旧日本軍による「万歳デモ」の妨害を再現(EPA=時事)
元慰安婦らを支援する正義連(日本軍性奴隷制問題解決のための正義記憶連帯)という組織がある。まだ馴染みの薄い名称だが、前身が挺対協(韓国挺身隊問題対策協議会)と言えばおわかりだろう。毎週水曜日に日本大使館の前で日本を糾弾するデモ「水曜集会」を開いてきた団体だ。
挺対協時代から引き続き正義連のトップを務める尹美香理事長は、宗教界、労働組織、民間団体からなる韓国代表団の一員として、北朝鮮南東部の金剛山に2月12日から一泊二日の日程で滞在した。南北民間交流を促進するために北朝鮮代表団に接触したのだ。これも三一運動100周年が念頭にあったといい、そのなかで韓国側が提案したとされる議題の一つが、「日本の性奴隷制度問題の解決と、正しい過去史問題の解決のための南北海外女性討論会」を平壌で開催することだった(2月18日付・統一ニュース)。
尹理事長の働きかけに見られるように、現在の韓国には、三一運動100周年を契機にして、一気に北朝鮮との距離を縮めようとする風潮が強い。2月18日には、韓国の仏教界が三一運動100周年記念事業として、金剛山での南北仏教交流を行うよう文在寅大統領に提案している。
「100周年」で盛り上がる韓国のラブコールに、北朝鮮が本気で応える可能性は極めて低いだろう。北朝鮮が三一運動のイベントに加わるということは、韓国政府成立の過程を正当化し、金日成が作り上げた国家を否定することになりかねないからだ。
元慰安婦への謝罪を天皇陛下に求めた文喜相・韓国国会議長による一連の発言、自衛隊機への火器管制レーダー照射問題では政府要人がシラを切るなど、呆れるほどの対応を取り続けている韓国。度を越した対日強硬姿勢の背後には、「来る米朝会談できっと大きな成果があり、その暁には、仲介役である韓国の価値が上がり、一躍世界の平和スターに躍り出る」という韓国政府なりの皮算用があるのだろう。
今年の三一節の祝日は、ベトナムでの米朝首脳会談が終わった翌日に控えている。米朝会談で大した成果もないままに三一節が終わるころ、気が付けば韓国はまんまと北朝鮮に取り込まれ、世界の平和を脅かす危険国家の烙印を押されてしまう、という事態も十分考えられる。