もちろん、お気づきの方もいるだろうが、この「インスタグラマー養成」セミナーは、かつて流行した「情報商材」のスキームはそのままに、名前だけ変えて、同じグループによって行われているとみられる。「儲かるためには高額なセミナーを受けなさい」という例のアレだ。セミナーの看板を掛け替えただけで、やっていることは以前と変わらず、詐欺、またはねずみ講まがいの行為が繰り広げられているに過ぎない。
「未成年の娘ですから、契約行為は無効と訴えましたが、相手側が弁護士を立てて反論してきたこともあり、とにかく一刻も早く娘を連中から遠ざけたい一心で、手切れ金の数万円を支払いました」
当然だが、これらの「スカウト」に応じたところで、実際に人気インスタグラマーになれる可能性はほとんどない。未成年や夢見る若者の無知に付けこみ、1円でも多く奪い取りたいというのが、連中の本音である。さらに言えば、相手方が立ててきたという弁護士も、本当にいるかは疑わしい。Aさんが把握していた相手方の弁護士は、筆者が調べると実在しない人物であった。弁護士大観、法曹期別名簿でも確認が取れず、事務所自体の存在もなかった。相手が無知と知るや、ありとあらゆる嘘デタラメ、ハッタリでもって、畳みかけてくる。
また、今現在「スカウト」メッセージを書き込んでいる人物こそが、かつて自身も「スカウト」された張本人でもある。実際にインスタグラマーの”スカウト”とやり取りをしたことがある都内在住の読者モデル・Cさん(20代)が説明する。
「スカウトに話を聞くと、まずは高額なセミナーに呼ばれるところから始まります。内容は、映える写真を撮るとかそういうのも少しだけありますが、メインは、あなたもたくさんのユーザーをスカウトして、不労所得を得よう、というもの。自分がスカウトした人が、さらにスカウトをこなしてセミナーなどで儲かれば、そのうちの一部が私に振り込まれます、って。これってねずみ講ですよね」(Cさん)
セミナーという“情報商品”があるにはあるが、やはり「ねずみ講」まがいであることは間違いない。ネットインフラの発達、SNSの隆盛の陰で、なんとか一般市民を取りこむべく、ねずみ講などのインチキ商売は日々形を変え続けている。インスタやYouTubeなど、今まさに「ブーム」と呼ばれているムーブメントに必ず寄生する連中の手法を知り、自身はもちろん身近な人がこれら卑劣な連中に食われないよう、心がけておきたい。