平成の30年間の東京都の最低時給の推移


細野:この事件の真相が見抜けるかどうかが、家計を考えるうえで非常に重要になるんだよ。では、ここで「ヒント」を出そうか。『家計ノート』では、毎年、その年の家計のニュースが見抜けるように、大切な最新の50個のコラムが毎週用意されているんだけど、この事件では、まさに次が重要なカギなんだよ。

コロ:へ~給料は上がらないって、ずっと言われ続けている気がするけど、実際には、全国の平均でも最低時給は3%を超えるまでに上がっていたんだね! つまり、会社は給料を上げていたけれど、「値段」はそれほど上げられずにいた、ということなの?

細野:まさに、そういうことで、公文の場合は、27年も値段を上げずにいたわけだね。

コロ:でも、給料を増やし続けて「値段」をそのままにしちゃうと、会社は苦しくなってしまうんじゃないの?

細野:そう、それがこの事件の真相なんだよ。本来は、もっと早くに値上げをすべきだったのかもしれないけれど、さすがに耐えられなくて、遂に値上げに踏み切ったんだよ。でも、この仕組みは、学習塾という狭い世界だけの話ではなくて、日本のすべての業界についての話なんだ。だって、日本は世界一の「高齢化」の国で、人口も減っているから、この先も時給はどんどん上がる方向にいくからね。

コロ:なるほどね。それなら、このニュースは「これまで耐えてきた公文でさえ値上げをしなければならない状況にまでなった」ということなのか。

細野:例えば、東京都の最低時給は2018年で985円、2019年には1000円を超えることになるんだけれど、27年前は500円台だったわけだからね。

コロ:うわぁ! 平成というと、何となく「失われた何十年」とか言われ続けたから、むしろ時給は下がり続けていると思っていたよ…。時給が2倍くらいにも上がっていたのなら、さすがに値上げはしないと会社がもたないよね。

細野:そういうことなんだよ。このように普段から家計簿をつけていれば、時給が上がっていることだって、当たり前の話なんだよね。つまり、イメージだけのニュースに惑わされずに、ちゃんと地に足のついた生活をすることができるんだ。

コロ:なるほどね。それで、公文は27年ぶりに「月会費」をどのくらい上げたのかな? まさか一気に2倍、ということはないよね?

細野:一教科あたりの月会費は、全国一律で以下のようになったんだ。

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