10月19日まで幕張メッセ(千葉市美浜区)で開かれていたITや家電の見本市「CEATEC(シーテック)ジャパン2018」。その会場でひときわ注目されていたのが、シャープが11月に世界で初めて発売する超高精細な「8K放送」に対応した大型テレビだ。「8Kの映像に皆さん驚くと思う」と自信を見せるシャープだが、本当に“買い”なのか。IT・家電ジャーナリストの安蔵靖志氏が指南する。
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シャープは来たる2018年12月1日にスタートする「新4K8K衛星放送」に対応するチューナーを内蔵する8K液晶テレビの「AQUOS 8K AX1」シリーズを発表した。
シャープはすでに2017年12月に70インチの8Kテレビを発売しており、今回のシリーズは第2弾となる。従来モデルは4Kコンテンツなどを8K映像に超解像化して見られるというものだったが、新モデルなら12月1日になれば「NHK BS 8K」チャンネルの8Kコンテンツを堪能できるようになる。
ラインアップは80インチの「8T-C80AX1」、70インチの「8T-C70AX1」、60インチの「8T-C60AX1」の3モデルだ。価格(予想実勢価格)は最上位の80インチモデルは約200万円前後とかなり高いが、70インチモデルは100万円前後、60インチモデルなら75万円前後にまで抑えられる。「夢のスーパーハイビジョン」がいよいよ家庭に……という期待感は大きい。
◆8Kテレビには4Kにはない魅力があるのか?
2011年12月に東芝が4Kテレビ「REGZA 55X3」を発売して以来、「フルハイビジョン」(1920×1080ピクセル)の4倍の解像度(3840×2160ピクセル)を持つ4Kテレビの普及が進み、今や小型テレビをのぞくほとんどのテレビが4Kテレビという状況だ。
しばらくは4Kコンテンツが全くない状況ではあったものの、フルHDと超解像化した4K映像でも画質に大きな違いが感じられることや、4Kテレビ自体の価格下落もあって普及が進んだ。
現在では「Netflix」や「Amazon Prime Video」、「4Kアクトビラ」など4K VOD(動画配信)サービスも増えており、「スカパー! 4K」や「ひかりTV 4K」などの4K放送サービスもある。さらには4K解像度のUltra HD Blu-rayも登場しており、見たいと思えば4Kコンテンツには事欠かない状況となっている。
では、8Kテレビには4Kテレビにはない魅力が果たしてあるのだろうか。
確かにコストパフォーマンス的にはまだ厳しいが、8Kテレビの圧倒的な解像度は、4Kにはない臨場感と没入感があると言い切れる。
SHV(スーパーハイビジョン)と呼んでいた時代から8Kに力を入れ続けているNHKが渾身の力で撮影したからか、8Kの映像の表現力は圧倒的だ。以前「3Dテレビ」が登場して普及しなかったが、8K映像の場合はまるで“裸眼3D映像”を見ているような立体感が感じられる。テレビの枠の内側にリアルな世界が広がっているような印象すら覚えるのだから不思議だ。
その臨場感、表現力は60インチでも十分に感じられるが、60インチなら4Kで十分という感じもしてしまう。70インチあたりが8Kテレビを十分に味わえるサイズの下限と考えてもいいのではないだろうか。