芸能

立川談修 正攻法で清々しい後味の「ダーク」な落語

立川談修の魅力を解説

 音楽誌『BURRN!』編集長の広瀬和生氏は、1970年代からの落語ファンで、ほぼ毎日ナマの高座に接している。広瀬氏の週刊ポスト連載「落語の目利き」より、立川流には珍しい端正な口調の真っ直ぐな立川談修による正攻法の「ダーク」な落語について、お届けする。

 * * *
 立川談志が生前最後に真打昇進を認めた弟子が立川談修。2003年に談志一門が出した『談志が死んだ』という本の中で談志は当時二ツ目の談修を「間違いのない芸の形で文句はない」と誉めた。個性派揃いの立川流には珍しい、端正な口調の真っ直ぐな芸風が談修の持ち味だ。

 11月5日、日本橋社会教育会館で「談修インザダーク」を観た。「明るく楽しいだけが落語じゃない」をテーマに2013年から年1回行なっている独演会で、今回は『首提灯』『文違い』『死神』の3席を演じた。

『首提灯』は談志が二ツ目の柳家小ゑん時代から得意にしていた噺で、談修も談志の型に忠実に演じた。首がポロッと落ちそうになる場面がリアルに見えるのは小柄な演者の利点。同じく小柄な柳家喜多八が抜群にリアルだったのを思い出す。

 首を提灯の代わりに差し上げて「ハイ御免、ハイ御免」というサゲは圓生の型で、談志もそう演ったりしていたが、もともと談志の『首提灯』は八代目正蔵直伝で、本来は火事見舞いで首を差し出して「八五郎です」がサゲ。晩年、半年の休養から復帰した2010年4月の紀伊國屋ホールの高座で談志は『首提灯』を演じ、「八五郎です」でサゲていた。

『文違い』は談志が演らなかった噺。著書『談志 最後の根多帳』で「志ん朝が上手く演っていたので、今さら踏み込むことはないと思っている」と書いていた。新宿の遊廓で男女が騙し騙される噺で、たいていの演者は「新宿」や「間夫」について説明するが、談修はそれをせず「色街の女は男の自惚れ心をくすぐるもの」と言うくらい。つまりそれがこの噺のテーマだ、ということか。

関連キーワード

関連記事

トピックス

岸信夫元防衛相の長男・信千世氏(写真/共同通信社)
《世襲候補の“裏金相続”問題》岸信夫元防衛相の長男・信千世氏、二階俊博元幹事長の後継者 次期総選挙にも大きな影響
週刊ポスト
海外向けビジネスでは契約書とにらめっこの日々だという
フジ元アナ・秋元優里氏、竹林騒動から6年を経て再婚 現在はビジネス推進局で海外担当、お相手は総合商社の幹部クラス
女性セブン
二宮和也が『光る君へ』で大河ドラマ初出演へ
《独立後相次ぐオファー》二宮和也が『光る君へ』で大河ドラマ初出演へ 「終盤に出てくる重要な役」か
女性セブン
女優業のほか、YouTuberとしての活動にも精を出す川口春奈
女優業快調の川口春奈はYouTubeも大人気 「一人ラーメン」に続いて「サウナ動画」もヒット
週刊ポスト
真剣交際していることがわかった斉藤ちはると姫野和樹(各写真は本人のインスタグラムより)
《匂わせインスタ連続投稿》テレ朝・斎藤ちはるアナ、“姫野和樹となら世間に知られてもいい”の真剣愛「彼のレクサス運転」「お揃いヴィトンのブレスレット」
NEWSポストセブン
デビュー50年の太田裕美、乳がん治療終了から5年目の試練 呂律が回らず歌うことが困難に、コンサート出演は見合わせて休養に専念
デビュー50年の太田裕美、乳がん治療終了から5年目の試練 呂律が回らず歌うことが困難に、コンサート出演は見合わせて休養に専念
女性セブン
今回のドラマは篠原涼子にとっても正念場だという(時事通信フォト)
【代表作が10年近く出ていない】篠原涼子、新ドラマ『イップス』の現場は和気藹々でも心中は…評価次第では今後のオファーに影響も
週刊ポスト
交際中のテレ朝斎藤アナとラグビー日本代表姫野選手
《名古屋お泊りデート写真》テレ朝・斎藤ちはるアナが乗り込んだラグビー姫野和樹の愛車助手席「無防備なジャージ姿のお忍び愛」
NEWSポストセブン
破局した大倉忠義と広瀬アリス
《スクープ》広瀬アリスと大倉忠義が破局!2年交際も「仕事が順調すぎて」すれ違い、アリスはすでに引っ越し
女性セブン
大谷の妻・真美子さん(写真:西村尚己/アフロスポーツ)と水原一平容疑者(時事通信)
《水原一平ショックの影響》大谷翔平 真美子さんのポニーテール観戦で見えた「私も一緒に戦うという覚悟」と夫婦の結束
NEWSポストセブン
韓国2泊3日プチ整形&エステ旅をレポート
【韓国2泊3日プチ整形&エステ旅】54才主婦が体験「たるみ、しわ、ほうれい線」肌トラブルは解消されたのか
女性セブン
大谷翔平と妻の真美子さん(時事通信フォト、ドジャースのインスタグラムより)
《真美子さんの献身》大谷翔平が進めていた「水原離れ」 描いていた“新生活”と変化したファッションセンス
NEWSポストセブン