国際情報

佐藤優×さいとう・たかを プーチン大統領を怖いと感じる訳

『ゴルゴ13』について語り合った佐藤優氏(左)と、さいとう・たかを氏

 元外務省主任分析官の佐藤優氏と、『ゴルゴ13』の作者さいとう・たかを氏が、「ゴルゴ(通称G)のインテリジェンス」を読み解く短期集中連載。第2回は、作品が長続きする秘密と、独裁的なリーダー2人の“本質”に迫る。

 * * *
佐藤:『ゴルゴ13』のスタートは(ビッグコミック)1969年新年号(1968年11月発行号)からなので、連載50年。改めてそのお仕事ぶりに感服いたします。

さいとう:われながらよく続いていると思いますよ(笑)。実は東西冷戦が終わった頃、散々、「これでゴルゴの仕事場がなくなりましたね」と言われたんです。私は、「何を言ってるんだ!」と反論しましたけどね。冷戦でがんじがらめになって、各国、身動きがとれなかった側面があるのに、その縛りがなくなってしまったことで、世界中、鍋が煮えた状態になってくるぞ、と。エネルギー問題、宗教問題……こういうものがドッと吹き出してくる。特に中東が危険だぞ、と私は言っていたけど、本当にそうなってしまった。世界の混乱が深まって、むしろ、ゴルゴの活躍の場が増えてしまったんです。

佐藤:慧眼ですね。たしかに世の中がいくら変わろうとも、 “人間の本質”は変わりません。

さいとう:まさにそういうことです。

佐藤:恨みもある。権力闘争もある。騙し合いもある。新自由主義経済の時代になって、各国の欲望がむき出しになった側面もあります。となれば争いごとは絶えない。ゴルゴの出番、というわけですね?

さいとう:そうです。皆さん、私がこういう劇画を描いているので、私が世界情勢に精通しているように思っているんですが、そういうことじゃないんです。私が描いているのは、「世界情勢」ではなく、「人間のドラマ」です。実際、世界の情勢というのは、隣近所の出来事となんら変わりがないと思っている。隣家との境界線のいざこざなんて、そこら中にあるでしょ? あれと国境線をめぐる争いは、根本的に違いがない。ただ、隣近所の出来事を描いても、作品としては面白くない。だから舞台を「世界」にしたというだけです。

佐藤:最近は、トランプ大統領のように、まるで漫画のようなリーダーも出てきています。彼なんか非常に人間くさいですね。

関連キーワード

関連記事

トピックス

隆盛する女性用ファンタジーマッサージの配信番組が企画されていたという(左はイメージ、右は東京秘密基地HPより)
グローバル動画配信サービスが「女性用ファンタジーマッサージ店」と進めていた「男性セラピストのオーディション番組」、出演した20代女性が語った“撮影現場”「有名女性タレントがマッサージを受け、男性の施術を評価して…」
NEWSポストセブン
『1億2千万人アンケート タミ様のお告げ』(TBS系)では関東特集が放送される(番組公式HPより)
《「もう“関東”に行ったのか…」の声も》バラエティの「関東特集」は番組打ち切りの“危険なサイン”? 「延命措置に過ぎない」とも言われる企画が作られる理由
NEWSポストセブン
海外SNSで大流行している“ニッキー・チャレンジ”(Instagramより)
【ピンヒールで危険な姿勢に…】海外SNSで大流行“ニッキー・チャレンジ”、生後2週間の赤ちゃんを巻き込んだインフルエンサーの動画に非難殺到
NEWSポストセブン
〈# まったく甘味のない10年〉〈# 送迎BBA〉加藤ローサの“ワンオペ育児”中もアップされ続けた元夫・松井大輔の“イケイケインスタ”
〈# まったく甘味のない10年〉〈# 送迎BBA〉加藤ローサの“ワンオペ育児”中もアップされ続けた元夫・松井大輔の“イケイケインスタ”
NEWSポストセブン
Benjamin パクチー(Xより)
「鎌倉でぷりぷりたんす」観光名所で胸部を露出するアイドルのSNSが物議…運営は「ファッションの認識」と説明、鎌倉市は「周囲へのご配慮をお願いいたします」
NEWSポストセブン
逮捕された谷本容疑者と、事件直前の無断欠勤の証拠メッセージ(左・共同通信)
「(首絞め前科の)言いワケも『そんなことしてない』って…」“神戸市つきまとい刺殺”谷本将志容疑者の“ナゾの虚言グセ”《11年間勤めた会社の社長が証言》
NEWSポストセブン
イギリス出身のインフルエンサーであるボニー・ブルー(本人のインスタグラムより)
“タダで行為できます”の海外インフルエンサー女性(26)が男性と「複数で絡み合って」…テレビ番組で過激シーン放送で物議《英・公共放送が制作》
NEWSポストセブン
ロス近郊アルカディアの豪
【FBIも捜査】乳幼児10人以上がみんな丸刈りにされ、スクワットを強制…子供22人が発見された「ロサンゼルスの豪邸」の“異様な実態”、代理出産利用し人身売買の疑いも
NEWSポストセブン
谷本容疑者の勤務先の社長(右・共同通信)
「面接で『(前科は)ありません』と……」「“虚偽の履歴書”だった」谷本将志容疑者の勤務先社長の怒り「夏季休暇後に連絡が取れなくなっていた」【神戸・24歳女性刺殺事件】
NEWSポストセブン
(写真/共同通信)
《神戸マンション刺殺》逮捕の“金髪メッシュ男”の危なすぎる正体、大手損害保険会社員・片山恵さん(24)の親族は「見当がまったくつかない」
NEWSポストセブン
愛用するサメリュック
《『ドッキリGP』で7か国語を披露》“ピュアすぎる”と話題の元フィギュア日本代表・高橋成美の過酷すぎる育成時代「ハードな筋トレで身長は低いまま、生理も26歳までこず」
NEWSポストセブン
野生のヒグマの恐怖を対峙したハンターが語った(左の写真はサンプルです)
「奴らは6発撃っても死なない」「猟犬もビクビクと震え上がった」クレームを入れる人が知らない“北海道のヒグマの恐ろしさ”《対峙したハンターが語る熊恐怖体験》
NEWSポストセブン