芸能

視聴率番組『ポツンと一軒家』、制作の掟と取材相手への敬意

番組の人気はうなぎのぼり。11日(日)には2時間半スペシャル(18:30〜)も放送される(写真提供/ABCテレビ)

 バラエティードキュメンタリー『ポツンと一軒家』(テレビ朝日系、毎週日曜夜7時58分~)がジワジワと注目を集めている。

 Google Earthの衛星写真から一軒家を探し出し、その家をひたすら目指す。奥深い山の中、スタッフを乗せた車が走る。ようやく見つけた家を遠巻きに見守ると、どうやら空き家ではなさそうだ…。思い切って声をかけると、返事があった! 出てきた住民に「なぜここに住んでいるのか」「どう暮らしているのか」などと話を聞き、その人の背景にあるドラマをあぶり出す──という内容だ。

 番組はこの10月からレギュラー放送が開始され、第1回の視聴率は、同時間帯で1位の14%を記録。以来、平均視聴率十数%をキープしている。番組プロデューサーの植田貴之さんに、ヒットの秘密と制作の苦労について聞いた。

「有名人の人生を振り返り、生きるヒントをもらう、『人生で大事なことは○○から学んだ』という番組を手がけていて、昨年秋に放送が終了しました。当時の打ち合わせの中で番組スタッフから、『有名人よりも、一般人から学ぶことの方が多いのでは?』という発言が。すると、放送作家さんが、『じゃあ、山道を車で走っていてたまに見る、ポツンと建っている一軒家には一体どんな人が住んでいるんだろう?』と思いついて、『とりあえず撮ってきて』と撮影スタッフを派遣したんです」

 カメラを回してみると、予想以上の“撮れ高”だった。

「本当に人が住んでいるかわからない山奥の家を訪問する様子は、『大丈夫かな、本当に家はあるのかな?』というドキドキ感があるし、住んでいるかたのお話は、『そうか…こういう理由で…』と必ず何らかのストーリーがある。社内での上映会も大盛り上がりで、これはイケると思いましたね」(植田さん)

 本当に一軒家が見つかるのか、住民はいるのか。そんなスリルを失わないため、事前の現地調査をまったく行わないのが番組のポリシーだ。衛星写真で人里離れた一軒家を見つけ、写真だけを頼りに、番組ディレクターが現地で一軒家を捜索する。聞き込みに何日もかかることもあり、人里離れた場所でのロケは困難を極める。植田さんが言う。

「山間の細い道を車で通るので、脱輪することもあるし、何よりロケは天候に左右される。大雪の日に山道を上っていたとき、方向感覚がわからなくなって、前に進んでいるはずなのに、同じ場所に戻って来てしまったこともありました。

 だけど、そんな逆境がチャンスに変わることもある。去年、長崎で大雪に見舞われて飛行機が欠航したので、『せっかくだからロケをしよう』と一軒家を探したら、その日に偶然、見つかったこともありました」

 山奥の個人宅を訪問し、一般の人にカメラを向けるため、番組スタッフは細心の注意を払って撮影する。

「基本的に現場に向かうのは最少人数。個人宅の訪問なので、服装や話し方は失礼にならないように気をつけています。時間帯にも注意します。自宅を訪問するのは日中だけで、日が暮れたら捜索は終了。取材を受けてくださる人を尊敬するという気持ちを、絶対に忘れないようにしています」(植田さん)

※女性セブン2018年11月22日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

遠野なぎこ(Instagramより)
《愛するネコは無事発見》遠野なぎこが明かしていた「冷房嫌い」 夏でもヒートテックで「眠っている間に脱水症状」も 【遺体の身元確認中】
NEWSポストセブン
ブラジルを公式訪問されている秋篠宮家の次女・佳子さま(2025年6月4日、撮影/JMPA)
「佳子さまは大学院で学位取得」とブラジル大手通信社が“学歴デマ報道”  宮内庁は「全報道への対応は困難。訂正は求めていません」と回答
NEWSポストセブン
米田
「元祖二刀流」の米田哲也氏が大谷翔平の打撃を「乗っているよな」と評す 缶チューハイ万引き逮捕後初告白で「巨人に移籍していれば投手本塁打数は歴代1位だった」と語る
NEWSポストセブン
花田優一が語った福田典子アナへの“熱い愛”
《福田典子アナへの“熱い愛”を直撃》花田優一が語った新恋人との生活と再婚の可能性「お互いのリズムで足並みを揃えながら、寄り添って進んでいこうと思います」
週刊ポスト
麻辣湯を中心とした中国発の飲食チェーン『楊國福』で撮影された動画が物議を醸している(HP/Instagramより)
〈まさかスープに入れてないよね、、、〉人気の麻辣湯店『楊國福』で「厨房の床で牛骨叩き割り」動画が拡散、店舗オーナーが語った実情「当日、料理長がいなくて」
NEWSポストセブン
生成AIを用いた佳子さまの動画が拡散されている(時事通信フォト)
「佳子さまの水着姿」「佳子さまダンス」…拡散する生成AI“ディープフェイク”に宮内庁は「必要に応じて警察庁を始めとする関係省庁等と対応を行う」
NEWSポストセブン
まだ重要な問題が残されている(中居正広氏/時事通信フォト)
中居正広氏と被害女性Aさんの“事案後のメール”に「フジ幹部B氏」が繰り返し登場する動かぬ証拠 「業務の延長線上」だったのか、残された最後の問題
週刊ポスト
50歳で「アンパンマン」を描き始めたやなせたかし氏(時事通信フォト)
《巨大なアンパンマン経済圏》累計市場規模は約6.6兆円…! スパイダーマンやバットマンより稼ぎ出す背景に「ミュージアム」の存在
NEWSポストセブン
保護者を裏切った森山勇二容疑者
盗撮逮捕教師“リーダー格”森山勇二容疑者在籍の小学校は名古屋市内で有数の「性教育推進校」だった 外部の団体に委託して『思春期セミナー』を開催
週刊ポスト
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《ブログが主な収入源…》女優・遠野なぎこ、レギュラー番組“全滅”で悩んでいた「金銭苦」、1週間前に公表した「診断結果」「薬の処方」
NEWSポストセブン
ホストクラブや風俗店、飲食店のネオン看板がひしめく新宿歌舞伎町(イメージ、時事通信フォト)
《「歌舞伎町弁護士」のもとにやって来た相談者は「女風」のセラピスト》3か月でホストを諦めた男性に声を掛けた「紫色の靴を履いた男」
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! 万引き逮捕の350勝投手が独占懺悔告白ほか
「週刊ポスト」本日発売! 万引き逮捕の350勝投手が独占懺悔告白ほか
NEWSポストセブン