井上:尊敬されていたんですね。これは葬送の研究者がおっしゃっていたんですが、これからの世代はどんどん海外に出ていく、国際結婚も増える。そんな次世代が自分のルーツを思うとき、モニュメントとしての代々の家のお墓は残しておいた方がいいんだって。そういう角度からのお墓の考え方もあるなと思いましたね。
江上:家に縛られたくないというので、お墓の形態が変わってきているのに、次世代が国際化すると、逆にお墓があった方がいいというのも、ちょっと皮肉な感じがしますね。
井上:私個人は子供が私の遺骨をゆうパックで送り、永代供養墓に入れられることになっても全然かまわない。この本で取材にうかがった京都・東本願寺の大谷祖廟のように、信徒なら分骨でも全骨でも可というのもいいシステムだなと思いました。
江上:読者のかたは、取材に奔走した井上さんほど、まだ情報を持っていません。お墓をどうしようかと悩んでいる人は多いですから、この本を読んで選択肢を増やし、ここに下見に行ってみようとか、あそこの霊園で話を聞いてみようとか、そういうふうになるといいですね。これ、自分にあったお墓選びをする際のすごくいいガイドブックになりますよ。
井上:ありがとうございます。読者のかたがたが情報を増やすのに便利に使っていただけると、私もノンフィクションライター冥利に尽きます。
【Profile】
◆井上理津子(いのうえ・りつこ)/1955年奈良県生まれ。タウン誌記者を経てノンフィクションライターに。『葬送の仕事師たち』『親を送る』『さいごの色街 飛田』『夢の猫本屋ができるまで』など著書多数。
◆江上剛(えがみ・ごう)/1954年兵庫県生まれ。早稲田大学を卒業後、第一勧業(現みずほ)銀行に入行。1997年に発覚した第一勧銀の総会屋利益供与事件では、広報部次長として混乱収拾などに尽力。高杉良さんの小説『呪縛 金融腐蝕列島II』のモデルになる。在職中の2002年に『非情銀行』でデビュー。『ザ・ブラックカンパニー』『ラストチャンス 再生請負人』など著書多数。テレビやラジオでコメンテーターとしても活躍中。
【緊急祝報】
東京・三省堂書店有楽町店にて、井上理津子さんと江上剛さんのトーク&サイン会イベントが開催決定! 『いまどきの納骨堂 変わりゆく供養とお墓のカタチ』(小学館)と『一緒にお墓に入ろう』の発売を記念し11月7日(水曜日)19時より、東京交通会館3Fにある喫茶ジュンにて開催。お申し込み、お問い合わせは、三省堂書店有楽町店まで。たくさんの方のお越しをお待ちしています。
※女性セブン2018年11月8日号