先輩たちがこうして「ケシカラン」と声を上げているのは、もしかしたらふたりを助けるためかもしれません。大御所や先輩芸人があっちでもこっちでも怒っている様子を見て、外野は「あれだけ叱られたら、本人たちはさぞつらいだろう」と感じます。「とんでもないことを言ったけど、十分に罰は受けた」という印象を受けるかもしれません。
そう、怒っている先輩芸人たちは阿吽の呼吸のチームワークで、マヌケな後輩芸人へのバッシングを鎮めて、世間が何となく許す雰囲気を作ろうとしている可能性があります。いや、そういう深慮遠謀があって怒っているのか、芸人としてのカンで後輩を守る発言をしているのか、あるいは単に本気で怒っているのか、そこはわかりませんけど。
この手法は一般の会社でも使えます。部下が大きなミスをしでかしたら、お客や取引先、あるいは会社の上層部に対して、「あいつのバカさ加減ときたら!」「自分がしっかり締めておきます!」と怒りを込めて言い放ちましょう。そうすることで相手は「まあまあ、あまり叱らなくていいよ」と言いたくなる違いありません。人間は自分より激しく怒っている人がいると、なだめ役に回る習性があります。
なんて言いながら、この騒動もあっという間に忘れ去られるでしょう。そして、やらかしてしまった「とろサーモン」久保田と「スーパーマラドーナ」武智に対して、ふたりの漫才を聞いたこともないくせに、匿名で「正義の鉄槌」を下して興奮していた人たちは、すぐまた新しいターゲットを攻撃し始めるに違いありません。ふたりの暴言なんて足元にも及ばない汚い言葉を使いながら。やれやれ、お疲れさまでございます。