また、旧貴乃花一門の合流で関取21人を抱える最大勢力となった二所ノ関一門(出羽は15人)のなかにも難敵が揃う。“同じ一門だから”と手心を加えることなどないガチンコ勢が居並ぶなか、とりわけ中学の全国大会決勝でぶつかったこともある同い年の阿武咲(おうのしょう、前頭6)は強いライバル意識を燃やす。「対戦があるかは成績次第の番付差だから、序盤からエンジン全開で場所に臨むはず」(協会関係者)だという。松鳳山(前頭3)、嘉風(同5)らも強敵だ。
一門に加えて角界の人間関係を複雑にするのが「学閥」だ。高校では朝青龍(元横綱)を出した高知の明徳義塾、貴ノ岩、逸ノ城(前頭1)を輩出した鳥取城北、これに貴景勝の母校・埼玉栄が3大勢力を形成する。なかでも関取11人の埼玉栄の存在感が際立つ。
「角界で学閥といえばかつては日大でした。今でも指導者を含めた日大人脈は幅広く存在するが、大卒力士も日体大、近大、東洋大など出身校が分散。大卒力士たちは、高校3年で入門した貴景勝を簡単に大関に昇進させたくない意地があるでしょう。とくに東農大卒の正代(前頭3)は貴景勝と同じ年に初土俵を踏んでいる。“年上の同期”として絶対に負けたくないはずだ」(前出の協会関係者)
平成最後の「天覧相撲」もある初場所。貴景勝は並み居る難敵を退けられるか。
※週刊ポスト2019年1月11日号