2018年10月4日にアメリカのペンス副大統領が「中国の台頭を許してはならない」という歴史的な演説を行ったことは、各種報道されている。時代はどうやらアメリカと中国の本格的な対立構造に突入したようだ。
アメリカはかつて太平洋の覇権を大日本帝国と争い、第二次世界大戦で見事に勝利した。その後、世界の覇権をソ連と争う米ソ冷戦に突入。その戦いにも勝利した。
しかし、長らく中国に対しては宥和的な政策を続けてきた。ここ10年以上、中国の傲慢な態度を身近に接している日本から見ていると、アメリカの対中政策は何とも微温的だった。しかし、ペンス演説でアメリカの対中政策が切り替わったことは世界中に伝えられた。
そのことを、最も敏感に受け止めているのは他ならぬ中国政府と中国人であろう。特に資産の多くを国外に保有している中国の富裕層たちは政治情勢に気を配っている。何と言っても、政治的な立場が危うくなればすべてを失うお国柄だ。
ファーウェイのCFOがカナダで逮捕されたことも大きい。アメリカと対立するということは、他のすべてのアングロサクソン系の国々との対立構造に組み込まれることでもあるのだ。
世界的にビジネスを広げている中国の大企業幹部は、アングロサクソン系の国への出張を控え始めた、という報道さえ見られるようになった。どんなことで身柄を拘束されるのか分からないのだろう。
彼らはアメリカだけでなくカナダやオーストラリアなどでも多くの資産を保有している。そういった国々で何らかの犯罪容疑を掛けられた場合、彼らの保有する資産は凍結される恐れすらある。中国の富裕層の中たちは、そういった事態が現実化するのではないかと怯えているのではなかろうか。
では彼らにとって、海外で保有する資産の安全な逃避先はどこか。間違いなく日本はそのひとつに入るはずだ。