国内

天皇家にとってはホリエモン的な思考の人たちが脅威

佐藤優氏(左)と片山杜秀氏 撮影/田中麻以

 もうすぐ平成が終わる。作家で元外務省主任分析官の佐藤優氏と、思想史研究者で慶應義塾大学教授の片山杜秀氏の二人は、皇太子の思想と行動を分析するだけでは次代の天皇像は描けないと見る。天皇家にとって、今後は何が脅威になるのかについて、二人が語り合った。

片山:問題は、ポスト平成の時代にこのままの天皇制が維持できるかどうか。今上天皇には、現人神だったお父さんのカリスマが受け継がれているし、災害で国民に寄り添おうとする姿の顕示によって、“公”と“私”のバランスをとっていた。では皇太子はどうか。私には“公”よりも“私”の方の比重が大きいように思えます。

佐藤:その象徴が、2004年の「雅子妃の人格否定発言」ですね。“私”の家族を守ろうとした発言で皇太子一家に、戦後の核家族のイメージを重ねる人が増えた。

片山:歴史の流れからいってなるべくしてそうなった気もします。明治から敗戦までは家父長的な家族国家観が根付いていました。その反動で、昭和天皇から今上天皇に、そして皇太子へと受け継がれたのが、戦後民主主義下の理想的な家族像と寄り添う天皇一家のあり方です。

佐藤:あの家族像も天皇と国民の距離を近づける大きな役割を果たしました。昭和天皇が人間宣言を行ってから73年ですからね。3代目ともなると、どうしても国民に、人間に近づいてくるんでしょうね。

片山:そう思います。それこそ、人間天皇の最終型と言えるけど、天皇像が新たな民主主義的強固さを獲得できるかというと別問題でしょう。いま、天皇が天皇であるためのエートスが、国民の普通の感覚に溶けて解体したような状態になっている。だとしたら本当に天皇制を廃して日本共和国でもいいのではないか。そんな議論がポスト平成に復活するのではないかという気がするのです。

関連記事

トピックス

山下市郎容疑者(41)はなぜ凶行に走ったのか。その背景には男の”暴力性”や”執着心”があった
「あいつは俺の推し。あんな女、ほかにはいない」山下市郎容疑者の被害者への“ガチ恋”が強烈な殺意に変わった背景〈キレ癖、暴力性、執着心〉【浜松市ガールズバー刺殺】
NEWSポストセブン
英国の大学に通う中国人の留学生が性的暴行の罪で有罪に
「意識が朦朧とした女性が『STOP(やめて)』と抵抗して…」陪審員が涙した“英国史上最悪のレイプ犯の証拠動画”の存在《中国人留学生被告に終身刑言い渡し》
NEWSポストセブン
早朝のJR埼京線で事件は起きた(イメージ、時事通信フォト)
《「歌舞伎町弁護士」に切実訴え》早朝のJR埼京線で「痴漢なんてやっていません」一貫して否認する依頼者…警察官が冷たく言い放った一言
NEWSポストセブン
降谷健志の不倫離婚から1年半
《降谷健志の不倫離婚から1年半の現在》MEGUMIが「古谷姓」を名乗り続ける理由、「役者の仕事が無く悩んでいた時期に…」グラドルからブルーリボン女優への転身
NEWSポストセブン
橋本環奈と中川大志が結婚へ
《橋本環奈と中川大志が結婚へ》破局説流れるなかでのプロポーズに「涙のYES」 “3億円マンション”で育んだ居心地の良い暮らし
NEWSポストセブン
10年に及ぶ山口組分裂抗争は終結したが…(司忍組長。時事通信フォト)
【全国のヤクザが司忍組長に暑中見舞い】六代目山口組が進める「平和共存外交」の全貌 抗争終結宣言も駅には多数の警官が厳重警戒
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《前所属事務所代表も困惑》遠野なぎこの安否がわからない…「親族にも電話が繋がらない」「警察から連絡はない」遺体が発見された部屋は「近いうちに特殊清掃が入る予定」
NEWSポストセブン
放送作家でコラムニストの山田美保子さんが、さまざまな障壁を乗り越えてきた女性たちについて綴る
《佐々木希が渡部建の騒動への思いをストレートに吐露》安達祐実、梅宮アンナ、加藤綾菜…いろいろあっても流されず、自分で選択してきた女性たちの強さ
女性セブン
(イメージ、GFdays/イメージマート)
《「歌舞伎町弁護士」が見た恐怖事例》「1億5000万円を食い物に」地主の息子がガールズバーで盛られた「睡眠薬入りカクテル」
NEWSポストセブン
和久井学被告が抱えていた恐ろしいほどの“復讐心”
【新宿タワマン殺人】和久井被告(52)「バイアグラと催涙スプレーを用意していた…」キャバクラ店経営の被害女性をメッタ刺しにした“悪質な復讐心”【求刑懲役17年】
NEWSポストセブン
幼少の頃から、愛子さまにとって「世界平和」は身近で壮大な願い(2025年6月、沖縄県・那覇市。撮影/JMPA)
《愛子さまが11月にご訪問》ラオスでの日本人男性による児童買春について現地日本大使館が厳しく警告「日本警察は積極的な事件化に努めている」 
女性セブン
女優・遠野なぎこの自宅マンションから身元不明の遺体が見つかってから1週間が経った(右・ブログより)
《上の部屋からロープが垂れ下がり…》遠野なぎこ、マンション住民が証言「近日中に特殊清掃が入る」遺体発見現場のポストは“パンパン”のまま 1週間経つも身元が発表されない理由
NEWSポストセブン