ビジネス

「出版不況」の中、30代女性2人で出版社をあえて作ったワケ

オフィスで働く社長の安澤さん

「出版不況」と言われて久しい昨今、新しい出版社が2018年10月、この世に生まれた。その名は「レゾンクリエイト」。30代の女性2人で経営している。周囲からは「なんで今さら出版社?」と不思議がられたというが、彼女たちはなぜ“あえて”出版事業をスタートしたのだろうか。

『今選ぶなら地方小規模私立大学~偏差値による進路選択からの脱却~』を出版したばかりの、同社代表取締役社長の安澤真央さんと、同社の共同経営者でライティングコンサルタント・佐藤智さんへのインタビュー前編をお届けする。

◆「出版社になる」は目的ではなく手段だった

――最近では、本が売れない、あるいは出版社や書店がつぶれてしまうなどというニュースをよく耳にします。こうした時代に、どうして2人で出版社を立ち上げようと考えたのですか?

安澤:「出版社事業をスタートした」というと、「大丈夫?」「いったい出版社ってどうやって作るの?」などと声をかけられます。在庫ビジネスなので、たしかにリスクはありますが、今のところ、とても楽しく経営しています。ありがたいことに、生きていけるだけの報酬も自分たちに出せていますし、2018年に引っ越したオフィスの賃料も払えています。実のところ、最初から出版社をやりたかったわけではありません。「出版社になる」という手法にたどり着いたという表現が正しいかもしれませんね。

佐藤:これまで私たちは企業の広報誌やオウンドメディアの編集・ライティングや、他の出版社さんから依頼を受けてブックライティングを行ってきました。ある時、『今選ぶなら、地方小規模私立大学!~偏差値による進路選択からの脱却~』の著者に結果的になるかたから、本を出したいというご要望をいただいたんです。他の出版社に売り込みのお手伝いをすることも考えたのですが、私は教育を専門としているので弊社で作れるならば作って出してみたい――そんな思いから「出版社になる」道を模索することにしました。これまでの制作・ライティング事業に加えて新機軸の出版事業をどうスタートさせたらいいか、安澤と話し合いました。

安澤:社名の「レゾンクリエイト」というのは、フランス語の「レゾンデートル」から取っています。レゾンデートルは、「存在理由」や「存在意義」という意味を持ちます。依頼いただいたお客の存在意義を一緒に輝かせ創っていきたいという思いから付けました。それを続けていることが、自分たちの存在意義を高めることにもつながるのではないかと思ったのです。

 今回の書籍のお話をいただいときも、地方私立大学の「存在意義」を広く伝えていく方法として、本という切り口が有効だと思ったので出版事業をスタートしたのです。本を出すことは目標ではなく、あくまで手段。私たちは、Web事業にもかかわっていますし、コミュニティーづくりなどにも興味がある。最適な発信の仕方を吟味した結果、今回は出版するという道を選んだのでした。

◆いびつな出版業界の構造

関連記事

トピックス

生成AIを用いた佳子さまの動画が拡散されている(時事通信フォト)
「佳子さまの水着姿」「佳子さまダンス」…拡散する生成AI“ディープフェイク”に宮内庁は「必要に応じて警察庁を始めとする関係省庁等と対応を行う」
NEWSポストセブン
麻辣湯を中心とした中国発の飲食チェーン『楊國福』で撮影された動画が物議を醸している(HP/Instagramより)
〈まさかスープに入れてないよね、、、〉人気の麻辣湯店『楊國福』で「厨房の床で牛骨叩き割り」動画が拡散、店舗オーナーが語った実情「当日、料理長がいなくて」
NEWSポストセブン
保護者を裏切った森山勇二容疑者
盗撮逮捕教師“リーダー格”森山勇二容疑者在籍の小学校は名古屋市内で有数の「性教育推進校」だった 外部の団体に委託して『思春期セミナー』を開催
週刊ポスト
まだ重要な問題が残されている(中居正広氏/時事通信フォト)
中居正広氏と被害女性Aさんの“事案後のメール”に「フジ幹部B氏」が繰り返し登場する動かぬ証拠 「業務の延長線上」だったのか、残された最後の問題
週刊ポスト
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《ブログが主な収入源…》女優・遠野なぎこ、レギュラー番組“全滅”で悩んでいた「金銭苦」、1週間前に公表した「診断結果」「薬の処方」
NEWSポストセブン
新宿・歌舞伎町で若者が集う「トー横」
虐待死の事例に「自死」追加で見えてきた“こどもの苛烈な環境” トー横の少女が経験した「父親からの虐待」
NEWSポストセブン
生徒のスマホ使用を注意しても……(写真提供/イメージマート)
《教員の性犯罪事件続発》過去に教員による盗撮事件あった高校で「教員への態度が明らかに変わった」 スマホ使用の注意に生徒から「先生、盗撮しないで」
NEWSポストセブン
京都祇園で横行するYouTuberによる“ビジネス”とは(左/YouTubeより、右/時事通信フォト)
《芸舞妓を自宅前までつきまとって動画を回して…》京都祇園で横行するYouTuberによる“ビジネス”「防犯ブザーを携帯する人も」複数の被害報告
NEWSポストセブン
インフルエンサーのアニー・ナイト(Instagramより)
海外の20代女性インフルエンサー「6時間で583人の男性と関係を持つ」企画で8600万円ゲット…ついに夢のマイホームを購入
NEWSポストセブン
ホストクラブや風俗店、飲食店のネオン看板がひしめく新宿歌舞伎町(イメージ、時事通信フォト)
《「歌舞伎町弁護士」のもとにやって来た相談者は「女風」のセラピスト》3か月でホストを諦めた男性に声を掛けた「紫色の靴を履いた男」
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《自宅から遺体見つかる》遠野なぎこ、近隣住民が明かす「部屋からなんとも言えない臭いが…」ヘルパーの訪問がきっかけで発見
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! 万引き逮捕の350勝投手が独占懺悔告白ほか
「週刊ポスト」本日発売! 万引き逮捕の350勝投手が独占懺悔告白ほか
NEWSポストセブン