10月8日に行われた出雲では、東洋大は青学大に12秒及ばず2位に終わった。相澤晃(3年)、西山和弥(2年)、山本修二(4年)というチームの主軸を1区から並べたが、2区の西山が区間6位とやや振るわなかった。

 ただ、4区終了時点で45秒差をつけられながらも、5区の今西駿介(3年)と6区の吉川洋次(2年)が連続区間賞で意地を見せるなど収穫もあり、展開次第では青学大と十分に渡り合えることを証明した。

 出雲終了時点での10000mのチーム上位10人の平均タイムを比較すると、青学大が28分59秒91、東洋大が29分02秒06。昨季は約15秒あったその差がわずか2秒ほどに縮まった。もちろん駅伝は持ちタイムだけで計れない面もあるが、一つの指標にはなる。

 前回の箱根のように東洋大が1区から主導権を握り、常に先手先手でレースを進めながらリードを広げることができれば、百戦錬磨の青学大でも焦りやミスを生じないとも限らない。チームスローガンにもある『怯まず前へ、その1秒をけずりだせ』の精神で、ここ4年間は明け渡している箱根での主役の座を奪い返したいところだ。

◆青学大が強すぎる?

 それでも箱根では、やはり「青学大優位」の構図が動きそうにない。

 2年ぶりに頂点に立った出雲では、1区で首位に立つと、最後までトップの座を一度も譲らずに快勝。後続に迫られても、終盤に突き放す個々のレース運びの巧みさも際立っていた。

 全長42.6kmを6区間でつなぐ出雲と、217.1 kmを2日間の10区間でつなぐ箱根は、同じ駅伝でも1人が走る距離やコースの特徴が大きく異なる。約20kmを走れる選手を10人そろえ、かつ急峻な山の上りや下りを担うスペシャリストも用意しなければならない箱根の難易度が高いのは想像しやすい。しかし、「スピード駅伝」とも言われる出雲も、選手にはスピードや勝負度胸といった箱根とは違った能力が求められ、そこで勝つためには別次元の難しさがある。

 それを熟知する青学大の原晋監督が、史上初となる2度目の学生駅伝3冠に向けて打ち出したのが、「出雲駅伝プロジェクト」だった。前回の箱根の2区で区間賞を獲得した主将の森田歩希(4年)、5000mで日本人学生最速タイム(13分37秒75)を持つ橋詰大慧(4年)、5月の関東インカレ10000mで日本人トップに入った鈴木塁人(3年)というチームの三本柱を軸に据えつつ、中距離種目を得意とする生方敦也(2年)やスピードが自慢の吉田圭太(2年)といった出雲の特性に合った選手を起用。吉田は4区で区間賞、生方も5区を区間2位と好走して期待に応え、アンカーに箱根5区経験者の竹石尚人(3年)を置いた采配も含め、出雲プロジェクトは見事に結実した。

 青学大は、学生長距離界随一と言っていい分厚い選手層を誇る。仮にBチームを作って箱根に出場したとしても、シード権ぐらいなら獲得できるのはないかと思わせるほどに層が厚い。その上で出雲で勝ったことが選手の自信を深め、チームはさらに勢いづくに違いない。それが「箱根も青学大優位」という根拠につながる。

 だが、それでは当たり前すぎてつまらない。他大学の奮起に期待する駅伝ファンも多く、「青学大が強すぎて盛り上がりに欠ける」といった声も耳にする。

 箱根本戦までは約1ヶ月半。その間、11月4日には全日本も行われ、青学大、東洋大、駒澤大が直接対決を繰り広げる。多数のスピードスターを擁する東海大も、故障者が戦線に復帰してくれば、優勝候補に名乗りを上げてくるに違いない。箱根では、どの大学が栄冠を手にするにしても、最後まで勝者が予想できない白熱したレースが展開されることを期待したい。

関連キーワード

関連記事

トピックス

垂秀夫・前駐中国大使が中国出身女性と“二重生活”を送っている現場をキャッチ(写真/共同通信社)
「対中強硬派」として知られる垂秀夫・前駐中国大使、秘かに中国出身女性のマンションに通う“二重生活”疑惑 母子と“もう一つの家族”を築く現場をキャッチ
週刊ポスト
子供の頃から羽生(右)を手本に滑っていたアメリカのイリア・マリニン(写真/アフロ)
《ミラノ・コルティナ五輪フィギュア男子》金メダル大本命“4回転の神”イリア・マリニンは「ゆづファン」 衣装やフィニッシュポーズを真似したことも 
女性セブン
2021年に裁判資料として公開されたアンドルー王子、ヴァージニア・ジュフリー氏の写真(時事通信フォト)
「横たわる少女の横で四つん這いに…」アンドリュー元王子、衝撃画像が公開に…エプスタインと夫婦でズブズブで「英王室から追放しろ」 
NEWSポストセブン
しきりに高市内閣の“側近”であることをアピールした萩生田光一氏
【衆院選注目選挙区ルポ・東京24区】公明党の地盤が固い八王子 自民・萩生田光一氏は政権幹部を動員して“高市首相の側近”アピール 最大のライバルは中道の新人・細貝悠氏
週刊ポスト
「ヤンキー先生」として注目を集めた元文部科学副大臣の義家弘介氏(EPA=時事)
《変わり果てた姿になった「ヤンキー先生」》元文科副大臣・義家弘介氏、政界引退から1年で一体何が…衝撃の現在
NEWSポストセブン
福岡11区で立候補した武田良太・元総務相(左)
【衆院選注目選挙区ルポ・福岡11区】自民と維新が与党対決 裏金問題で前回落選の武田良太・元総務相、公明票つなぎ止めに難航 総裁選では“石破支持”だったが、なりふり構わぬ“高市頼み”の状況
週刊ポスト
皮膚科の医師だった佐藤容疑者
収賄容疑で逮捕された東大教授の接待現場 “普段は仏頂面”な医学界の権威が見せた二面性「年甲斐もない異様なはしゃぎ方」
女性セブン
「大谷ファミリー」の活動指針が徐々に明らかになりつつある
《家族でハワイに行ける成長ぶり》大谷翔平が長女をインスタに掲載する「価値観の変化」…真美子さんは「教育分野に興味」
NEWSポストセブン
被害を受けたジュフリー氏とエプスタイン元被告(時事通信フォト)
「13歳で拉致され、男たち3人に襲われた」「島から脱出する条件はあられもない姿を撮らせること」被害女性が必死に訴えていた“黙殺された証言”【エプスタイン文書300万ページ新たに公開】
NEWSポストセブン
六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)
《司忍組長、84歳の誕生日会に密着》胡蝶蘭、鯛、枡酒にコンパニオンが大挙 警察、メディアが関心を寄せる「山口組重要文書」の存在
NEWSポストセブン
晩餐会での“少女漫画のようなエスコート”動画が話題に(提供:soya0801_mlb)
《独占入手》妻・真美子さんの手を優しく取って…大谷翔平、晩餐会での“少女漫画のようなエスコート”動画が話題に ファンに伝えた「ありがとう」
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! スクープ!前駐中国大使が「中国女性と親密」ほか
「週刊ポスト」本日発売! スクープ!前駐中国大使が「中国女性と親密」ほか
NEWSポストセブン