──発達障害の診断を受けた頃ですね。
姫野:そうですね。ちょうど1年前に、仕事のしすぎで眠れなくなったりと体調を崩して、病院にかけこんだんですね。ついでに発達障害の診断を受けてみたら、診断が下された。これらの一連の体験によって、吹っ切れたのだと思います。同時に、私が必死に仕事ばかりしていたのは、一つの自己逃避だったと気付きました。もちろん、私はライターしかできないので、今、こうして仕事ができていることには感謝しかありませんが。
──仕事の仕方が変わりましたか?
姫野:はい。今は、スケジュールを管理して、倒れない程度の仕事量にしています。もともと私がワーカーホリックだったのは、恋愛がめっぽうダメなので、仕事で生きるしかないと自分に言い聞かせてきたからです。恋愛より仕事のほうが、私にとってはずっとラクだし、上手くできるんです。でも最近、少しずつ、プライベートも充実させたいという気持ちになってきましたね。
──姫野さんの恋愛に対する苦手意識はどこから来ていますか?
姫野:高校時代、スクールカーストの底辺にいたトラウマから、男性に恐怖心を持つようになってしまったんです。恋愛への苦手意識はまだ克服できていません。
発達障害の女性は私に限らず、自己肯定感が低いので、自信がなさすぎて誰ともお付き合いができないとか、あるいはダメな男やモラハラ・パワハラ男に引っかかって苦労する人もいる。発達障害の女性がどうしたらいい恋愛ができるのか。その辺りは、いま気になっているテーマの一つです。
◆姫野桂/ひめの・けい
1987年生まれ。宮崎市出身。日本女子大学文学部日本文学科卒。大学時代は出版社でアルバイトをし、編集業務を学ぶ。卒業後は一般企業に就職。25歳のときにライターに転身。現在は週刊誌やウェブなどで執筆中。専門は性、社会問題、生きづらさ。著書に『私たちは生きづらさを抱えている 発達障害じゃない人に伝えたい当事者の本音』(イースト・プレス)『発達障害グレーゾーン』(扶桑社新書)