医学博士・内科専門医の渡辺敏恵さんが立ち上げた『自分らしい「生き」「死に」を考える会』は、終末期医療を考えることの重要性を実感した医師、看護師、臨床心理士、精神保健福祉士、主婦などが集まる市民グループ。
彼らが知恵を出し合って作った『私の生き方連絡ノート』(479円/EDITEX)は、まさに『人生会議』で使える冊子。自由書き込み式が特徴だ。
【1】自分のこと
【2】自分が望む医療・闘病のかたち
【3】自分で意思表示ができるとき
【4】自分で意思表示ができないとき
【5】自分の代わりに判断してほしい人
【6】意思表示カードの記入
という6項目で構成されている。
「“人生の最終段階を考えよう、話し合おう”といっても、一般の人には考える材料がないと難しいですね。そこで、考えておくべき項目のキーワードや考えるポイントを左ページに、その右ページに自分の言葉で自由に書き込めるようにしました」(渡辺さん・以下同)
たとえば「あらゆる手段で病気と闘う」「〇才まで生きたらあとは最小限の医療で」「自宅・ホスピス・病院で最期を」「治療に関して自分で判断できないのは嫌」などの書き方例や、自分で意思表示ができない場合に伝えるべきこと、自分の代わりに判断してほしい人を書き込む項など、読むだけで考えるべき具体的内容がどんどん広がる。
「最初からすべて埋めようとしなくてもよいのです。一読して、ここは書きたい、ここは後でという感じでOK。考えて、今の時点での気持ちを率直に書いてください」
また書き込み式ならではの有用な使い方がもう1つ。
「一度書いても、時間を経たり、大きな出来事があったりして気持ちが変わったら、ぜひ“更新”をしてください。変わった部分に二重線を引き、日付を書いて新しい気持ちを書き込むのです。気持ちの変遷も盛り込まれたノートは、医療の選択に至ったとき、家族や医療者にとって重要な情報源になります」
“書く”という作業で、自分の考えを客観視したり整理したりもできる。
「家族で終末期のことを話題にするきっかけにもなります。ダイレクトに“延命は?”などと切り出すより、ノートの項目として“お母さんならどう考える?”と一緒に考えれば、きっとスムーズです。
高齢の親御さんに勧めるなら、まず自身も自分事として家族と話し合いながら書き込んでみてください。そして、親の人生の最終段階を子供が共に考える姿を、また次の世代(孫)に見せて伝えてください。そんな世代をつなぐツールとしても、役立てればうれしいです」
※女性セブン2019年2月14日号