3つ目の誤算は、「NHKのマネ」という声が予想以上に大きいこと。
『生田家の朝』の放送時間は7時50分からの7分間であり、「8時スタートのNHK朝ドラの直前に放送しよう」という意図があります。NHK朝ドラは常時視聴率20%を超えるほどドラマ好きの視聴者が集まる時間帯だけに、「そのお客さんたちにウチの朝ドラも見てもらおう」という狙いが、一部で反感を買ってしまいました。
テレビ業界では、「〇時00分ではなく〇時54分や〇時58分などに番組をはじめる」ことをフライングスタートと呼んで視聴率獲得の戦略となっているように、「先に放送すること」を重視する慣習があります。ただ近年はこうした戦略が視聴者に見透かされ、『生田家の朝』も「わざわざ直前に放送するなんてあざとい」という見方をされているのでしょう。
もともと『ZIP!』は、まるでネットサーフィンをするような小刻みな番組構成で知られ、その中には「朝だよ!貝社員」のようなエンタメコンテンツも含まれ、親しまれているだけに、視聴者の反感を買ってまで放送時間を朝ドラ直前にする必要はなかったのかもしれません。
ドラマ終了直後に『ZIP!』の出演者がコメントする“朝ドラ受け”に対しても、「『あさイチ』(NHK)のマネ」と批判の理由となっているだけに、いかに独自の策を見せられるかが今後の鍵を握っています。
「早く『もてなしMOCO』を戻してほしい」「忙しい朝にわざわざ見る内容ではない」「NHKのマネ」という批判の声をどうはねのけるのか?
朝の日常を切り取った内容だけに、バカリズムさんならシリーズ化して書き続けることができるでしょう。それだけに26日までの放送で、「この家族をまた見たい」「この家族の昼や夜も見てみたい」などという声をどれだけ集められるか。日テレとしては腕の見せどころです。
【木村隆志】
コラムニスト、芸能・テレビ・ドラマ解説者。雑誌やウェブに月20本超のコラムを提供するほか、『週刊フジテレビ批評』などの批評番組に出演。タレント専門インタビュアーや人間関係コンサルタントとしても活動している。著書に『トップ・インタビュアーの「聴き技」84』『話しかけなくていい!会話術』『独身40男の歩き方』など。