国内

歴史遺産とされる人気駅舎を保存するにはどうすればよいのか

万成石に縁取られた博物館動物園駅のレリーフ

 京都市で最古級の町家解体が決まるなど、文化財指定ではないが古い全国の建築物がいま、様々な形で寿命を終えようとしている。そのなかには、味わい深い建物として地域の文化と生活を支えてきた古い駅舎保存の問題も含まれている。ライターの小川裕夫氏が、博物館動物園駅や新八日市駅の現状などの例から、駅舎保存の現実についてレポートする。

 * * *
 東京の都市改造が、急ピッチで進んでいる。

 1964東京五輪でメインスタジアムとして使用された国立競技場は、2020東京五輪のメインスタジアムとしても使用される。そのため、現在は新たに建て替えられている。

 長らく都民の台所として親しまれてきた築地市場は、老朽化を理由に閉場。その役割を豊洲市場に譲った。

 中高生のコンクール全国大会会場として長く利用されていたことから“吹奏楽の甲子園”とも称された普門館は、2011年の東日本大震災を機に天井が崩落する危険性が判明して使用中止。そのまま解体されることになった。理由は異なるものの、東京のシンボルともいえる建築物が次々と消えている。

 同じ建築物である駅舎も他人事ではない。

 都内最古の木造駅舎として知られる原宿駅にも建て替え計画が浮上。同じく、都内で2番目に古い国立駅舎も中央線の高架化工事で解体が検討された。

 原宿駅舎の帰趨は決まっていないが、国立駅舎は文化財指定されて駅前広場に移築保存されることが決まった。駅舎として再び利用されることはないものの、三角屋根の駅舎は国立市民の原風景ともいえる存在だけに、行政も保存活動を全面的にバックアップしている。

 駅舎は、あくまでも交通施設として使命を課せられている。それを果たせない駅舎は、無用の長物と断じられても仕方がない。

 それだけに、役目を終えた後も行政や市民によって生きながらえている駅舎は幸せといえるかもしれない。

 役割を終えた後も、ひっそりと佇む駅舎が上野にもある。京成電鉄の博物館動物園駅が、それだ。

 博物館動物園駅は、その名の通り、現在もシャンシャンフィーバーに沸く上野動物園や東京国立博物館の最寄駅として1933(昭和8)年に上野公園の地下に開設された。

関連キーワード

関連記事

トピックス

山尾志桜里氏に「自民入りもあり得るか」聞いた
【国民民主・公認取り消しの余波】無所属・山尾志桜里氏 自民党の“後追い公認”めぐる記者の直撃に「アプローチはない。応援に来てほしいくらい」
NEWSポストセブン
レッドカーペットを彩った真美子さんのピアス(時事通信)
《価格は6万9300円》真美子さんがレッドカーペットで披露した“個性的なピアス”はLAデザイナーのハンドメイド品! セレクトショップ店員が驚きの声「どこで見つけてくれたのか…」【大谷翔平と手繋ぎ登壇】
NEWSポストセブン
竹内朋香さん(左)と山下市郎容疑者(左写真は飲食店紹介サイトより。現在は削除済み)
《浜松ガールズバー殺人》被害者・竹内朋香さん(27)の夫の慟哭「妻はとばっちりを受けただけ」「常連の客に自分の家族が殺されるなんて思うかよ」
週刊ポスト
サークル活動に精を出す悠仁さま(2025年4月、茨城県つくば市。撮影/JMPA)
《普通の大学生として過ごす等身大の姿》悠仁さまが筑波大キャンパス生活で選んだ“人気ブランドのシューズ”ロゴ入りでも気にせず着用
週刊ポスト
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
遠野なぎこさん(享年45)、3度の離婚を経て苦悩していた“パートナー探し”…それでも出会った「“ママ”でいられる存在」
NEWSポストセブン
「参政党パワー」の正体とは(神谷宗幣・代表)
叩かれるほどに支持が伸びる「参政党パワー」 スピリチュアリズム勃興の中で「自分たちは虐げられていると不安を感じる人たちの受け皿に」との指摘
週刊ポスト
レッドカーペットに登壇した大谷夫妻(時事通信フォト)
《産後“ファッション迷子期”を見事クリア》大谷翔平・真美子さん夫妻のレッドカーペットスタイルを専門家激賞「横顔も後ろ姿も流れるように美しいシルエット」【軍地彩弓のファッションNEWS】
NEWSポストセブン
女優・遠野なぎこが自宅マンションで亡くなっていることがわかった
遠野なぎこさん死去…「絶縁状態」と言われていた親族が訃報発表に踏み切った事情 知人が明かす「ずっと気にかけていた」本当の関係
NEWSポストセブン
レッドカーペットに登壇した大谷夫妻(時事通信フォト)
《真美子さんの艶やかな黒髪》レッドカーペット直前にヘアサロンで見せていた「モデルとしての表情」鏡を真剣に見つめて…【大谷翔平と手を繋いで登壇】
NEWSポストセブン
誕生日を迎えた大谷翔平と子連れ観戦する真美子夫人(写真左/AFLO、写真右/時事通信フォト)
《家族の応援が何よりのプレゼント》大谷翔平のバースデー登板を真美子夫人が子連れ観戦、試合後は即帰宅せず球場で家族水入らずの時間を満喫
女性セブン
鉄板焼きデートが目撃されたKing & Princeの永瀬廉、浜辺美波
《永瀬廉と全身黒のリンクコーデデート》浜辺美波、プライベートで見せていた“ダル着私服のギャップ”「2万7500円のジャージ風ジャケット、足元はリカバリーサンダル」
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! 石破政権が全国自治体にバラ撒いた2000億円ほか
「週刊ポスト」本日発売! 石破政権が全国自治体にバラ撒いた2000億円ほか
NEWSポストセブン