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2018.11.30 16:00  週刊ポスト

立川志らくにしか表現できないエンターテインメントの世界

 志らくは2006年、このシネマ落語『天国から~』を演劇化した『はなび』を「下町ダニーローズ」で上演、そこで生まれた「そいつは俺」という名台詞は以降のシネマ落語にも導入され、『天国から~』はさらに感動的な物語になった。ラストの再会シーンは、まさに胸キュン。

 美濃部伊三郎という主人公の独り語りで始まる『不幸の伊三郎』は2016年に初演、2017年に再演された一人芝居で、『不幸の家族』はこの物語の後日談に当たる。ストーリーが主人公の台詞だけで進行する「一人芝居」型なのはこれまでどおりだが、今回は終盤に立ち上がるまではずっと釈台を前に置いて座ったまま語り、より落語の形式に寄せていた。

『不幸の伊三郎』は、ある夏の日の美濃部家のドタバタをギャグ満載で描く、爆笑シチュエーションコメディ。ところがラストで伊三郎の独り語りに戻ると、一転して涙を誘う結末へ……。家族の幸せとは何か、愛とは何かを描いた名作だ。

 笑いと涙の創作落語二席。志らくにしか表現できないエンターテインメントの世界を堪能した。

●ひろせ・かずお/1960年生まれ。東京大学工学部卒。音楽誌『BURRN!』編集長。1970年代からの落語ファンで、ほぼ毎日ナマの高座に接している。『現代落語の基礎知識』『噺家のはなし』『噺は生きている』など著書多数。

※週刊ポスト2018年12月7日号

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