スポーツ

2019年の箱根駅伝 青学大の5連覇を阻止するならどの大学か

箱根駅伝予選会は駒澤大がトップ通過(時事通信フォト)

「東京箱根間往復大学駅伝競争」、いわゆる箱根駅伝は、テレビやラジオ中継を通じていまや日本中が注目するスポーツイベントだ。その出場権がかかった予選会が行われ、シード校とあわせた全出場チームが決まった。しからない指導で知られる原晋監督のもと、2015年から優勝を続けている青山学院大学は連覇の記録を伸ばすのか、阻止するとしたら、どのライバルなのか。陸上競技を長く取材する、ライターの小野哲史氏が分析する。

 * * *
 10月13日に箱根駅伝の予選会が行われ、上位11校が本戦の出場権を獲得した。全23チームで争われる来年1月2、3日の本戦では、王者・青山学院大が連覇記録を歴代2位タイとなる「5」に伸ばすのか、ライバル校がそれを阻止するのか。

 予選会突破校の中で注目したいのは、他校を寄せつけずに圧勝し、堂々のトップ通過を果たした駒澤大だ。箱根では2002~2005年の4連覇を含め、6度も頂点に立ち、黄金時代を築いた。しかし、2008年を最後に近年は優勝から遠ざかり、前々回は9位。前回はまさかの12位に沈み、9年ぶりにシード権を失っていた。

 前回までの20kmからハーフマラソン(21.0975km)に距離が延長された予選会で、駒澤大はエースの片西景(4年)が1時間1分50秒の好タイム。他のメンバーも力走し、全員が1時間4分以内でゴールした。総合タイムで実質的な大会新記録をたたき出し、「平成の常勝軍団」は名門復活を印象づけた。

 名将・大八木弘明監督も「久しぶりの予選会で少し緊張したけれど、選手たちが自分たちの力以上のものを出してくれた」と、ご満悦の様子だった。

 予選会当日の気象条件に恵まれたという点を差し引いても、今季の駒澤大の強さには“本物感”が漂う。出雲、全日本、箱根とこなす例年なら、出雲後に全日本仕様、そして箱根仕様へと、長い距離を走るためにシフトチェンジしながらトレーニングを段階的に切り替えていく。だが、今年度の駒澤大は出雲に出られず、予選会に回ることになったため、例年より早く20kmを走れる土台ができ上がった。もちろん、本戦に向けては細やかな調整が欠かせないが、青学大をはじめとしたシード校にはないアドバンテージを得たという見方もできるだろう。

◆東洋大監督「青学大の連覇を阻止しないと」

 箱根本戦に出場する全チームを見渡すなら、絶対王者・青学大の対抗馬として東洋大を一番手に挙げたい。

 東洋大のここ10シーズンをひも解くと、出雲駅伝(出雲全日本大学選抜駅伝競走)と全日本大学駅伝(秩父宮賜杯 全日本大学駅伝対校選手権大会)を制したのはそれぞれ1回ずつにもかかわらず、箱根となると2009年の初制覇など優勝4回。2位は5回、3位も1回と、ほぼ毎回のように優勝争いに絡み、100%の確率で表彰台に上っている。箱根での安定感は抜群だ。1、2年生が7人も起用されるフレッシュな顔ぶれで臨んだ前回も、青学大に競り勝って往路を制し、復路で逆転を許したものの、総合2位に食い込んだ。

 酒井俊幸監督は「箱根は青学大の連覇を阻止しないといけない」と語り、今季は例年以上に打倒・青学大に燃えている。チームを進化させるために、夏に6年ぶりとなるアメリカ合宿を行ったのも、並々ならぬ決意の表れだろう。

関連キーワード

関連記事

トピックス

高市早苗首相(時事通信フォト)
《日中外交で露呈》安倍元首相にあって高市首相になかったもの…親中派不在で盛り上がる自民党内「支持率はもっと上がる」
NEWSポストセブン
阿部なつき(C)Go Nagai/Dynamic Planning‐DMM
“令和の峰不二子”こと9頭身グラドル・阿部なつき「リアル・キューティーハニー」に挑戦の心境語る 「明るくて素直でポジティブなところと、お尻が小さめなところが似てるかも」
週刊ポスト
高市早苗首相の「台湾有事」発言以降、日中関係の悪化が止まらない(時事通信フォト)
「現地の中国人たちは冷めて見ている人がほとんど」日中関係に緊張高まるも…日本人駐在員が明かしたリアルな反応
NEWSポストセブン
大谷翔平が次のWBC出場へ 真美子さんの帰国は実現するのか(左・時事通信フォト)
《大谷翔平選手交えたLINEグループでやりとりも》真美子さん、産後対面できていないラガーマン兄は九州に…日本帰国のタイミングは
NEWSポストセブン
11月24日0時半ごろ、東京都足立区梅島の国道でひき逃げ事故が発生した(現場写真/読者提供)
【“分厚い黒ジャケット男” の映像入手】「AED持ってきて!」2人死亡・足立暴走男が犯行直前に見せた“奇妙な”行動
NEWSポストセブン
10月22日、殺人未遂の疑いで東京都練馬区の国家公務員・大津陽一郎容疑者(43)が逮捕された(時事通信フォト/共同通信)
《赤坂ライブハウス刺傷》「2~3日帰らないときもあったみたいだけど…」家族思いの妻子もち自衛官がなぜ”待ち伏せ犯行”…、親族が語る容疑者の人物像とは
NEWSポストセブン
ミセス・若井(左、Xより)との“通い愛”を報じられたNiziUのNINA(右、Instagramより)
《ミセス若井と“通い愛”》「嫌なことや、聞きたくないことも入ってきた」NiziU・NINAが涙ながらに吐露した“苦悩”、前向きに披露した「きっかけになったギター演奏」
NEWSポストセブン
「ラオ・シルク・レジデンス」を訪問された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月21日、撮影/横田紋子)
「華やかさと品の良さが絶妙」愛子さま、淡いラベンダーのワンピにピンクのボレロでフェミニンなコーデ
NEWSポストセブン
クマ被害で亡くなった笹崎勝巳さん(左・撮影/山口比佐夫、右・AFP=時事)
《笹崎勝巳レフェリー追悼》プロレス仲間たちと家族で送った葬儀「奥さんやお子さんも気丈に対応されていました」、クマ襲撃の現場となった温泉施設は営業再開
NEWSポストセブン
役者でタレントの山口良一さん
《笑福亭笑瓶さんらいなくなりリポーターが2人に激減》30年以上続く長寿番組『噂の!東京マガジン』存続危機を乗り越えた“楽屋会議”「全員でBSに行きましょう」
NEWSポストセブン
11月16日にチャリティーイベントを開催した前田健太投手(Instagramより)
《いろんな裏切りもありました…》前田健太投手の妻・早穂夫人が明かした「交渉に同席」、氷室京介、B’z松本孝弘の妻との華麗なる交友関係
NEWSポストセブン
イギリス出身のインフルエンサー、ボニー・ブルー(Instagramより)
《1日で1000人以上と関係を持った》金髪美女インフルエンサーが予告した過激ファンサービス… “唾液の入った大量の小瓶”を配るプランも【オーストラリアで抗議活動】
NEWSポストセブン