最後に自分の本では、今年出した絵本『大根はエライ』(福音館書店)。これは15年も前に子供向け科学雑誌に描いたものだが、古びていないということで、単行本として出版された。
漬物、煮物、汁物、サラダ、おろしと、日本料理の広範囲で大活躍していながら、ちっともそういうふうに見えない、大きいのにどこか地味な存在の大根。それどころか「大根役者」「大根足」と悪口にばかり引用される大根。この大根のエラさ、やさしさを、絵本にしてみたものです。
【PROFILE】久住昌之(くすみ・まさゆき)/1958年東京都生まれ。漫画家、漫画原作者、エッセイスト、音楽家などとして幅広く活躍。『孤独のグルメ』(作画・谷口ジロー)、『花のズボラ飯』(作画・水沢悦子)など食にまつわる話題の漫画の原作者として知られる。『中学生日記』(Q.B.B.名義)で第45回文藝春秋漫画賞受賞。
※SAPIO2018年11・12月号