日本の政治風土は外国との極端な対立構造に馴染まない。例えば、あからさまに日本の国土を奪い、条約さえ守らない韓国とも表面的には友好関係を続けている。さらに、外国人の不動産所有に対して規制がない。
また、私有財産に関する保護の概念や法制度が行き渡っている。よほどのことがない限り、個人の財産権が国家権力によって損なわれることはない。それが日本だ。こういった個人の財産権の保護は日本人だけでなく、外国人にさえ適用されている。世界でこれほどの安全な資産の逃避先は、日本の他にはスイスくらいではなかろうか。
ただし、日本の不動産は投資先としては妙味がない。
2015年頃に日本のタワーマンションを爆買いした中国人は今、さぞかしがっかりしているはずだ。なぜなら、彼らが購入したタワーマンションは、せいぜい1.3倍程度にしか値上がりしていない。仮に1.3倍で売却できても、様々な経費を差し引くと、手元にはほとんど利益が残らないはずだ。さらに、うかうかしていると譲渡益に課税までされてしまう。
カナダやオーストラリア、あるいはアメリカの不動産の一部は、ここ数年で1.3倍どころか2倍以上に高騰したものさえあるのだ。それを考えれば、日本の不動産は投資先として魅力が薄い。そういうことが判明した2017年以降、中国人たちは日本のタワーマンションを値上がり益狙いでは買わなくなってしまった。
ところが今、資産の逃避先としてはかなり安全で手堅いことによって、再び注目され出したかもしれない。
本来の日本の富裕層は湾岸エリアのタワーマンションなどには見向きもしない。埋立地であることや、あの醜悪な外観が嫌われる。だから湾岸のタワーマンションは、東京に移り住んだにわかな富裕層が住む、というイメージが定着している。
しかし、中国人の富裕層にとって埋立地やタワーマンションへのアレルギーはほとんどない。むしろ、そういった物件のほうを好む傾向がある。彼らが戻ってくると、高値で沈滞気味の湾岸エリアのタワーマンション流通市場は、再び活気を取り戻すかもしれない。
しかし、それも移り気な彼らの一時的なブームで終わる可能性が高いようにも思えるのだが……。