パート先の上司に「これから始めるにはいい仕事だと思うよ」とすすめられた主婦の真由さん(仮名・40代)も、50万円以上の受講料を振り込んで養成講座を受け始めてから、短大卒の自分は、修了してすぐに働けるわけではないと気がついた。
「割引を受けても50万円はする養成講座の授業料を、同級生の皆さんも払っています。だからといって、生活に余裕がある感じの人はあまりいません。受講前の説明でも『これからの仕事として有望です』『パート勤めするより収入がよくなりますよ』と良いことばかり言われたそうです。でも、就職できる条件に達することが出来る人は、ほとんどいません。半年かけて、何にもなれないなんて悔しいです」
そして真由さんは、女性向けの情報誌やインターネットで、日本語教師についての取り上げられ方も不誠実ではないかと訴える。
「主婦にぴったりの新しい資格、副業ですよと、いかにも素晴らしい仕事であるかのように見せているけれど、副業なんて生やさしいものではなかった。お金を払うのだから自分で詳しく調べるべきだ、自己責任だと言われるかもしれません。でも、事前説明をきちんとしない学校にも、責任があるのではないでしょうか」
日本語学校と聞くと、アルバイトに明け暮れる途上国からの留学生たちが疲労困憊しているイメージが強いだろう。だが実際には、留学生だけでなく、日本人も疲弊させられる世界が広がっている。
外国人労働者受け入れのために必要だからと、日本語学校と教員養成講座はますます増えるだろう。もちろん、真面目に教育に取り組んでいる学校もある。だが、急成長分野には、人材育成より利益ばかり求める参入者もやってくる。日本語学校のあり方は、外国人だけでなく、日本人にとっても見過ごせない問題になりつつある。