ビジネス

東急の司令長「鉄道ファンは鉄道会社就職できない説」を語る

撮り鉄でもあり模型鉄でもある東急の小川昌幸さん

 全国の鉄道ファンが一度は抱くであろう夢が「鉄道会社に就職すること」。子供の時から鉄道に親しみ、鉄道とともに育ってきたような熱心な鉄道ファンは「鉄道会社に就職しようとしても敬遠される」というのがファンの間では定説だが、東急電鉄に勤める小川昌幸さん(53)は、「撮り鉄」「模型鉄」「部品鉄」「乗り鉄」「飲み鉄」など多くのジャンルの趣味を持つ生粋の鉄道ファンだ。

 現在は運輸司令所の司令長という要職にあり、運行管理の責任者をしている小川さん。天災などで遅れが発生した時に、列車を運休にする、ダイヤを変更するといった判断をしたり、SNSなどで利用者に正確な運行情報を提供するのが主な仕事だが、鉄道趣味が仕事に役立つことがあるという。

「鉄道業界では、他社でも事故が発生すると国土交通省を通じてその情報が共有されます。『○○社の○○という場所でこんな事故がありました。東急でも同様のことが起きないように気をつけてください』ということです。多くの社員は、自分の会社の保安システムはよく理解していますが、他社のことは分からないケースもあります。そんな時に、“乗り鉄”や鉄道模型を通じて他社車両の構造などを知っている私に『説明してほしい』と声がかかるのです」(小川さん・以下同)

 社内でも、小川さんの“鉄分”の濃さは知られているという。そして司令長という立場で、保安のプロフェッショナルでもある。声がかかるのも当然だろう。

 小川さんは鉄道系の高校を卒業したため、同級生は鉄道マンばかり。同級生や趣味を通じて知り合った他社社員との繋がりもあり、飲み会が貴重な情報交換の場になることも。

「もちろん守秘義務に関わることは話しませんが、安全面に関する議論はかなり突っ込んですることもあります。安全は、我々の原則です。だから、どこか他社で事故が起きると、『この間の事故って、何で起きちゃったんだろう』『再発する要因はどこかにないだろうか?』『教育面ではどうか』などと深い議論になりますね」

 幼い頃から鉄道に親しみ、鉄道系の高校から鉄道会社に就職するという、マニアにとっては夢のような人生を歩んできた小川さん。“中の人”の立場から見ると、よく言われる「鉄道ファンは鉄道会社に入れない」という噂についてどのように思うのか?

関連記事

トピックス

球種構成に明らかな変化が(時事通信フォト)
大谷翔平の前半戦の投球「直球が6割超」で見えた“最強の進化”、しかしメジャーでは“フォーシームが決め球”の選手はおらず、組み立てを試行錯誤している段階か
週刊ポスト
参議院選挙に向けてある動きが起こっている(時事通信フォト)
《“参政党ブーム”で割れる歌舞伎町》「俺は彼らに賭けますよ」(ホスト)vs.「トー横の希望と参政党は真逆の存在」(トー横キッズ)取材で見えた若者のリアルな政治意識とは
NEWSポストセブン
ベビーシッターに加えてチャイルドマインダーの資格も取得(横澤夏子公式インスタグラムより)
芸人・横澤夏子の「婚活」で学んだ“ママの人間関係構築術”「スーパー&パークを話のタネに」「LINE IDは減るもんじゃない」
NEWSポストセブン
LINEヤフー現役社員の木村絵里子さん
LINEヤフー現役社員がグラビア挑戦で美しいカラダを披露「上司や同僚も応援してくれています」
NEWSポストセブン
モンゴル滞在を終えて帰国された雅子さま(撮影/JMPA)
雅子さま、戦後80年の“かつてないほどの公務の連続”で体調は極限に近い状態か 夏の3度の静養に愛子さまが同行、スケジュールは美智子さまへの配慮も 
女性セブン
場所前には苦悩も明かしていた新横綱・大の里
新横綱・大の里、場所前に明かしていた苦悩と覚悟 苦手の名古屋場所は「唯一無二の横綱」への起点場所となるか
週刊ポスト
医療的ケア児の娘を殺害した母親の公判が行われた(左はイメージ/Getty、右は福岡地裁)
24時間介護が必要な「医療的ケア児の娘」を殺害…無理心中を計った母親の“心の線”を切った「夫の何気ない言葉」【判決・執行猶予付き懲役3年】
NEWSポストセブン
近況について語った渡邊渚さん(撮影/西條彰仁)
渡邊渚さんが綴る自身の「健康状態」の変化 PTSD発症から2年が経ち「生きることを選択できるようになってきた」
NEWSポストセブン
昨年12月23日、福島県喜多方市の山間部にある民家にクマが出現した(写真はイメージです)
《またもクレーム殺到》「クマを殺すな」「クマがいる土地に人間が住んでるんだ!」ヒグマ駆除後に北海道の役場に電話相次ぐ…猟友会は「ヒグマの肉食化が進んでいる」と警鐘
NEWSポストセブン
レッドカーペットを彩った真美子さんのピアス(時事通信)
《価格は6万9300円》真美子さんがレッドカーペットで披露した“個性的なピアス”はLAデザイナーのハンドメイド品! セレクトショップ店員が驚きの声「どこで見つけてくれたのか…」【大谷翔平と手繋ぎ登壇】
NEWSポストセブン
竹内朋香さん(左)と山下市郎容疑者(左写真は飲食店紹介サイトより。現在は削除済み)
《浜松ガールズバー殺人》被害者・竹内朋香さん(27)の夫の慟哭「妻はとばっちりを受けただけ」「常連の客に自分の家族が殺されるなんて思うかよ」
週刊ポスト
真美子さん着用のピアスを製作したジュエリー工房の経営者が語った「驚きと喜び」
《真美子さん着用で話題》“個性的なピアス”を手がけたLAデザイナーの共同経営者が語った“驚きと興奮”「子どもの頃からドジャースファンで…」【大谷翔平と手繋ぎでレッドカーペット】
NEWSポストセブン