尾野真千子一覧

【尾野真千子】に関するニュースを集めたページです。

実話を元にした『20歳のソウル』。主演は神尾楓珠
映画『20歳のソウル』 がん発覚から1年半…「生ききった」青年が遺した応援曲と“奇跡”
 千葉県船橋市立船橋高校、通称“市船”(いちふな)には、魂の風が吹いている。 今年、市船野球部は28年ぶりに春季千葉県高校野球大会を制覇。5月22日には春季関東大会に出場し、山村学園(埼玉県) と対戦した。市船が試合をする際、スタンドでとりわけ大きく響いている応援曲は「市船soul」だ。作曲したのは、5年前、がんにより20歳で亡くなった同校OBの浅野大義さん。 浅野さんは正直なところ、市船が第一志望ではなかった。しかしなんとか滑り込んだ市船の吹奏楽部で、生涯の師となる高橋健一先生に出会う。 部活動をする上では、吹奏楽部員なのにソーラン節を踊らされることにも、部員たちと不満のぶつけ合いになるミーティングが頻繁に開催されることにも、疑問を抱いた。もがいた。「何の意味があるのか」とぶつかった。そうした時、いつも高橋先生から教えられたのは、「人間関係」を築くことの大切さ、そして「今しかない時間を大切にする」ことだった。 思春期の浅野さんを、先生の言葉は深く豊かに成長させた。しかし、在学中に作曲の楽しさに目覚め、音大に進むも、浅野さんの身体に胚細胞腫瘍が見つかる。がんだった。 そんな浅野さんが、仲間とともに人生を生き抜いた姿を描いた映画『20歳のソウル』が5月27日から公開されている。浅野さん役を神尾楓珠、吹奏楽部顧問の高橋先生役を佐藤浩市が演じ、福本莉子、佐野晶哉(「Aぇ!group」/関西ジャニーズJr.)、尾野真千子らが共演。音楽を愛した浅野さんの、熱く生きるものがたりを紡いだ秋山純監督に、話を聞いた。「高校野球」がつないだ縁 2017年1月26日。朝日新聞「声」欄が、浅野さんの母・桂子さんからの投稿を取り上げた。浅野さんの告別式に160人以上もの部員、OB、OGが集まって演奏をしてくれたことに触れ、生前、浅野さんが築いた友と恩師との絆に感謝する内容だった。そして同年4月2日付、今度は同紙の「窓」というコーナーで、記者により浅野さんと「市船soul」のストーリーがつづられた。 何気なくその記事を目にした秋山監督には、どうしようもなくこみ上げるものがあった。というのも、監督自身、甲子園を目指す高校生と、それを応援する人たちの絆には並々ならぬ想いがあったためだ。 秋山監督は、新卒入社したテレビ朝日ではスポーツ局に配属。当時、バブル。テレビ局はとりわけ体育会系な業界だった。「右も左も分からない中で、キツくて。入社1年目の夏、自律神経失調症になり、救急車で運ばれたんです。それでもう現場には戻れないと覚悟していたら、先輩が、『熱闘甲子園』のディレクターをやれと。一度倒れている僕にできるのか、と心配する人も多かったんですが、先輩は、過酷だけど得るものも多い番組にチャレンジし、もしそこでダメだったら諦めがつくという考えでした」(秋山監督。以下「」内同) 1981年からスタートした『熱闘甲子園』は、その頃、試合のハイライトを紹介するだけでなく、選手はもちろん、父兄や応援団など、試合にかかわるすべての人を特集するようになっていた。秋山監督は、「いろんな方と触れ合うのが本当に楽しくて、生きていることを実感できた」と振り返る。「高校野球は、“勝った”“負けた”だけではないんですよね。試合の数だけ敗者がいて、勝者は1校。負け方を学ぶところだなと思ったのを覚えています。 球児たちは勝つためにひたむきに努力して、ブラスバンドは大汗を流しながら応援する。みんながものすごい熱量で心をひとつにして、目標に立ち向かう。そして僕も、自分が作った番組を“いいね”と言ってくれる人がいた時、その世界の一員になれたと思えて……。ひと夏を越えると、何か自信がついていました。だから、高校野球は、僕を救ってくれたものなんです」 番組制作にあたっては、球場で刻一刻と変わる状況を前にしつつ、当日オンエアのための構成を考えなくてはいけない。あらかじめ想定したストーリーなんて、あっけなく壊れる。狙い通りにいかなくて当然だ。そのなかで、ブレないメッセージを伝えるためにはどうするか。その後秋山監督はドラマや映画を手がけることになるが、誰かの想いを伝える、という原点は『熱闘甲子園』にあると言う。「試合に出るのも、ものづくりも、自分1人でできることではない。また、何事も柔軟に、臨機応変に、かつスピード感をもって決断していくというのは、すべてあの時叩き込まれました。 高校野球では、9回2アウトからのドラマも当たり前なんですよね。自分の思い描いたようにならない時に、『こうなるはずじゃなかった』と思うんじゃなくて、そうなったことを受け入れなきゃいけないし、じゃあ次はどうしたらいいのか、どういうふうにそれを伝える方法があるのか、常に考え続けなくてはならない」 先に決めつけるのではなく、さまざまな視点から、無数の可能性を探りながら見る。目の前のバッターだけを見ていたら、見えないものがたりがある。「ひとつのセカンドゴロがあったとします。フルスイングでようやく打てた、喜びのセカンドゴロかもしれないし、一回の打席でもう野球をやめようと思っていて、その最後の打席がセカンドゴロだったのかもしれない。すべての背景には、誰かの想いが詰まっているんですよね」神尾楓珠が起こした「奇跡」 映画では、浅野さん――大義の心の動きと、周囲の人々の葛藤が丁寧に織り交ぜられ、見る者に「生きる」とはどういうことかを否応なく突きつける。2015年9月、大義にがんが判明。持ち前のポジティブさで一度は乗り越え、2016年7月には、先生から依頼された演奏会用の楽曲の作曲に着手する。しかし同年8月、脳へ転移。 病魔とたたかう間にも、大義は〈自分の命は音楽を作るためにある〉と鍵盤に向かい続けた。楽曲の名は、『JASMINE』。「ジャスミン」はペルシャ語の「ヤースーミン」が語源とされ、〈神様からの贈り物〉という意味がある。大義にとって、贈り物は「今日という1日」のことだった。 大義を演じる神尾は、ピアノはまったくの未経験。しかし秋山監督は実演奏にこだわり、神尾も猛練習を重ねた。映画では、大義が母親(尾野)に、作曲中の『JASMINE』を弾いて聴かせるシーンがあるが、一度きりの本番で、初めてノーミスだったという。「上手いかどうかといわれたら、もしかするとそうではないかもしれない。でも、弾きたい、お母さんに聴かせたいっていう気持ちって、やっぱり実際に演奏しないと出ないと思ったんです。失敗したらそのまま使うつもりでした。それが、大義のそのときの“言葉”だから。何も〈上手くやること〉が正解ではなくて、この場合〈伝えること〉が正解だから」 圧巻の演奏は空気を震わせ、スクリーンを超えて浅野さんの息遣いを感じさせる。神尾が直前まで苦戦し、ほとんど徹夜で練習していたことを知る現場は湧き、ひとつになった瞬間でもあった。「生きる」ではなく、「生ききる」 秋山監督は、撮影前に俳優やスタッフたちと綿密なコミュニケーションをとっておき、本番は「基本一発撮り」だというが、1シーンだけ、テイク20にも及んだ部分がある。脳転移後、肺に再発した大義が、恋人の前で「(死んだら)全部消えてしまう。なんにも、なくなっちゃう。俺が、なくなっちゃう……」と弱さをさらけ出すシーンだ。 それまで「なんで俺ばっかりこんな目に遭うんだよ!!」とやり場のない思いを叫ぶことがあっても、「逃げるな、自分から」と毅然と前を向いていた大義。その彼が初めて見せたむき出しの慟哭は生々しく、また誰しも一度は考えたことでありながら、普段はフタをしている奥底の魂を揺さぶる。「病気に負けないとは言っても、死ぬのが怖いって当たり前の感情じゃないですか。そこを避けて通ったら、きっと何も伝わらない。その、“からっぽになる”ということへの怖さに対して、神尾くんがまだまだ出しきれる感じがあったんです。後から、“もっとできたはずだ”とか、やり残しを作りたくなかったんです」 映画では、『熱闘甲子園』を経験した秋山監督だからこそ、細やかな光が当てられたシーンや人物も多い。例えば、部長の器なのか悩む女子。野球部だが、怪我をして自棄を起こす男子。大義の病に、「一緒に頑張ろう」と最期まで寄り添った医師。この映画は、それぞれがそれぞれの事情を抱えながら、大義を核としてつよくなっていく群像劇でもあるのだ。「今」は「奇跡」の連続だ、と秋山監督は語る。「一日一日を大切に生きるって、言葉で言うのは簡単です。でも、朝目が覚めた時に、今日という日はギフトなんだって、本当に毎日思うようになりました。大義くんの人生に接したら、死ぬことが怖くなくなったって、高橋先生がおっしゃったんです。彼は本当に生ききった、そうか、俺も生ききればいいんだって。僕も大義くんから、そう学びました」 秋山監督に「生ききる」とはどういうことか問うと、「とにかく逃げないで、夢、今目の前にあるもの、そばにいる人にちゃんと向き合うこと」という答えが返ってきた。遺した楽曲そのもの以上に、大義が伝えてくれることは多い。大義は言う。「人はみんな死ぬ。やるべきことは、生ききることだけ。最後の、瞬間まで」■取材・文/吉河未布映画『20歳のソウル』2022年5月27日(金)全国ロードショーhttps://20soul-movie.jp/監督:秋山純キャスト:神尾楓珠/尾野真千子/福本莉子/佐野晶哉(「Aぇ!group」/関西ジャニーズJr.)/前田航基/若林時英/佐藤美咲/宮部のぞみ/松大航也/塙宣之(ナイツ)/菅原永二/池田朱那/石崎なつみ/平泉成/石黒賢(友情出演)/高橋克典/佐藤浩市脚本:中井由梨子原作:中井由梨子「20歳のソウル 奇跡の告別式、一日だけのブラスバンド」(小学館刊)/「20歳のソウル」(幻冬舎文庫)
2022.05.28 07:00
NEWSポストセブン
尾野真千子、再婚 お相手は沖縄企業の代表、YouTubeで共演も
尾野真千子、再婚 お相手は沖縄企業の代表、YouTubeで共演も
 現在公開中の映画『茜色に焼かれる』で4年ぶりの単独主演を務めている女優・尾野真千子(39)が再婚していたことが、週刊ポストの取材でわかった。お相手は沖縄在住の一般男性で、尾野は再婚となる。同誌7月28日発売号で報じる。 映画『茜色に焼かれる』では、コロナ禍で経営していたカフェが倒産するなか、女手一つで息子を育てるために奮闘する母親役を演じている尾野。今年5月に舞台挨拶に登壇した際には、「こんなやりにくい世の中で、私たちの仕事はもうできないかもしれないと恐怖が襲ってきた」と不安を吐露し、無事公開にこぎ着けたことに思わず安堵の涙を流した。 この時期、尾野はプライベートでも大きな変化があったのだ。芸能関係者が語る。「尾野さんは、2017年に一般男性と離婚しましたが、この5月に再婚したそうです。お相手は沖縄在住のAさんで、廃棄物処理や家庭ゴミのリサイクルなどを担う地元企業の代表取締役を務めている。尾野さんは現在、オフの時には沖縄のAさんの家で過ごしているそうです」(芸能関係者) 尾野とA氏を繋げたのは、尾野が2010年に出演したドラマ『ニセ医者と呼ばれて~沖縄・最後の医介輔~』(日本テレビ系)だ。同ドラマは沖縄・今帰仁村で撮影されたが、そこで現地コーディネーターを務めたのがA氏だった。 尾野の離婚後、2人は急速に距離を縮めていったという。 今年5月に放送された『アナザースカイ』(日本テレビ系)に出演した尾野は、女優活動20周年を記念した自主制作映画の企画で、2015年から昨年にかけて沖縄の今帰仁村に琉球古民家を建てたことを明かしている。 尾野は今帰仁村を選んだ理由を、「10何年前に出演したドラマ(『ニセ医者と呼ばれて~』)で(今帰仁村に)来ていて。すごい縁を感じて」と語っていた。 番組では、尾野が今帰仁村に通ううちに行きつけになったという食堂が紹介されているが、A氏はその食堂を経営している会社の代表でもある。「Aさんはユーチューブ動画も配信していますが、そこに尾野さんもたびたび登場しています。昆虫を食べる回では、目隠しをした尾野さんがAさんに虫を口に入れてもらっていたり、沖縄でゴミ回収をする回では、尾野さんがAさんの会社のロゴが入ったTシャツを来て手伝っている。画面越しにも親密な様子が伝わってきます」(同前) A氏に尾野との結婚について尋ねると、はにかんだ表情を浮かべながら「ノーコメントで」と去って行った。 尾野の所属事務所は週刊ポストの取材に「5月に入籍したのは事実です。(尾野は)東京で仕事もしているので、まだ同居しているわけではありませんが、仲良く過ごしていると聞いています。(自主制作映画を撮る過程で) Aさんがロケのことなどで協力してくださって。一緒にものを作ってきてリスペクトがあったなかで気づいたことがあったようです」と回答した。 前出の番組では、尾野は今帰仁村について、「心の帰る場所。あそこがあると安心する」と語っていた。それは、新たな伴侶について語った言葉でもあったのだろう。【プロフィール】尾野真千子(おの・まちこ)/1981年生まれ、奈良県出身。1997年、映画『萌の朱雀』で主演デビュー。2007年、『殯の森』で第60回カンヌ国際映画祭コンペティション部門グランプリ。2011年、NHK連続テレビ小説『カーネーション』ヒロインに抜擢されたほか、数々のドラマ、映画で活躍している。
2021.07.26 14:00
NEWSポストセブン
最新出演映画のプロデューサーが語る尾野真千子の魅力(Getty Images)
尾野真千子が主演作で見せた圧巻の“怒り” コロナ禍の“理不尽”を代弁
 尾野真千子(39才)が4年ぶりに単独主演を務めた映画『茜色に焼かれる』が、5月21日より公開中だ。緊急事態宣言 のさ中での封切りだったが、映画レビューサイトでは初日満足度第1位を獲得し、SNSでは「作品を観て力が湧いた」、「明日を生きるエネルギーをもらった」といった言葉が並んでいる。映画や演劇に詳しいライターの折田侑駿さんも、「コロナ禍で厳しい状況に置かれた人々の思いを代弁するような作品」と語る。 * * * 映画『茜色に焼かれる』は、『舟を編む』(2013年)や『町田くんの世界』(2019年)などの石井裕也監督(37才)によるオリジナル作品。尾野を主演に迎え、コロナ禍という未曾有のパンデミックに見舞われた世界を生きる、一組の母子とその周囲の人々の姿を描いたものだ。「コロナ禍の描写が秀逸」、「本作で描かれる理不尽さが実感として胸に迫る」といった口コミもあるように、現代社会のリアルな様相が作品に反映されている。 物語のあらすじはこうだ。7年前に理不尽な交通事故で夫を亡くした主人公・田中良子(尾野)。彼女は夫の賠償金を受け取らず、施設に入院している義父の面倒をみながら、一人息子の純平を大切に育て上げてきた。経営していたカフェはコロナの影響で閉店し、花屋のバイトと風俗の仕事をかけ持ちをするも家計は苦しい。純平は同級生たちにいじめを受けており、良子は数年ぶりに再会した同級生から弄ばれてしまう。それでも母子は、懸命にいまを生きていく。 石井監督と尾野のタッグのもとに集った座組も素晴らしい。主人公の息子・純平役には、新人の和田庵(15才)が大抜擢。理不尽な環境下で、大好きな母とともにもがき、真っ直ぐに生きる少年を瑞々しく演じ上げている。そのほか、わずかな出番ながらも強く印象に残るオダギリジョー(45才)が良子の夫役を演じ、若手注目株の片山友希(24才)が良子の同僚を好演。良子と同じく社会に翻弄される女性をエネルギッシュに演じ、シスターフッド的関係を築き上げている。さらに、永瀬正敏(54才)、芹澤興人(40才)、泉澤祐希(27才)、鶴見辰吾(56才)ら日本映画界を支える者たちが集結。この座組の先頭に立ち、圧倒的な熱量で率いているのが主演の尾野なのだ。 映画界において、絶大な支持を得てきた尾野真千子。今年は、一人の女性の悲哀と時の移ろいを演じてみせた『ヤクザと家族 The Family』が記憶に新しいし、本作とはまた異なる母親像を演じている『明日の食卓』も封切られたばかりだ。そんな尾野が『茜色に焼かれる』で見せるいくつもの表情は印象深い。母親として息子を慈しむ表情、愛した夫を懐かしむ表情、職場で不当な扱いを受けた時の表情、精神的に限界ながらも笑ってみせる表情……。田中良子という人間が生きる上で見せるいくつもの表情を、尾野は微細な変化で示し、心の機微を観客に訴えかけている。 良子がたびたび口にする「まあ頑張りましょう」という言葉も印象的だ。その言葉とともに見せる尾野の表情には、何度も胸を打たれる。観客の多くがコロナ禍による理不尽を同様に経験しているが、彼女の場合は抱えているものがあまりにも多く、かつ重い。日々の苦しみを前にしながらも、無理にでも笑って日々をやり過ごそうとする表情からは、大変だけど、「それでも前を見て生きていこう」という強い“意志”を感じずにはいられない。厳しい状況の中でもどうにかして前を向いていたい、そんな私たちの気持ちを彼女は代弁してくれているように感じた。そして、そんな良子が本当に傷つき、怒りを表出させるシーンは圧巻の一言だ。 良子の爆発もまた、我慢して日々をやり過ごしている私たちの心情を代弁してくれているものだと思う。口コミには、「田中良子が怒っている。この世の中に、私たちの代わりに怒ってくれている。代弁者だなと思った」などの声が見受けられる。同感だ。このご時世、明日のことさえ見通せず、叫びたくても叫ぶことができない方も多いことだろう。尾野真千子という一人の俳優が、田中良子という映画上の人物を通して、“大丈夫じゃない人たち”の叫びを代弁してくれているのだ。誰もが“自分事”として応援せずにはいられない、現代をたくましく生きる一人の人間像を、尾野は体現しているのである。【折田侑駿】文筆家。1990年生まれ。映画や演劇、俳優、文学、服飾、酒場など幅広くカバーし、映画の劇場パンフレットに多数寄稿のほか、映画トーク番組「活弁シネマ倶楽部」ではMCを務めている。
2021.06.08 16:00
NEWSポストセブン
尾野真千子「撮影をやっていいのかという葛藤」もあったという
尾野真千子 コロナ禍での撮影に葛藤「当たり前ではなく、恵まれたこと」
 朝ドラ、大河など数多くの作品で活躍する女優が10年ぶりに『週刊ポスト』に登場した。この日の尾野真千子(39)は赤をグラデーションで纏っていた。「赤は元気が出る色でエロスを感じさせる妖艶さもある。異なる表情を持つのが好きです。私の勝負カラーはベージュ。衣装に響かないように撮影には必ずベージュの下着で臨むので、“戦いに行くぞ!”と戦闘モードに入る色なんです」 主演映画『茜色に焼かれる』で演じた主人公の勝負カラーが赤だ。コロナ禍の生きづらさや不条理な世の中でもがき、必死に前を向いて生きる母親を演じる。「ウイルスへの恐怖から、撮影をやっていいのかという葛藤がまずありました。でも戦うと心を決めると徐々に力が漲り、“私の居場所はここなんだ。続けなきゃ、前へ進まなきゃ”って。決意でもあり、お芝居を続けてきてありがたさをようやく実感できた瞬間でもありました。あの場所で演じられるのは当たり前ではなく、恵まれたことだったんですよね」 近年は母親役も増え、公開中の『明日の食卓』でも息子を持つ母を演じている。「こちらも様々に重いものを背負ったお母さんで、幸せな役ってあまりないんです、私。演じ甲斐はとてもありますが、問題を抱えた母親役が多く自分の将来がちょっと心配です(笑い)」 役の印象とは違って、素の尾野は“元気な赤”を地でいくように明るい。「朝ドラの出演でお仕事が急に増えた頃は余裕がなくて、いつもピリピリしていました。でも楽しく過ごせば疲れも半減しますし、最近は自分のためにも笑っていようって。役者としてもでーんと構えて、いるだけですべてを語れるような存在になれたらいいな」 今は年齢的にも、芝居で小細工をして一生懸命暴れていると明かす。40代を控え、佇まいだけで演じられる女優への憧れを語った。【プロフィール】尾野真千子(おの・まちこ)/1981年11月4日生まれ、奈良県出身。1997年、『萌の朱雀』でデビュー。NHK連続テレビ小説『カーネーション』(2011~2012年)、大河ドラマ『麒麟がくる』(2020年)などドラマでも活躍。公開中の映画『茜色に焼かれる』『明日の食卓』に出演。撮影/西條彰仁 文/渡部美也※週刊ポスト2021年6月11日号
2021.06.05 07:00
週刊ポスト
最新出演映画のプロデューサーが語る尾野真千子の魅力(Getty Images)
尾野真千子の真価 映画Pが「彼女しかいない」と語る理由
 石井裕也監督の最新作『茜色に焼かれる』(全国公開中)は、女優・尾野真千子(39)の約4年ぶりの単独主演作である。大きな反響を呼んだNHK連続テレビ小説『カーネーション』から10年、今年40歳を迎える彼女の魅力を探った。 1997年に公開された映画『萌の朱雀』で役者としてデビューを果たした尾野。映画初出演にして主演に抜擢された彼女は撮影当時中学生で、河瀬直美監督との偶然の出会いを経て演技未経験ながらオファーを引き受けることになったという。 同映画ではシンガポール国際映画祭の主演女優賞などを獲得。高校を卒業すると地元・奈良から上京し、本格的な女優業をスタートさせる。だが精力的に活動していたものの、20代の頃はオーディションでの落選が続き、思い詰めたこともあったそうだ。 そんな彼女があらためて世間の注目を浴びることとなったのは、主演を務めた2011年度下半期のNHK連続テレビ小説『カーネーション』だった。ザテレビジョンドラマアカデミー賞の主演女優賞をはじめ数多くの賞を受賞したほか、ドラマ自体も各方面から高い評価が寄せられた。 その後は映画やテレビドラマの世界で大きな存在感を放つようになっていく。2017年公開の映画『ナミヤ雑貨店の奇蹟』では、特殊メイクを使用せずに10代から50代までの役柄を演じ分けたことが話題を呼び、複数の助演女優賞を受賞している。 最新主演作である『茜色に焼かれる』で、尾野真千子は中学生の息子を育てるシングルマザー役を演じる。理不尽な交通事故で夫を亡くし、経営していたカフェはコロナ禍で破綻、息子はいじめにあってしまうなど、数々の困難が降り注ぐなか力強く生きる姿が描かれる。 尾野真千子を起用した理由について、同作のプロデューサーが語る。「企画が立ち上がった段階で石井監督は『良子役は尾野さん以外いません』とおっしゃっていました。優しさと温かさに怒りを内包できて、コロナ禍で一緒に戦ってくれるのは尾野真千子さん以外いなかったです」 尾野は5月20日にTOHOシネマズ川崎で開催された「公開前夜最速上映会」で、大粒の涙をこぼしながら「今こういう作品を伝えなければいけない。それが私たちの使命だと思って、スタッフも出演者も監督も、場所を貸してくれた人も、みんな命懸けで作りました」と語っていた。唯一無二の役者が全身全霊を込めて挑んだ作品は、どのようなところが見どころとなるのだろうか。「物語の序盤は本音なのか演技なのか分からない絶妙なニュアンスを見事に体現していて、物語が進むにつれて自然と母と子を応援したい気持ちにさせてくれます。実直で誠実に演じることに向きあった尾野真千子さんの結晶を是非ご覧いただきたいです。彼女の生きる姿にきっと勇気と希望をもらえます」(同前)『茜色に焼かれる』は、今年11月に40歳という節目を迎える尾野真千子の新たな代表作と言うことができそうだ。◆取材・文/細田成嗣(HEW)
2021.05.29 07:00
NEWSポストセブン
ガーシーの標的?になった綾野剛
ヤクザと時代の変遷体現した綾野剛 主演作で見せた“集大成”の表現
 綾野剛(39才)が主演を務める映画『ヤクザと家族 The Family』が1月29日より公開中だ。舞台挨拶直後にはTwitterのトレンド入りするなど早くから話題を集め、映画ランキングでは初登場5位とまずまずなスタート。SNSなどでは「胸が苦しくなるくらい愛で溢れた作品」「この映画に出会えて良かった」といった感動の言葉が多く寄せられている。映画や演劇に詳しいライターの折田侑駿さんも、作品に釘付けになった一人だ。 * * * ヤクザの世界を“家族”という視点で描いた『ヤクザと家族 The Family』は、映画『新聞記者』(2019年)や『宇宙でいちばんあかるい屋根』(2020年)などを手掛けた藤井道人監督(34才)によるオリジナル作品。企画・製作を河村光庸(71才)が務め、若き名カメラマンとして知られる今村圭佑(33才)が撮影を担当するなど、第43回日本アカデミー賞で主要3部門の最優秀賞に輝いた『新聞記者』の製作陣が再集結した作品だ。 座組の豪華さは製作陣だけではない。薬物で父親を亡くし、自暴自棄な生活を送る主人公・山本賢治を演じる綾野剛を筆頭に、山本をヤクザの世界に“家族”として迎え入れる柴咲組組長を演じる舘ひろし(70才)、組の若頭役に北村有起哉(46才)、山本の恋人役に尾野真千子(39才)、山本の舎弟役に市原隼人(33才)、山本を慕う青年役に磯村勇斗(28才)など、若手からベテランまで豪華なキャスト陣が骨太な物語を支えている。彼らが“家族”として繋がり、愛情や怒り、喜びや悲しみをぶつけ合う様は見応え十分。上映時間の136分間、スクリーンに釘付けだ。 物語は、ヤクザの世界を軸に1999年、2005年、2019年という3つの時代を綾野演じる山本を中心に進んでいく。綾野は、3つの時代でそれぞれに立場の異なる“山本像”を体現。年齢を重ねるにつれて変わっていく見た目はもちろん、佇まいや放つ雰囲気まで全てが異なり、山本という一人の男の半生から目が離せない。 1999年の山本は短気な19才の不良で、まるで狂犬のよう。しかし、撮影当時の綾野は実際には37才。これには驚いた。いかにも不良然とした金髪姿で、当時の一部の若者を象徴するようなダボダボのファッションに身を包み、ノーヘルメットでスクーターを走らせる姿は非常にリアルだ。綾野は、映画『新宿スワン』(2015年)でも30代ながら19才の青年に扮しているが、演じていたのは“フィクショナル”な人物だった。一方、今作での山本は、本当にどこかにいるかのような、危険な10代に見える。歩き方をはじめとする所作の一つひとつは、たしかに1999年に見かけたことのある“怖いお兄さん”であった。 続く2005年の山本は25才、柴咲組のヤクザとしてそれなりの地位にある存在だ。クールで冷静な男へと成長しているが、生来持っている不器用さが垣間見えることもある。それは特に、尾野真千子演じるヒロインに対して見て取れた。山本は男社会で生きてきたばかりに女性への接し方がヘタで、うまく気持ちを伝えられない。これを綾野は、相手を突き放すようなセリフ回しや、視線の揺れで示した。また、この頃の山本は“家族”のためなら何でもする、という考えの人間。ヤクザの世界ならではのさまざまな“恐ろしさ”を、綾野はセリフ以上に、他の登場人物とのやり取りの中で生まれる細かな表情の変化で表現しており、その “顔つき”は19才の山本とは全く違った。 そして2019年の39才の山本は、時代や社会の流れに淘汰されつつあるヤクザという存在を象徴するように、全体的に覇気が無く、衰えを滲ませていた。声には張りがなく、哀愁漂う“くたびれ感”がリアルだ。しかし時代が変わっても“家族のためにならなんでもする”という姿勢は変わらず、クライマックスでの綾野は山本が爆発する瞬間も表現している。それは若さゆえの無鉄砲さとは違い、家族への「愛」が根底にあるもの。この時代で年相応の山本を演じる綾野の姿は、この映画を背負う彼自身の姿とも重なる。主演俳優として背負う座組もまた“家族”なのだろう。 時代や社会の流れによって変化していくヤクザ。本作で描かれる彼らは義理人情を重んじる“家族”であるが、彼らの形は情勢によって変わらざるを得ない存在だ。綾野は、そうした時代や社会の変化を山本という人物に柔軟に反映させ、一人の男の生き様を通して、ヤクザの世界のさまざまな側面を巧みに体現していた。 公開初日の舞台挨拶で綾野は、「自分自身の集大成であることは間違いないし、本当に最愛の作品」と述べている。これまでに数多くの作品でさまざまなタイプのキャラクターを演じてきた綾野だが、筆者もその成果が本作で間違いなく結集していると感じた。彼が捧げる“家族”への愛を見逃さないで欲しい。【折田侑駿】文筆家。1990年生まれ。映画や演劇、俳優、文学、服飾、酒場など幅広くカバーし、映画の劇場パンフレットに多数寄稿のほか、映画トーク番組「活弁シネマ倶楽部」ではMCを務めている。
2021.02.25 07:00
NEWSポストセブン
エール、まんぷく…朝ドラに「三姉妹」登場の効果と狙いは?
エール、まんぷく…朝ドラに「三姉妹」登場の効果と狙いは?
 東京五輪の『オリンピック・マーチ』など、多くの名曲を作曲した古関裕而氏をモデルにしたNHK連続テレビ小説『エール』。窪田正孝は主人公を演じ、ヒロインが二階堂ふみだ。二階堂の役、姉と妹がいる三姉妹なのだが、実は朝ドラで三姉妹が登場する作品は数多い。三姉妹が登場する朝ドラについてコラムニストのペリー荻野さんが解説する。 * * * そんなわけで、朝ドラ『エール』では、いよいよ主人公の古山裕一(窪田正孝)が成長した音(二階堂ふみ)と出会う展開になっている。豊橋で馬具の製造販売をする関内家の次女である音の夢はプロの歌手になること。 性格はとにかくくっきりはっきり。きれいな着物姿でお見合いに臨んだものの、髪飾りをぶるんぶるんと揺らしながら、「私は男のうしろを歩くつもりはないから。それが私の信条、いいか!!」と相手の胸倉をつかんで言い放つ。おお、言ってくれる。歴代朝ドラヒロインの中でもかなり上位の暴れん坊である。 ここで気になるのは、音が三姉妹であること。実は朝ドラのヒロインは、結構、三姉妹率が高いのである。 前作、『スカーレット』も、主人公喜美子(戸田恵梨香)が長女、次女直子(桜庭ななみ)、三女百合子(福田麻由子)の三姉妹だった。『まんぷく』は、長女(内田有紀)、次女(松下奈緒)、三女(安藤サクラ)、『とと姉ちゃん』もとと姉ちゃんこと高畑充希と相楽樹、杉咲花が三姉妹。『花子とアン』も花子(吉高由里子)ともも(土屋太鳳)、かよ(黒木華)が三姉妹ということで話題になった。 他にもコシノ三姉妹の母をモデルとした『カーネーション』では主人公(尾野真千子)が生み育てた娘三人が世界的に活躍するデザイナーになるし、『純情きらり』は、長女が寺島しのぶ、次女が井川遥、三女が主人公宮崎あおいであった。 三姉妹が登場するドラマの面白さと強みは、キャラクターにバリエーションでできること。三人それぞれに性格は違うし、人生もいろいろ。三人いれば、そのうち一人くらいは「こういう人、いるいる」と共感もされやすいし、パートナーとの出会い、別れ、こどもたちもことも含めて、話がにぎやかになる。肉親だけに姉妹が起こすトラブルもヒロインは無視できない。『スカーレット』のようにオリジナルストーリーならば、なおさら自由自在だ。思えば、このドラマでは、地道な働き者のヒロインとまじめな三女の間にはさまれた次女直子が暴れん坊で少女時代は父親(北村一輝)と激突、おとなになるとヒョウ柄を愛用するおばちゃんキャラになってブイブイ言わせていた。デビュー当初の楚々としたイメージを蹴破った桜庭ななみの言動が、ドラマに躍動感をもたらしたといえる。 私は脚本家を取材する中で「話数の多い朝ドラは、キャラの立つ登場人物を多くしないとネタ切れになる」という話を聞いたことがある。確かに土曜の放送がなくなったとはいえ、ざっと120話ある朝ドラでヒロインに毎回人生の大事件が起こるというわけにもいかない。 そんなとき、仲良し姉妹は強い味方だ。『エール』の関内家三姉妹は、音の姉の吟(松井玲奈)はすてきな男性と幸せになりたいと願い、妹の梅(森七菜)は文学好きで小説家になることを夢見ている。主人公の裕一がぼんやりと気弱な人物だけに、これからは音がドラマをぐいぐい進めていきそうだ。そこに姉妹がどうからむか。新たな朝ドラ三姉妹伝説を作ってほしい。
2020.04.21 16:00
NEWSポストセブン
柄本佑、NHKドラマに「これは気を引き締めていかなきゃ…」
柄本佑、NHKドラマに「これは気を引き締めていかなきゃ…」
 俳優・柄本佑が、主演ドラマ『心の傷を癒すということ』(NHK、1月18日午後9時スタート)の会見に登場。同作は、阪神・淡路大震災で瓦礫の街と化した神戸で“被災者の心のケア”のパイオニアとなった若き精神科医の姿を描く。 柄本演じる主人公のモデルとなったのは、精神科医の安克昌氏。柄本は、今回脚本を担当した桑原亮子氏の“血肉”ともいえるものが反映されている脚本だと感じたようで、「これは気を引き締めていかなきゃいけないと思いました。ぼくの役者人生の中でも、ものすごく記念碑的な作品になりました」と意気込みを見せた。 ほかに、尾野真千子、濱田マリ、近藤正臣らが出演する。撮影/小彼英一
2020.01.18 16:00
NEWSポストセブン
“薄幸役”木村多江の対抗に戸田菜穂が浮上 2人の違いとは?
“薄幸役”木村多江の対抗に戸田菜穂が浮上 2人の違いとは?
 不幸な女性を演じさせたら木村多江の右に出るものはいない――。長らくそう言われてきたが最近、薄幸役女優として戸田菜穂が急浮上している。その特徴と木村との違いとは?  * * * とにかく出てきた人間が次々非業の最期をとげるというおどろおどろしい展開になっていったNHKプレミアムドラマ『怪談牡丹燈籠』(最終回11月3日に再放送)。中でも一番不幸なのは、戸田菜穂だった。 戸田が演じたお米は、ヒロインお露(上白石萌音)の世話係として母を亡くしたお露を大切に育ててきた。なのに、お露は二枚目の浪人・萩原新三郎(中村七之助)に恋し、とうとう焦がれ死にしてしまう。あまりの悲しみにお米は、後追い自殺。その後、彼女は、夜な夜な亡霊となって新三郎の寝所に現れるお露に付き添い、牡丹燈籠を手にカランコロンと下駄の音を響かせるのである。 幽霊に付き添いの幽霊がいるというのも『牡丹燈籠』ならでは。過去の『牡丹燈籠』作品では、目の周りを真っ黒にしたパンダもびっくりの奇怪な亡霊お米が、ひしと抱き合うお露と新三郎の横にしっかり座り込んだりして、いくら付き添いでもそれはちょっと…と思ったものだ。 今回の戸田お米は目を金色に光らせて、手も触れずに金箱のふたを開け、小判を降らせるなど妖しく美しいモード。だが、お露の願いをかなえるためなら、強欲な人間に「言うことを聞かぬなら、憑り殺そうぞ!!」と耳まで裂けた口から牙をむき出して威嚇する。ひえーっ。生きてるときは、お露の父(高嶋政宏)を誘惑した悪女お国(尾野真千子)に意地悪されつつも、控えめに耐えてきたのに。化けたら強烈だ。 戸田は近年、不幸な役を演じ続けている。元祖不幸が似合う女優といえば、木村多江だが、戸田とは微妙に違う。木村の場合は、『犬神家の一族』(2004年、フジテレビ系)で鬼の形相の富豪犬神家三姉妹に虐待されたり、『大奥 第一章』(2004年、フジテレビ系)では将軍の正室なのに相手にされず大奥ひとりぼっち。『チェイス~国税査察官~』(2010年、NHK)では乗った飛行機が墜落するし、映画『ゼロの焦点』でも崖から突き落とされていた。自ら被害者になるパターンが多い。 一方、戸田は昨年、『アンナチュラル』(2018年、TBS系)では、夫を過労が原因のバイク事故で亡くし、『Aではない君と』(2018年、テレビ東京系)では離婚後、ひとりで育てていた14歳の息子が同級生を殺害するという大事件を起こして疲れ果て、『不惑のスクラム』(2018年、NHK)では、ある事件で実刑を受けた夫と音信不通に。次々大変な目にあっている。それも誰かの巻き添えになるパターンばかりだ。お米も完全に巻き添えだし。 木村は泣いてる間もなく崖から消えたりするが、戸田は事件が起きてからが見せ場となる。「こんなに戸田菜穂を泣かせちゃダメだろ!!」と視聴者に思わせるところがポイントだ。もっとも、『怪談牡丹燈籠』では、化けて出たお露とお米よりも、「地獄へ行く覚悟はおありか」と若い不良侍(柄本拓)と共謀して薄笑いを浮かべつつ、殺し、横領、逃亡と罪を重ねるお国のほうがよっぽど恐ろしかった。お米が牙をむいてもお国には負けてたかも。やっぱり泣くのは戸田菜穂…そう思わせるところが、彼女の持ち味といえる。 
2019.10.30 16:00
NEWSポストセブン
番組公式HPより
『令和元年版怪談牡丹灯籠』 噛まれたいファンが続出のワケ
 既成概念を打ち破る作品に出会った時の衝撃は、おのずと視聴者を興奮へと誘う。ドラマウォッチを続ける作家で五感生活研究所代表の山下柚実氏が分析する。 * * * おどろおどろしくて怖い。陰翳があまりに美しい。映像のクオリティの高さにうならされるドラマ『令和元年版怪談牡丹燈籠 Beauty & Fear』(NHKBSプレミアム 日曜午後10時)。江戸時代の有名な怪談話と、その背後にある人間関係の愛憎、因果応報を描き出しています。泥沼に咲いた妖花のような、不気味な世界が広がっています。 新進気鋭の若手役者・上白石萌音さんは、源孝志監督から「獣になってくれ」と指示されたという。「相手が好きすぎて焦がれ死ぬ」という娘役・お露をどう演じるのか。 上白石さん演じるお露は、浪人・新三郎(中村七之助)と出会い、許されぬ身分違いの恋に焦がれて死んでしまう。そしてカラン、コロ~ンと下駄の音を響かせ、愛しい男の元へ通ってくるお露の幽霊。 しかし。ある時家の扉に貼られた魔除けの護符に阻まれ、男に拒絶されたことを知り、怒りをむき出しに。愛らしいあの目をひん剥いて、狂いながら宙を舞う怪物に豹変する。「ウォー」と声を荒げたその瞬間、お露には牙が生えている。 見ているこちらも思わず、ぞくっ。「上白石萌音のイメージが崩壊すると思う」と監督も最高評価で太鼓判を押したそうです。そう、「あの牙に噛まれたい」というオッサンのファンも続出しているとか。 時代は江戸・寛保三年、本格的な時代劇です。電灯がなかった頃の暗闇が随所に潜んでいて、ドラマで重要な要素になっています。ワイヤーアクションや特殊メイクといった現代的仕掛けも闇の世界に上手に挿入され、エッジを効かせています。 しかし、あくまでメインは「人間」の怖さ。カラクリではなく人が抱く欲望のグロテスクさです。その怖さといえば、第1話の冒頭のシーンも凄まじいものがありました。「人を斬りたい」という欲望にとりつかれ、「斬ってみたい」という欲に駆られて、浪人に刀を振り下ろしてしまう旗本・飯島平太郎(高嶋政宏)。テラテラと光る血液。その粘性。ゆっくり土に染み込んでいく様子。刀のふりの重たさと、鈍く光る金属。空気を斬る音。「肉体を、刀で斬る」ということがどういうことなのか。手触りや肌合いまでが映像から伝わってくる。だから怖い。そして、役者の迫力もすごい。 何かにとりつかたような平太郎の白目が光っている。うすら笑いをしているようにさえ見える。クビから下に返り血を浴びたまま歩いていくその姿に、人の闇を見ました。 これまでドラマで見た殺陣シーンの中で一、二を争う恐怖を感じたと言っても言いすぎではありません。  時は流れ、平太郎は家督を継ぎ飯島平左衛門に。すると侍女・お国(尾野真千子)が、平左衛門の妻の座を乗っ取り、次第に権力を掌握していく。 その過程も不気味です。色っぽくて性格の悪い女をやらせたら、尾野さんの右に出る人はいない。間男・源次郎を演じる柄本佑さんも、悪人ゆえの姑息さが出ていて、いい。若頭役・黒川孝助(若葉竜也)の身についた時代劇の小走りぶりも、いい。 緊張の漲った静謐な画面がいくつも重層的にあわさっているドラマです。色調は敢えて彩度を落とし、モノクロによる時代性とカラーによるリアリテイの中間を狙い、そこに江戸時代を浮かび上がらせている。そして琵琶の弦の「ぼろろん」という音が響き亘ると、切なさも迫ってくる。語りの神田松之丞の声もいい。 拙速でなくゆったり、まったりと、恐怖をかき立てていく物語。入り組んだ人間の綾、その一つ一つに、ヒリヒリとした緊張があります。こうなったら源監督にはぜひ、時代劇「三大怪談」の全ドラマ化を期待したいもの。令和版『四谷怪談』と『番町皿屋敷』も、素晴らしい配役で見てみたい。画面の前で再び闇の気配に震え身を縮めてみたいと、心底感じさせてくれました。
2019.10.26 16:00
NEWSポストセブン
映画の公開が台風の関東直撃のタイミングと重なり批判された
映画『台風家族』、草なぎ剛と出演者の初日舞台挨拶の姿
 映画『台風家族』の初日舞台挨拶に主演の草なぎ剛、共演者のMEGUMI、中村倫也、尾野真千子、甲田まひる、若葉竜也、長内映里香、榊原るみ、藤竜也、そして市井昌秀監督が登場した。 当初は6月の公開予定だったが、出演者の新井浩文が起訴されたことを受け、延期。出演シーンはそのままで、9月6日から3週間限定で公開されている。騒動を乗り越え、初日を迎えることができ、草なぎは感慨深げな表情を浮かべていた。撮影/平野哲郎
2019.09.14 16:00
NEWSポストセブン
草なぎ剛 10年前に想像していたものとは違う現実がある
草なぎ剛 10年前に想像していたものとは違う現実がある
 草なぎ剛が世界一クズな男を演じることで話題の映画『台風家族』。出演者である新井浩文の不祥事により一時は公開が危ぶまれたが、上映を熱望する声に押され、3週間の期間限定公開が決定! 去年の夏、気が遠くなるほど暑い中で撮影したというこの作品には、草なぎの汗と、想いと、ダメっぷりが「これでもか!」と詰まっている。「今のぼくにとっての家族は、(愛犬の)クルミちゃん! 仕事してる最中はいつも“早く帰ってクルミちゃんと遊びたいなぁ”って考えてる、ダメで悪いヤツなんですよ(笑い)」 と、癒しのスマイルで語る草なぎが映画『台風家族』で演じたのは、両親の財産を1円でも多くせしめようと企む、長男の小鉄役。そう、ダメで悪いヤツなのだ。「ぼくにとってすごく重要な作品で、公開されることが何よりうれしい!! この作品って要するに、単なるきょうだいゲンカの話なんだよね(笑い)。なのに何回見ても面白いっていう」 4人のきょうだいはそれぞれが事情を抱え、財産をめぐってぶつかり合う。「きょうだいに限らず、すごく近い存在の人とは、ぶつかる時は激しいけど何年か経つと“あれ? 原因はなんだったっけ?”って思ったりすることがあるでしょ? そういう“濃い関係”が表現できてるといいな、と思いますね」 この作品では、10年という歳月もキーワードのひとつ。「10年前のぼくが想像していたのとは違う現在があるから、10年後はまったく予想できないですね。以前は10年後を思い描いてそこに向かっていたかもしれないけど、今はまるっきり逆。ひとつひとつを大事にして、楽しんで、気がついたら10年経ってたみたいなのが理想だと思う」 そう熱く語った後、「初めて健康診断で数値が要注意と言われたんですよ! 10年後もやり続けるために気をつけないと!」と、10年前から変わらぬ“つよぽんスマイル”を見せた。◆映画『台風家族』 9月6日(金)より全国ロードショー 銀行で2000万円を強盗したまま行方不明になった両親。時効成立の10年後に“見せかけ”の葬儀をするために集まった鈴木家の4人きょうだい。その目的は財産分与!出演:草なぎ剛、MEGUMI、中村倫也、尾野真千子ほか※女性セブン2019年9月19日号
2019.09.06 07:00
女性セブン
【著者に訊け】葉真中顕氏 クライムノベル『Blue』
【著者に訊け】葉真中顕氏 クライムノベル『Blue』
【著者に訊け】葉真中顕氏/『Blue』/1700円+税/光文社 まさに〈主観の数だけ〉、平成の真実はあった。首都ハノイの繁栄からは見事に取り残された〈B省の農村〉。ここで朝から働き、学校にも通えなかったベトナム人女性〈ファン・チ・リエン〉や、昔気質の警視庁捜査一課班長〈藤崎文吾〉。そして「For Blue」と題された断章の正体不明の語り手〈私〉を含む13名の視点によって、葉真中顕著『Blue』は進行する。 彼らが語るのは、奇しくも平成最初の日に生まれ、平成最後の日に世を去った、〈青〉という青年のこと。母親が彼の出生日の青空に因んで名付けたらしいが、記録には平成元年1月8日は雨とあり、〈無戸籍児〉として育った彼の存在自体、〈伝聞以上の証拠はない〉。 物語は平成15年、青梅市内に住む教員一家を当時31歳の次女が惨殺し、自らも薬物による中毒死を遂げた、通称〈青梅事件〉を軸に展開。そして15年後、平成の闇を丸ごと背負ったブルーの運命が、さらなる事件を引き起こすのである。 老人介護の暗部に迫ったデビュー作『ロスト・ケア』を始め、社会派ミステリーの新旗手として評価の高い葉真中氏。ちなみに本作は尾野真千子主演でドラマ化された話題作『絶叫』とも世界を共有し、時代と個人の関係や平成史そのものを本格クライムノベルに結実させた、刑事〈奥貫綾乃〉シリーズの第2弾でもある。「本作も推理物ではありますが、当時14歳のブルーが青梅事件の現場にいたことは早々に読者に明かされていて、最後まで謎なのは『For Blue』の語り手くらい。『ロスト・ケア』の〈彼〉や本書の〈私〉にしろ、その呼称自体が謎を構造的に内包しているし、特に今回はこの私が誰かという謎で読者を牽引しつつ、自分なりの平成史を書くことに全力を注ぎました」(葉真中氏、以下「」内同) 昭和51年生まれの著者は団塊ジュニア世代にあたる。「僕は中学生の時に昭和が終わった就職氷河期世代で、バブル絡みの恨みつらみは、当然ながらあります(笑い)。 もちろんどんな時代にも、その時代なりの悩みはありますが、生まれる時代や環境を選べない以上、全てを個人の資質や選択に還元するのは無理があると思うんです。例えば自己責任論も平成に入って注目された論点の一つですが、同じ人間がある環境では犯罪者、ある環境では善人になることは当然ありえて、人間を描くことと社会を描くことは僕にとって不可分でした」 事件は私立高校に勤める長女〈篠原春美〉が終業式を無断欠勤したことで発覚する。現場からは元教師の父親と母親、春美と5歳の息子〈優斗〉の4人が血塗(ちまみ)れで見つかり、死因は絞死。また浴室では次女〈夏希〉が合法麻薬の過剰摂取で突然死しており、室内にはヒット曲〈『世界に一つだけの花』〉が延々流れていた。 夏希はこの16年間、引きこもり状態にあったらしく、光GENJIのポスターや尾崎豊のCDが並ぶ部屋を、〈昭和で時間が止まった〉と評した者もいた。藤崎らは薬物の入手先や共犯者の線を探り、やがてブルーという少年の存在に辿りつくが、なぜか政府筋から圧力がかかり、捜査本部は解散。事件は被疑者死亡のまま、15年後に持ち越されるのだ。◆負の側面も可視化してこそ小説〈平成の三〇年は、子供が減り外国人が増え続けた三〇年だ〉とあるが、児童虐待や子供の貧困、外国人技能実習制度の悪用など、昏(くら)い世相も平成の一部だった。「女子高生ブームやオタク文化といった事象を僕自身懐かしく思う一方、人が人を搾取し、排除する傾向が強まり陰湿になったのも平成の側面です。 例えば第II部で15年後の事件を担当する綾乃自身、娘を虐待しかねない自分を恐れて離婚した過去を持ちますが、彼女やブルーが育った環境だけが酷いわけではない。たぶん本作に書いたことは平成を生きた誰にとっても他人事ではないし、時代も現実も個人の力ではなかなか変えられないからこそ、想像力の出番だという気がするんです。 それこそ平成7年にオウム事件と阪神大震災が起き、平成23年に東日本大震災が起きたという鉄壁の事実を前に、小説は何ができるかを僕は考えてきました。作中に引いた『世界に一つだけの花』にしても、多様性の享受という解釈と、指標やモデルの喪失という解釈の両方が可能なはず。そうしたみんなが見ないことにしている負の側面をも可視化してこそ、僕は小説だと思う」 特に印象的なのが動詞だ。冷戦構造や対立軸を失ってあらゆる価値観が〈溶けた〉時代に、人は〈選ぶ〉こともできずに生まれ、もがき、綾乃の場合は苦悩の果てに我が子を〈手放す〉のだ。「言葉にも両義性があって、手放すも一見ネガティブな言葉ですが、娘のためには逆に賢明だったかもしれない。虐待や劣悪な労働環境から逃げるもそう。溶けた社会に対して、個人は何かを選び、手放すことで抗うしかなく、たとえ法的に正しくなかろうと一矢報いた人間の物語を、書きたいんです。 僕もロスジェネの恨みを書いて一矢報いてはいるし、小説で世界を変えようなんていう大げさな発想は、もう古いと思う(笑い)。むしろ誰もが時代や社会に否応なくコミットしている双方向的な関係の中で、自分も社会の一角で何物かを成しているという過小評価でも過大評価でもない自覚の蓄積が、令和の時代を作っていくと思うんです」 その前提すら与えられなかったブルーの短く哀しすぎる生涯を、おそらく平成を生きた誰もが断罪はできまい。【プロフィール】はまなか・あき/1976年東京生まれ。東京学芸大学教育学部中退。2013年『ロスト・ケア』で第16回日本ミステリー文学大賞新人賞を全選考委員絶賛のもと受賞し、作家デビュー。同作及び受賞後第一作『絶叫』は各ミステリーランキングで上位を獲得し、本年は『凍てつく太陽』で第21回大藪春彦賞と第72回日本推理作家協会賞をW受賞するなど、目下最注目の社会派の新鋭。著書は他に『コクーン』『政治的に正しい警察小説』等。165cm、60kg、A型。構成■橋本紀子 撮影■国府田利光※週刊ポスト2019年6月14日号Blue
2019.06.06 16:00
週刊ポスト
妻・国仲涼子
好きな朝ドラヒロインTOP10、尾野真千子、国仲涼子らの魅力
 本誌・女性セブンでは読者とテレビ評論家の計1200人を対象に、「最も好きな朝ドラヒロイン」についてアンケートを実施した。あなたの好きな朝ドラヒロインは、何位にランクインしただろうか。 1位は2015年『あさが来た』のあさ役を演じた波瑠。2位は2013年『あまちゃん』のアキ役だった能年玲奈(現在・のん)。3位は1983年『おしん』のしん役を演じた小林綾子。4位は2017年『ひよっこ』のみね子を演じた有村架純。そして、5位は『半分、青い』の鈴愛を演じた永野芽郁となった。初期作品ながらも上位・6位に食い込んだ1966年の『おはなはん』のは、はな役・樫山文枝。 テーマは食で、食欲をそそられた人も多いはず。7位は2013年の『ごちそうさん』め以子役の杏。主人公・め以子が結婚し大阪へ移った後、家族のためにおいしい食事を作る日々を描いている。東出昌大(31才)が演じた夫・悠太郎との安定した夫婦像を描き、“支え合う”というメッセージが共感を呼んだ。「夫を助ける、子供を育てる、食で支えるというコンセプトが明確でした。“食”を軸に家をめぐる問題が描かれ、戦争という理不尽が加わることで、主人公の正義感とたくましさが際立っていった作品でした」(コラムニストの矢部万紀子さん) ◆「朝ドラ受け」が登場 それまで8時15分スタートだった朝ドラが、2010年上半期、82作目の『ゲゲゲの女房』から8時の放送となった。朝ドラの転換点とも評されている。同作主演の松下奈緒が8位だ。 放送時間のせいでもないだろうが、初回視聴率は朝ドラ史上最低。にもかかわらず、21世紀に入り作品ごとに視聴率を下げていた朝ドラを、見事にV字回復させた。 同時期に始まった情報番組『あさイチ』の存在も大きい。V6の井ノ原快彦や有働由美子アナが、終わったばかりのこの作品について語る、いわゆる「朝ドラ受け」が始まったのだ。 漫画家・水木しげるさんの妻・武良布枝さんの自伝エッセイをもとにしたこの作品。戦争で片腕をなくしながらも漫画家として大成していく夫の厳しさや窮乏生活、それを支える妻の数々の試練と、夫唱婦随が描かれている。松下と、水木役の向井理のコンビも高い支持を得た。 9位は朝ドラ史上初めて、沖縄が舞台となった2001年の『ちゅらさん』の国仲涼子。主人公・恵里役を演じた国仲は、朝ドラヒロイン初の沖縄県出身者でもあった。 物語は東京と沖縄を舞台に、家族や職場の人々との交流を軸に、互いの絆や恋、人間的な成長を描いていく。小浜島出身の恵里は結婚後、情緒不安定な息子のために地域の保健施設を作り、子育てと仕事を両立させていく。「それまで優等生なイメージが強かった朝ドラのヒロインですが、視点を少しずらして天然なヒロインを作り上げ、朝ドラの可能性を大きく広げました。国仲さんの沖縄の方言はとてもナチュラルで、かわいかったですね。この2つによって、朝ドラのムードを一気に明るくした功績があります」(コラムニストの成馬零一さん)◆女の強さと矜持を感じた 今回、もっとも熱量の高い意見が集まったのが10位となった2011年『カーネーション』の主人公・糸子を演じた尾野真千子。そこには、女らしさと男らしさを乗り越えていく姿があった。「男尊女卑が今よりもずっと根強い時代に、洋服に目をつけて頑張った糸子に創意と工夫の大切さを教えられました。何かあった時立ち止まるのではなく、アイディアを巡らせて前進する姿勢が好きでした」(静岡県・58才・公務員) コラムニストの吉田潮さんも糸子一択だと言う。「働く女の強さと矜持が感じられました。誰かに助けてもらうヒロインではなく、自分の足で立って満身創痍になっても闘うヒロインです。そっと見守りながら距離を置くという悲恋の結末も、尾野真千子だからこそ胸がじんわり温まったのです」 モデルは、コシノ3姉妹を生み育てた小篠綾子さん。大阪の呉服店に生まれた糸子を主人公にその生涯が描かれるが、圧巻は戦争で夫を亡くした糸子が、妻子ある男性と恋に落ちた、なんとも艶やかな場面。「糸子の弱さや女の業の描かれ方がすごい。ヒロイン交代の際には批判が随分ありました。また、糸子が亡くなった後の有働アナの朝ドラ受け『おはようございます。死にました』は、後にも先にもこれ以上語り継がれるものはないのではないでしょうか」(カトリーヌあやこさん) 1日たったの15分。そこには、女性の悲喜こもごもの人生が多様に描かれている。次はどんなヒロインが誕生するか見逃すわけにはいかない。※女性セブン2019年3月28日・4月4日号
2019.03.26 07:00
女性セブン
『後妻業』の木村佳乃 大阪弁は及第点もテンション高すぎか
『後妻業』の木村佳乃 大阪弁は及第点もテンション高すぎか
 方言を扱う作品は、ネイティブか非ネイティブかによって評価が二分されてしまうことがよくある。ドラマウォッチを続ける作家で五感生活研究所代表の山下柚実氏が指摘する。 * * * 連続ドラマも折り返し地点。「今期は大人を満足させるドラマが少ない」という嘆きの声もちらほらと聞こえてきます。スタート当初、中高年世代から熱い期待が寄せられたドラマ『後妻業』(フジテレビ系火曜午後9時)はどうでしょうか? 主人公は遺産相続目当てに資産家老人を狙う結婚詐欺・後妻業の女=武内小夜子。演じるのは木村佳乃さん。小夜子は真っ赤なコートにヒョウ柄スカートのコテコテ大阪女。顔一面パックしたスッピン姿はもはやホラー感すら漂い、ジェイソン(『13日の金曜日』)を連想させました。美形の女優がここまでやるか、というぶち切れ感は凄いものがある。 そしてドラマは中盤にさしかかり、評判に変化が見てとれるとすればそれは……? 当初、最も注目された点は木村さんの大阪弁でした。言葉巧みにジジイを騙す悪女の物語だけに、東京・世田谷区出身の木村さんの大阪弁には正直、一抹の不安もあった。ご本人も「できる限り練習をし、ネイティブの方に及第点をいただけるまでは頑張りたいと思っています」と意気込みを語っていたほど。猛練習を重ねたとか。 そこで関西人に木村さんの大阪弁の感想を聞いてみると……「ほとんどヘンに思うところはない」「イントネーションに問題なし」。想像以上に高い評価で驚かされました。特訓の成果なのか、「ネイティブの方に及第点をいただける」水準に達しているもよう。 いや、問題はむしろ別のところに潜んでいそうです。 小夜子はやたらテンションが高い女。大口を開けて笑い、煙草をくわえて吼える。「あまりに高いテンションに違和感あり」と大阪人は指摘するのです。「関西人=テンション高い、と一般的に思われてるのかもしれないけれど、普段は押さえて低空飛行している人、いっぱいおるで。やり過ぎると不自然になる」 なるほど。関西人=やたら高いテンションというのは、関西をよく知らない人の身勝手な固定概念、いわば偏見かも。ハッとしました。江戸っ子の私にはとうてい気付くことのできないポイントです。「いくら大阪のオバチャンでも、あそこまでテンション高い人はなかなかいない。ドラマの中で関西スタンダードといえば、やはり濱田マリ(小夜子の妹・尚子役で登場)。普段話す時は低い声で、時々妙に高いテンションになるのが自然」 なるほど。木村さんの入りっぱなしのスイッチに問題がありそう。ファッションもド派手です。ショッキングピンクにヒョウ柄、毛皮に総レースにサングラスで歩いている人なんて、今どきいるか。ゲスな大阪人になろうなろうとテンパりすぎかも。 役作りにおいてやり過ぎは禁物で引き算が大切、という教訓かもしれません。「主人公だけはせめて関西出身の役者を使ったらよかったのに」という声も聞かれました。では、いったい誰なら小夜子役にぴたっとハマるのか?「藤山直美あたりに主演してほしかったわ〜」「いや、尾野真千子やろ」「転落して陰りのある藤原紀香なんかどう?」 と好き放題、無責任に放談できるのがテレビドラマの楽しみであり大きな魅力でしょう。 さて、主役以外の評判はどうでしょうか? 小夜子のバディ・柏木を演じる高橋克典さんの大阪弁には激しいツッコミが。「雰囲気は大阪弁でも、単語のイントネーションが完全に違う時があって語尾が下がる所で上がってたりするんよ。だから全体として下手な印象になる」と、ネイティブ視聴者ゆえの鋭い指摘。 また、予想外に演技の評価が高かったのが、小夜子に騙される3爺──泉谷しげる、佐藤蛾次郎、麿赤兒。騙されっぷりが哀しくて、枯れ具合がいい。人間が弱っていく悲哀を体現している。それでもエロや強欲が落ちない。煩悩を見るようだと好評です。 そう。シニア・シルバー層にはまたまだ味わい深い役者がたくさん潜んでいそうです。若い頃は突っ張って肩で風を切っていても、そのポジションを自覚的に降りる頭の良さがあれば、枯れた人間の味わい深い演技ができる……と、ドラマの中には予想もつかない味わいポイントがあちこちに隠れています。だから、見るのをやめられません。
2019.02.23 16:00
NEWSポストセブン

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巨人に13.5ゲーム差でヤクルトが首位独走 「CS開催の必要あるのか」の指摘も
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NEWSポストセブン
左から主演のオースティン・バトラー、妻役のオリヴィア・デヨング、バズ・ラーマン監督、トム・ハンクス(EPA=時事)
『トップガン』『エルヴィス』大ヒットが示すアメリカの“昭和ブーム”
NEWSポストセブン
TBS・安住紳一郎アナウンサーの魅力の源は?(時事通信フォト)
TBS安住紳一郎アナ、恩師や先輩アナが明かす“天才的なしゃべり”“のスキル
週刊ポスト
判決が出る前に謝罪動画をYouTubeに公開していた田中聖(公式YouTubeより)
出身地を隠さないアイドルだった田中聖 罪を償い寛解したなら帰る場所はある
NEWSポストセブン
眞子さまの箱根旅行のお姿。耳には目立つイヤリングも(2018年)
小室圭さんの妻・眞子さん 華やかだった4年前の「箱根・女子旅ファッション」
NEWSポストセブン
メディアの前に久しぶりに姿を現したブラザートム(撮影/黒石あみ)
ブラザートムが不倫騒動・事務所独立からの今を語る「娘にはよくハガキを書いてあげるんです」
NEWSポストセブン
小室圭さんと眞子さん
小室圭さん妻・眞子さんがNYで行きつけのスーパーから見えてきた“妻の気遣い”「日本でいえば『成城石井』」 
NEWSポストセブン
結婚し、日本メディアが情報をキャッチしづらいNYで、デイリーメールが追跡取材(写真/JMPA)
小室圭さん・眞子さん夫婦が「離婚で終わったとしても…」英デイリー・メールが報じた「茨の道」
NEWSポストセブン
高橋真麻
高橋真麻「おでんの卵8個食べても太らない」女性が憧れる美スタイルの理由
NEWSポストセブン