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週末の新大久保駅がカオスと化すチーズドッグの異常人気

チーズドッグには砂糖入りココナツパウダーをまぶすのがお約束

 台風や事故などが原因で駅にキャパシティを超える人が集まってしまい、入場規制をかけることがある。2018年の夏からずっと毎週のように、土日休日になるとJR新大久保駅では入場規制が始まる。毎週、イベントがあるのではなく、大久保を訪れる人が多いからなのだ。

「まっすぐ歩くのも難しいんですよ」と話すのは、韓国料理を食べるため、友人と週末に新大久保を訪れた日本語教師のAさん(女性・40代)。

「近くの学校に勤めている友達から、最近の人出は普通じゃないと聞いていましたが、これほどとは思っていませんでした。駅のホームに降りてから改札を出て、明治通り方面へ向かって数百メートルのあいだ、ずーっと新宿駅の通勤ラッシュみたいな人混みなんです。通勤ラッシュと違うのは、みんなゆっくり歩いているから、なかなか前へ進めないこと。以前の韓流ブームのときよりも、今の方が道を歩きにくいです」

 歩きにくい理由は、キャパシティを超える多くの人が訪れていること以外に、数十メートルおきくらいにあるのではと思うほど乱立している韓国風チーズドッグ(ハッドグ)店舗にもある。チーズドッグを買うために行列をつくり、スマホで自撮りしながら買い食いする若者たちが歩道にあふれているのだ。あまりの混雑に、店舗によっては警備員を配置して「最後尾」のボードを持たせ、整列して道をあける努力をしているところもあるが、殺到する人をさばききれないのが実情だ。

 地元住民は「そろそろブームが落ち着いてほしい」という本音を漏らす。

「街がにぎわうのは嬉しいけれど、チーズドッグ目当てのお客さんには、あまりマナーがよくない人が目立ちます。そのあたりにゴミを捨てたり、表通りが混んでいるからと奥まった普通のマンションエントランスで座り込んで食べて、ゴミを置いていったり。貼り紙もしていますが、ゴミはなくならない」

 いったい、チーズドッグの何が、多くの人を引きつけるのか。

「チーズダッカルビもそうだったけど、いわゆるインスタ映えする食べ物ですよね。ワンコインと価格も気軽なので高校生くらいの若い子がたくさん並んでいました。興味はあったけど、行列してまでスナックを食べる気分にはならないので、目的の韓国料理店へまっすぐ行きました。BTSが『ミュージックステーション』出演を取りやめたすぐの週末だったから、ヘンな人に絡まれたくなくてみんな新大久保を避けるんじゃないかなんて友達と話していたんですけど、チーズドッグに並んでいる子たちには、全然、関係なかったみたいですね」(前出・Aさん)

 K-POPグループのBTS(防弾少年団)は、日本ツアーが始まる前の11月9日(金)に『ミュージックステーション』(テレビ朝日系)出演を予定していた。ところが、メンバーの一人が過去に着ていたTシャツが、原爆投下直後のキノコ雲をデザインしたものだったため批判を浴びてもいた。そして、このTシャツ着用問題を協議した結果として、8日になって出演見送りが発表された。こういった注目を集める問題が起きると、とくにその有名人に興味がなくても、持論を強く主張したい人たちが押しかけてくることがある。だから面倒に遭わないように、多くの人が新大久保駅を避けるのではと大人は予想していたのだが、若者たちには関係のないことだったらしい。

「ニュースを見ていないのかもしれないし、理屈よりも、自分たちの感性を信じているんでしょうね。韓国コスメのお店は、若い女の子たちでいっぱいでしたし。だからといって、この混雑はひどい。帰りは新大久保駅を利用するのをあきらめて、地下鉄の東新宿から帰りました」(前出・Aさん)

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