓国・尹錫悦大統領の戒厳令は妻を守るためだったのか「占い師の囁きで大統領府移転を指示」「株価操作」「高級バッグ授受」…噴出する数々の疑惑
女性セブン
12月9日に亡くなった小倉智昭さん
小倉智昭さん、新たながんが見つかる度に口にしていた“初期対応”への後悔 「どうして膀胱を全部取るという選択をしなかったのか…」
女性セブン
六代目山口組の司忍組長。今年刊行された「山口組新報」では82歳の誕生日を祝う記事が掲載されていた
《山口組の「事始め式」》定番のカラオケで歌う曲は…平成最大の“ラブソング”を熱唱、昭和歌謡ばかりじゃないヤクザの「気になるセットリスト」
NEWSポストセブン
激痩せが心配されている高橋真麻(ブログより)
《元フジアナ・高橋真麻》「骨と皮だけ…」相次ぐ“激やせ報道”に所属事務所社長が回答「スーパー元気です」
NEWSポストセブン
無罪判決に涙を流した須藤早貴被告
《紀州のドン・ファン元妻に涙の無罪判決》「真摯に裁判を受けている感じがした」“米津玄師似”の男性裁判員が語った須藤早貴被告の印象 過去公判では被告を「質問攻め」
NEWSポストセブン
トンボをはじめとした生物分野への興味関心が強いそうだ(2023年9月、東京・港区。撮影/JMPA)
《倍率3倍を勝ち抜いた》悠仁さま「合格」の背景に“筑波チーム” 推薦書類を作成した校長も筑波大出身、筑附高に大学教員が続々
NEWSポストセブン
12月6日に急逝した中山美穂さん
《追悼》中山美穂さん、芸能界きっての酒豪だった 妹・中山忍と通っていた焼肉店店主は「健康に気を使われていて、野菜もまんべんなく召し上がっていた」
女性セブン
結婚披露宴での板野友美とヤクルト高橋奎二選手
板野友美&ヤクルト高橋奎二夫妻の結婚披露宴 村上宗隆選手や松本まりかなど豪華メンバーが大勢出席するも、AKB48“神7”は前田敦子のみ出席で再集結ならず
女性セブン
自宅で亡くなっているのが見つかった中山美穂さん
【入浴中の不慮の事故、沈黙守るワイルド恋人】中山美穂さん、最後の交際相手は「9歳年下」「大好きな音楽活動でわかりあえる」一緒に立つはずだったビルボード
NEWSポストセブン