ライフ

猫のひげは重要! 抜いたり切ったりは×、その4つの役割

猫のひげは1年に2回抜ける

 猫の絵を描く際、“ひげ”を描くと大抵それっぽく仕上がる。それほどまでに、猫らしさを象徴するパーツであるひげ。実際はどこに何本生えているか知っているだろうか。今回はそんなひげにまつわる豆知識を紹介する。

 *
 猫のひげといえば、口元のひげ袋(“ω”の形をしている部分)から生えているイメージが強いが、実は口元以外にもまぶたの上、頬、あご、さらに前脚の後ろ側の計5か所から生えていると、猫専門病院Tokyo Cat Specialistsの獣医師・有田早苗さんは言う。

「顔のひげは全部合わせて約50~60本あります。色は白もあれば、茶色、根元だけ黒いなどさまざま。いずれも半年ほどの周期で自然に抜けて生え変わります」(有田さん・以下同)

 ひげの根元には神経が集中しており、わずかな気配や空気の流れまでも感じ取れるという。猫が暗い場所でも視覚に頼らずに歩けるのも、ひげで音の振動を感知できるからだ。

「猫のひげは、自分の周りの情報を収集するアンテナのようなもの。ですから、ひげを切ってしまうと、能力が低下し、生活に支障が出てしまいます。普段と異なる状況に不安を感じて元気がなくなることもあるので、無理に抜いたり、切ったりしては、絶対にいけません」

◆狭い場所でもひげで通れるかをジャッジ

 生えている場所により、ひげの役割には違いがある。例えば顔のひげは、周辺情報をキャッチする他に、ひげの長さで狭い場所を通れるか判断する役割をもつ。

「一般的に口元のひげの長さは体の幅より長く、顔にあるすべてのひげの先端をつなぐと円の形になります。狭い場所を通る際は、まずひげを広げてから顔を入れ、ひげが当たらないかどうかを確認します。そしてひげが当たらなければ、体も通れると判断しているのです」

 といっても、この方法が通用するのは健康で標準体形の猫の場合。肥満の場合、頭は入ってもお腹が通り抜けられないこともあるという。

 さらにひげは動かし方次第で、感情も表現できる。例えば、周囲の様子をうかがっている時は外側に向けて上下に広げるが、眠っている時やリラックスしている時は、だらんと垂らしている。攻撃的な時は鼻より前に向け、恐怖を感じている時は頬にペタッとくっつける。よく見ていないと判断は難しいというが、覚えておくとよさそうだ。

「実際、動物病院の診療でも、ひげがだらんと垂れている子はストレスが少ないと判断します。逆に、ひげを前方に向けている子は緊張していて過敏になっており、攻撃してくる可能性があるため、こちらも気をつけます。ひげの状態から猫たちの心理状況をくみ取っているんです」

 あまり知られていない前脚の後ろ側のひげは、捕まえた獲物の微妙な動きを察知するためのもので、肉食動物の特徴でもある。

 私たち女性にしてみれば“ムダ毛”のひげも、猫にとってはとても重要なもの。愛猫のひげの色、長さ、動きに注目してみては?

※女性セブン2019年2月7日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

靖国神社の春と秋の例大祭、8月15日の終戦の日にはほぼ欠かさず参拝してきた高市早苗・首相(時事通信フォト)
高市早苗・首相「靖国神社電撃参拝プラン」が浮上、“Xデー”は安倍元首相が12年前の在任中に参拝した12月26日か 外交的にも政治日程上も制約が少なくなるタイミング
週刊ポスト
三重県を訪問された天皇皇后両陛下(2025年11月8日、撮影/JMPA)
《季節感あふれるアレンジ術》雅子さまの“秋の装い”、トレンドと歴史が組み合わさったブラウンコーデがすごい理由「スカーフ1枚で見違えるスタイル」【専門家が解説】
NEWSポストセブン
俳優の仲代達矢さん
【追悼】仲代達矢さんが明かしていた“最大のライバル”の存在 「人の10倍努力」して演劇に人生を捧げた名優の肉声
週刊ポスト
10月16日午前、40代の女性歌手が何者かに襲われた。”黒づくめ”の格好をした犯人は現在も逃走を続けている
《ポスターに謎の“バツ印”》「『キャー』と悲鳴が…」「現場にドバッと血のあと」ライブハウス開店待ちの女性シンガーを “黒づくめの男”が襲撃 状況証拠が示唆する犯行の計画性
NEWSポストセブン
全国でクマによる被害が相次いでいる(右の写真はサンプルです)
「熊に喰い尽くされ、骨がむき出しに」「大声をあげても襲ってくる」ベテラン猟師をも襲うクマの“驚くべき高知能”《昭和・平成“人食い熊”事件から学ぶクマ対策》
NEWSポストセブン
オールスターゲーム前のレッドカーペットに大谷翔平とともに登場。夫・翔平の横で際立つ特注ドレス(2025年7月15日)。写真=AP/アフロ
大谷真美子さん、米国生活2年目で洗練されたファッションセンス 眉毛サロン通いも? 高級ブランドの特注ドレスからファストファッションのジャケットまで着こなし【スタイリストが分析】
週刊ポスト
公金還流疑惑がさらに発覚(藤田文武・日本維新の会共同代表/時事通信フォト)
《新たな公金還流疑惑》「維新の会」大阪市議のデザイン会社に藤田文武・共同代表ら議員が総額984万円発注 藤田氏側は「適法だが今後は発注しない」と回答
週刊ポスト
“反日暴言ネット投稿”で注目を集める中国駐大阪総領事
「汚い首は斬ってやる」発言の中国総領事のSNS暴言癖 かつては民主化運動にも参加したリベラル派が40代でタカ派の戦狼外交官に転向 “柔軟な外交官”の評判も
週刊ポスト
超音波スカルプケアデバイスの「ソノリプロ」。強気の「90日間返金保証」の秘密とは──
超音波スカルプケアデバイス「ソノリプロ」開発者が明かす強気の「90日間全額返金保証」をつけられる理由とは《頭皮の気になる部分をケア》
NEWSポストセブン
三田寛子(時事通信フォト)
「あの嫁は何なんだ」「坊っちゃんが可哀想」三田寛子が過ごした苦労続きの新婚時代…新妻・能條愛未を“全力サポート”する理由
NEWSポストセブン
大相撲九州場所
九州場所「17年連続15日皆勤」の溜席の博多美人はなぜ通い続けられるのか 身支度は大変だが「江戸時代にタイムトリップしているような気持ちになれる」と語る
NEWSポストセブン
初代優勝者がつくったカクテル『鳳鳴(ほうめい)』。SUNTORY WORLD WHISKY「碧Ao」(右)をベースに日本の春を象徴する桜を使用したリキュール「KANADE〈奏〉桜」などが使われている
《“バーテンダーNo.1”が決まる》『サントリー ザ・バーテンダーアワード2025』に込められた未来へ続く「洋酒文化伝承」にかける思い
NEWSポストセブン