◆信念のない布陣
──原巨人では、元木コーチとともに“新入閣”した宮本和知投手総合コーチ(54)も、プロ野球での指導経験がない。ファームに目を向けても、杉内俊哉投手コーチ(38)や村田氏は昨シーズン限りで引退したばかり。金城氏や堂上氏などの“兼任組”も、コーチとしての経験値は少ない。
コーチという仕事も“技術”が必要です。ノックだけなら誰でもできます。でも、足さばきや捕球姿勢、守備範囲はどこまでかを把握するなど、見るべきポイントがある。こうしろ、ああしろというだけでなく、“君は素晴らしい素質と才能をもっているけど、俺のアドバイスを聞けばもっと上に行けるぞ”と言ってやる気を出させる。それがコーチの役目です。残念ながら、今の巨人にそういうコーチは見当たらない。兼任で1つの仕事に集中できない環境では、コーチとしての成長も望めません。
コーチを育てるのは監督の仕事だが、原監督1人で、これだけの人数の面倒を見るのは難しいでしょう。むしろこの顔ぶれを見ると、原監督の意のままに動くコーチばかり集めただけじゃないか。自分が何を言っても許される、信念のないコーチばかりの布陣にしているように見えてならない。
私がヤクルトや西武で監督をしていた時は、コーチ陣が自分の意見をしっかり口にし、時にはケンカするくらいの勢いでした。それを監督がまとめる。プロの集団とは、そういうものでしょう。