芸能

上沼恵美子への暴言を叱る先輩芸人たちの「深慮遠謀」に学ぶ

上沼恵美子はM-1審査員からの引退を表明した

 トラブルは期せず起きてしまうもの、おさめ方こそがその後の評価を分ける。大人力について日々研究するコラムニストの石原壮一郎氏が指摘する。

 * * *
「M‐1グランプリ2018」での上沼恵美子の審査っぷりは、例年どおりの辛らつさでインパクト抜群でした。ただ、視聴者にとっては楽しい審査でしたが、バッサリ斬られた芸人としてはたまったもんじゃありません。いろいろ思うところもあるでしょう。

 そんな流れの中、終了後の打ち上げで事件が起きてしまいます。昨年の王者「とろサーモン」の久保田かずのぶと、今年のファイナリスト「スーパーマラドーナ」の武智正剛が、酔っ払った状態でインスタグラムのライブ配信に登場。世界に向かって、上沼の審査姿勢を思いっ切り批判しました。

 久保田は「自分目線の、自分の感情だけで審査せんといてください」「おまえだよ、わかんだろ。右側のな、クソが!」と罵倒し、武智も「右のオバハンにはみんなうんざりすよ。(審査で)“嫌いです”と言われたら更年期障害か?って思いますよね」と悪態をつきます。たちまちネット上では批判の嵐が巻き起こり、勢いよく炎上してしまいました。お酒って、そしてSNSって怖いですね。

 ただまあ、酔いがさめた途端、ふたりとも自分が何をしでかしたかを自覚して、とり急ぎツイッターで謝罪。近いうちに上沼に会って直接謝罪したい意向も示しています。所属する吉本興業も上沼に謝罪しました。あとは当事者同士の問題です。外野が騒ぐのは大きなお世話。しょせんは仲間うちのアクシデントです。「更年期障害」という言葉を問題視したい人も多いようですが、そこをことさら責める話ではありません。

 うっかりライブ動画で流れてしまったから騒ぎになっていますが、上沼としては、辛口の審査に反発する芸人がいることは百も承知しているはず。酔ったお笑い芸人が芸に真剣であるが故の率直すぎる発言を根に持って、権力を使って叩き潰すような了見が狭いことはしないでしょう。もしそうしたとしたら、かなりガッカリです。

 しかし、世の中にはどうでもいい正義感を持て余していて、しかもヒマな人が多いようで、ネット上では久保田と武智に激しい批判が集まっています。他人の失敗が嬉しいのか、「これでもうあいつらはおしまいだ」という声もちらほら。みなさん、そんなに「一発レッドカード」の世の中をお望みなのでしょうか。本当これでふたりが干されてしまうなら、そんなお笑い界も世の中も、かなりガッカリです。

 無責任なヤジ馬の声はさておき、後輩が行儀の悪いことをしでかしたとなると、お笑い界の先輩たちとしては黙っているわけにはいきません。上沼とともに審査員を務めたオール巨人は、ブログで「つまらん本当に情けない話が」「しっかりした大人に成れって伝えました!」と、名前はあげないもののふたりに厳しく説教したことを匂わせました。

 博多大吉もラジオ番組の中で「またバカ後輩たちがやらかした」「僕史上、最大級の雷を落としますよ、あのふたりには」と宣言。司会の今田耕司も事務所の先輩として上沼に謝罪するなど、たくさんの先輩芸人がふたりへの怒りを表明しています。

関連記事

トピックス

「鴨猟」と「鴨場接待」に臨まれた天皇皇后両陛下の長女・愛子さま
(2025年12月17日、撮影/JMPA)
《ハプニングに「愛子さまも鴨も可愛い」》愛子さま、親しみのあるチェックとダークブラウンのセットアップで各国大使らをもてなす
NEWSポストセブン
SKY-HIが文書で寄せた回答とは(BMSGの公式HPより)
〈SKY-HIこと日高光啓氏の回答全文〉「猛省しております」未成年女性アイドル(17)を深夜に自宅呼び出し、自身のバースデーライブ前夜にも24時過ぎに来宅促すメッセージ
週刊ポスト
人の出入りが多く流行っていたという火災があったサウナ店
《夫婦が閉じ込められ…》月額39万円の高級サウナ店での火災でサウナーたちに広がる不安 彼らはなぜ\\\"避難シミュレーション\\\"を議論するのか
NEWSポストセブン
今年2月に直腸がんが見つかり10ヶ月に及ぶ闘病生活を語ったラモス瑠偉氏
《直腸がんステージ3を初告白》ラモス瑠偉が明かす体重20キロ減の壮絶闘病10カ月 “7時間30分”命懸けの大手術…昨年末に起きていた体の異変
NEWSポストセブン
日高氏が「未成年女性アイドルを深夜に自宅呼び出し」していたことがわかった
《独占スクープ》敏腕プロデューサー・SKY-HIが「未成年女性アイドル(17)を深夜に自宅呼び出し」、本人は「軽率で誤解を招く行動」と回答【NHK紅白歌合戦に出場予定の所属グループも】
週刊ポスト
世間を驚かせたメイプル超合金のカズレーザー(41才)と二階堂ふみ(31才)の電撃“推し婚”
【2025年・有名人の結婚&離婚を総決算】何かと平和な「人気男性タレントと一般女性の結婚」、離婚決断が女性からの支持につながった加藤ローサ
女性セブン
米倉涼子
《米倉涼子の自宅マンション前に異変》大手メディアが集結で一体何が…薬物疑惑報道後に更新が止まったファンクラブは継続中
火事が発生したのは今月15日(右:同社HPより)
《いつかこの子がドレスを着るまで生きたい》サウナ閉じ込め、夫婦は覆いかぶさるように…専門家が指摘する月額39万円サウナの“論外な構造”と推奨する自衛手段【赤坂サウナ2人死亡】
NEWSポストセブン
自らを「頂きおじさん」と名乗っていた小野洋平容疑者(右:時事通信フォト。今回の事件とは無関係)
《“一夫多妻男”が10代女性を『イヌ』と呼び監禁》「バールでドアをこじ開けたような跡が…」”頂きおじさん”小野洋平容疑者の「恐怖の部屋」、約100人を盗撮し5000万円売り上げ
NEWSポストセブン
ヴァージニア・ジュフリー氏と、アンドルー王子(時事通信フォト)
《“泡風呂で笑顔”の写真に「不気味」…》10代の女性らが搾取されたエプスタイン事件の「写真公開」、米メディアはどう報じたか 「犯罪の証拠ではない」と冷静な視点も
NEWSポストセブン
来季前半戦のフル参戦を確実にした川崎春花(Getty Images)
《明暗クッキリの女子ゴルフ》川崎春花ファイナルQT突破で“脱・トリプルボギー不倫”、小林夢果は成績残せず“不倫相手の妻”の主戦場へ
週刊ポスト
超有名“ホス狂い詐欺師風俗嬢”だった高橋麻美香容疑者
《超有名“ホス狂い詐欺師風俗嬢”の素顔》「白血病が再発して余命1か月」と60代男性から総額約4000万円を詐取か……高橋麻美香容疑者の悪質な“口説き文句”「客の子どもを中絶したい」
NEWSポストセブン