国内

「高齢者は恋愛をするのか?」 その答え

田園調布学園大学名誉教授で臨床心理士の荒木乳根子さん

 果たして高齢者も「恋愛をする」のだろうか? 子育てや仕事に疲れ気味の中年記者の私(55才・女性)は興味津々だ。そして老親(84才の母)がいる子世代としては、心配の種でもある。

 高齢者のセックス事情や介護施設でのセクハラ問題などで取り沙汰されることもあるが、親の人生最終章を見守る子世代は、やはりきちんと知っておくべき。またそう遠くない自分の問題でもあるのだ。

 長年、中高年・老年期の性について研究し、多くの高齢者の生の声も聞く田園調布学園大学名誉教授で臨床心理士の荒木乳根子さんに聞いた。

「高齢になっても恋をしたり、性欲がわいたりします。人間として、ごく自然なことなのです」と言う荒木さん。ただ男性と女性では、大きな違いがあるようだ。

「ひと言で“性”といっても、性行為能力、性欲、男と女という関係への関心…など、いろいろな意味合いがあります。女性の場合、女性ホルモンがガクンと減る閉経を機に、性欲が低下する人が増えます。

 これに対して男性は、加齢による性欲関連の男性ホルモンの低下が緩やかで、70代以上でも性欲はあり、人によっては受精能力も維持します。総じて男性はいくつになってもセックスをしたい。たとえ勃起しなくても、想念として夢見る。たとえば施設などで女性のお尻を触ったり、卑猥なことを言ったり、女性のベッドにもぐり込んだりと、行為に表れたりもします」

 一方、女性は性欲より恋愛感情の方が豊か。

「単なる好意を超えて、本当にときめいて好きになる。好きになった相手につきまとったり、その人がほかの女性と仲よくしていると嫉妬して、その女性に意地悪をしてみたりすることもあります」

 性行為がなくても、楽しく話し、異性と一緒にいてうれしいと思うだけでも、心身は活性化するという。

「いずれにしても性は、生きるエネルギーなのです。心身を覚醒させ、力を与えます。精神分析の創始者フロイトは、“生の本能はエロスである”と言っていますが、身近にも、高齢で足元がおぼつかない人が、リハビリの若くてやさしい療法士さんを好きになったとたんにシャキッと元気になり、いそいそとリハビリに通うようになるといった事例がいくつもあります」

 ちなみに日本最古の和歌集『万葉集』にも、老人の恋心の歌がいくつも見られる。いつの時代でも、恋をする心と老いは関係ないのだ。男性も年を追うごとに勃起力や快感は少しずつ衰える。性欲があるとはいえ、若い頃のような性行為は難しくなる。

関連キーワード

関連記事

トピックス

大谷の妻・真美子さん(写真:西村尚己/アフロスポーツ)と水原一平容疑者(時事通信)
《水原一平ショックの影響》大谷翔平 真美子さんのポニーテール観戦で見えた「私も一緒に戦うという覚悟」と夫婦の結束
NEWSポストセブン
国が認めた初めての“女ヤクザ”西村まこさん
犬の糞を焼きそばパンに…悪魔の子と呼ばれた少女時代 裏社会史上初の女暴力団員が350万円で売りつけた女性の末路【ヤクザ博士インタビュー】
NEWSポストセブン
華々しい復帰を飾った石原さとみ
【俳優活動再開】石原さとみ 大学生から“肌荒れした母親”まで、映画&連ドラ復帰作で見せた“激しい振り幅”
週刊ポスト
中国「抗日作品」多数出演の井上朋子さん
中国「抗日作品」多数出演の日本人女優・井上朋子さん告白 現地の芸能界は「強烈な縁故社会」女優が事務所社長に露骨な誘いも
NEWSポストセブン
死体損壊容疑で逮捕された平山容疑者(インスタグラムより)
【那須焼損2遺体】「アニキに頼まれただけ」容疑者はサッカー部キャプテンまで務めた「仲間思いで頼まれたらやる男」同級生の意外な共通認識
NEWSポストセブン
2週連続優勝を果たした 竹田麗央(時事通信フォト)
女子ゴルフ 初Vから連続優勝の竹田麗央(21) ダイヤモンド世代でも突出した“飛ぶのに曲がらない力”
NEWSポストセブン
学歴詐称疑惑が再燃し、苦境に立つ小池百合子・東京都知事(写真左/時事通信フォト)
小池百合子・東京都知事、学歴詐称問題再燃も馬耳東風 国政復帰を念頭に“小池政治塾”2期生を募集し準備に余念なし
週刊ポスト
(左から)中畑清氏、江本孟紀氏、達川光男氏による名物座談会
【江本孟紀×中畑清×達川光男 順位予想やり直し座談会】「サトテル、変わってないぞ!」「筒香は巨人に欲しかった」言いたい放題の120分
週刊ポスト
大谷翔平
大谷翔平、ハワイの25億円別荘購入に心配の声多数 “お金がらみ”で繰り返される「水原容疑者の悪しき影響」
NEWSポストセブン
【全文公開】中森明菜が活動再開 実兄が告白「病床の父の状況を伝えたい」「独立した今なら話ができるかも」、再会を願う家族の切実な思い
【全文公開】中森明菜が活動再開 実兄が告白「病床の父の状況を伝えたい」「独立した今なら話ができるかも」、再会を願う家族の切実な思い
女性セブン
ホワイトのロングドレスで初めて明治神宮を参拝された(4月、東京・渋谷区。写真/JMPA)
宮内庁インスタグラムがもたらす愛子さまと悠仁さまの“分断” 「いいね」の数が人気投票化、女性天皇を巡る議論に影響も
女性セブン
大谷翔平と妻の真美子さん(時事通信フォト、ドジャースのインスタグラムより)
《真美子さんの献身》大谷翔平が進めていた「水原離れ」 描いていた“新生活”と変化したファッションセンス
NEWSポストセブン