新刊『「さみしさ」の研究』(小学館新書)でビートたけし氏が論じたのは、男の「老い」と「死」について。だが、その内容は近年流行りの「孤独礼賛本」とは一線を画す。71歳を迎えた、たけし氏が語る理想の老後の暮らし方とは──。
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実は「いい人」って報われないんだよ。品行方正なジイサン、バアサンってのは死んだ後でなかなか思い出してもらえない。盆や正月に「いい人だったね」って家族の話題にのぼるくらいのもんだ。
町内会の飲み会で、酒の肴に死んじまった近所のジジイやババアの話をする時、「いい人」の話なんて出てきやしない。そういう時にみんなが懐かしむのは、ワガママで迷惑ばかりかけてたヤツのほうなんだよな。