ときどき食品の“異物混入”がニュースになるけれど、原因はこんなことではないか、などと思っているうち、封入れ作業に慣れて、私は二度とミスをしなかった。
午後5時。“吉幾三”が私たちパートの間を、「7時まで残業をお願いできませんか?」と言って回り出した。無言。とうとう、「怒鳴られてまで働きたくないです」と吐き捨てた人の後に次々と5人が続いて帰った。
さて、怒鳴ったHさんはどうする。自分のせいで5人の労働力を失った後始末は? 時給に150円プラスの条件もさることながら、事の顛末を見届けたくて私は残った。
だけど、期待したようなことは何ひとつ起こらないんだよね。仲間から「みんな帰っちゃったから、あと3時間は頑張らないと」と、あからさまに嫌みを言われても、「もう、やんなっちゃうよね」とどこ吹く風。
なるほどね。そのときの感情で場を仕切るけど、“責任”は取らないHさん。そして1日だけの職場だと思って、職業的な良心がグッと低くなった私。
どっちもどっちだわと、今は思うけど、もう一度同じことが起こったら…。やっぱり機械を止められないかなぁ~。
※女性セブン2019年2月21日号