尊厳死宣言公正証書
書類作成の手数料は1万1000円。これに、作成する謄本の枚数などによってプラス数千円かかる。病気のため自宅や病院を離れられないという場合には、公証人が出張することもあるという。その場合、日当と交通費が別途かかる。弁護士などと相談し、あらかじめ文案を作成する場合には、弁護士費用も必要だ。
「すでに文案がある場合には、内容確認の翌日にできあがることもあります。ご本人と直接やり取りする場合には、公証役場に来ていただくか、難しければ電話やメール、ファクスで内容を詰めていきます。とはいえ、ほとんどの場合、基本的な内容は同じです」(同前)
別載した尊厳死宣言の文例にあるように、事前に内容について家族の了承を得たと記載する場合もあるが、作成時に立ち会う必要はないという。
比較的簡易な手続きで作成が可能な尊厳死宣言は、「公証人が直接見聞きした内容を公正証書にする」という「事実実験公正証書」にあたる。この場合の見聞きした内容とは、“本人の意思”と“判断能力”だ。
「本当に本人が尊厳死を望んでいるか、ということはしっかりと確認します。同時に、尊厳死というものの意味を理解できているかという判断能力も見ます。
エンディングノートなどの私文書だと、本当に判断能力があったのか、そもそも本人が書いたのかといった点で信頼性に疑問符がつくケースがある。医師が本人に確認しようにも、死期が近く意思表示できない状態だったら、確かめようもない。
その点、尊厳死宣言は間違いなく本人が望んだと公証人が証明するわけですから、一定の信頼がおける」(同前)