さて、ファンの方々にとって、4歳馬の二極化は目に見えるものなのでしょうか。2勝しているかどうかはわかりやすい。それ以外に、1勝馬がどういう使われ方をしているのか。そこに陣営の意気込みが反映されます。制度によって半ば膠着化していたローテーションなどが、厩舎の自由な発想によって十厩十色となるはずです。「1勝して、2勝目が見えている馬」なのか「1勝しかできなかった馬」なのか。そこを見極めるのも妙味ではないでしょうか。前回のラストで、制度改革は馬券検討に直接影響はないと書いています。それでも、4歳馬がどう扱われているのかはわかりそうですね。
もちろん1勝馬でも4歳夏になってやっと力を発揮できるようになってきた期待馬もいます。そういう馬に対する思いは、厩舎コメントにも表れてくるはずです。「やっと強い追い切りができるようになった」「このクラスにいる馬ではない」といった自信がうかがえるコメントか、あるいは「展開がはまってくれれば」「スンナリ行けるようなら」といった「タラレバ」か──。
二極化という表現は格差社会のようで耳触りがよくないようですが、競馬の世界ではまっとうかもしれません。強い馬たちが集うレースでは実力のばらつきが少なく、ファンにとってもスリリングで面白い。野球でも競馬でも、ファンはハイレベルなパフォーマンスを望んでいます。
●すみい・かつひこ/1964年石川県生まれ。2000年に調教師免許取得、2001年に開業。以後17年で中央GI勝利数24は歴代3位、現役では2位。2017年には13週連続勝利の日本記録を達成した。ヴィクトワールピサでドバイワールドカップを勝つなど海外でも活躍。引退馬のセカンドキャリア支援、障害者乗馬などにも尽力している。引退した管理馬はほかにカネヒキリ、ウオッカなど。『競馬感性の法則』(小学館)が好評発売中。2021年2月で引退することを発表している。
※週刊ポスト2019年2月8日号