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1月7日に七草がゆを食べる理由と「すずしろ」等の正体

おかゆによく洗って細かく刻んだ七草を加えて蒸らし、塩で調味する

 1月の最大行事である正月について、日本の伝統文化を伝える『しつらい教室「食和家」』を主宰する、大田サチさんは、「正月に家々に訪れる年神様をお迎えし、昨年の実りと平穏に感謝して、新年の豊穣と平安を祈念する行事です」と、説明する。

「みなさんご存じのおせち料理は、神様にお供えする食事で、正式には『節供(せちく)』といいます。食材としては、黒豆は“まめ”に暮らせますように、数の子は“春告魚”と表記する春の使者・にしんの子で、子孫繁栄の願いを込めてなど、料理の一つひとつに意味があるのです」(大田さん)

 1月1日の朝を意味する元旦から7日までが松の内で、年の暮れに松飾り(門松)を立ててお迎えした年神様に滞在していただく期間だ。その後も鏡開き、小正月など正月行事が続く。

 二十四節気では、小寒から大寒、2月の立春までが、寒さの厳しい“寒の内”とされている。江戸時代には、重要な年中行事として、中国に習い「五節句(江戸時代は五節供)」が認定された。その最初である1月7日は、「人日の節句」という。

 古代中国では7日は人を大切にし、刑罰を与えない日とされており、「七種菜羹」(7種の菜が入った吸い物)を食べていたことから、そこに平安時代のかゆを食べる宮中行事が結びついたといわれている。日本和食卓文化協会代表理事の槻谷順子さんは話す。

「江戸時代に人日の節句が幕府の公式行事になり、庶民にも定着してきたものです。ただ、現代のように流通が発達していない時代は、七草すべてをそろえるのは至難の業。七草がゆといいながら、1~3種類で作ることが多かったようです」

“すずな”は“かぶ”、“すずしろ”は“大根”のこと。全種類をそろえなくても、これらの根と葉を入れるだけでも充分だ。

「七草はなるべく大きな音を立てて刻むのがいいとされています。七草それぞれに効能があり、新年会などで疲れた胃を休めるのにも最適です」(大田さん)

■「七草」とは?

【1】せり…ビタミンCやミネラルが豊富。食欲増進、貧血予防に。
【2】なずな…利尿・解毒作用があり、腎臓と肝臓を整える。高血圧の予防に。
【3】ごぎょう…たんぱく質やミネラルが豊富。咳や痰を取り除き、のどの痛みを抑える。
【4】はこべら…止血・利尿作用があり、歯ぐきや皮膚の腫れ、痛みに。
【5】ほとけのざ…葉の丸い形が蓮の花に似ている。高血圧予防に。
【6】すずな…かぶのことで、葉はカルシウムやカリウムが豊富。
【7】すずしろ…大根のこと。ビタミンC、鉄分、食物繊維が豊富。消化や二日酔いによい。

※女性セブン2019年1月17・24日号

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