日本ツアーのためポール・マッカートニー(76)が来日する直前、最高裁が“ビートルマニア”を悲しませる判決を下していた。
焦点となったのは1966年にビートルズが初来日した際に警視庁が撮影していた、「警備記録映像」。NPO法人が全面開示を求めて起こしていた裁判で、10月25日に最高裁が原告の訴えを退ける決定を下したのだ。裁判の原告である情報公開市民センター理事長の新海聡・弁護士が語る。
「日本武道館での3公演のうち、唯一テレビカメラが入らなかった最終日のコンサートの様子が収められていて、マニアにとっては超お宝。私も一ファンとして“見たい”という思いで情報公開を求めました」
映像には他に、メンバーが車で移動する道中などを収めているが、映っている人のプライバシーを理由に、開示は認められなかった。
しかし、同時期のテレビなどの映像資料でファンらの顔が映っているものはいくらでもあり「警察のものだけプライバシーに配慮して非公開という判断は不可解」(新海氏)という意見はもっともだ。そのため「公開できないのは、当局にとって“映ってはマズい人物”がいたからではないか」と訝る声もある。
ただ、前出・新海氏は、裁判のなかで警察関係者以外に、この“幻の映像”を見た人物がいることが明らかになったと証言する。
「2016年に公開されたドキュメンタリー映画に警視庁の映像が数秒間だけ使われている。裁判の証拠書類のなかには、映画制作にあたってフィルムの貸し出しを受けたコンサル会社名と担当社員の名前が記されている資料があったのです」