芸能

カップヌードル「hungry?」CM 生みの親が明かす誕生秘話

「カップヌードル」のCMを手がけた中島信也氏(撮影/槇野翔太)

 巨大なマンモスと、歓声を上げながら追いかける原始人の集団が画面を行き来するだけの、それまでに観たことのないデジタル映像のCMが人々を驚かせたのは1992年のことだった。ストレートに「hungry?」と視聴者に問いかけ、ドーンと現われるのは日清食品のカップヌードル。CMは評判を呼んでシリーズ化され、マンモス以外の原始哺乳類も登場し、原始人の命を懸けた闘いが1995年までオンエアされた。今観てもユーモアを感じさせる映像と演出を担当した東北新社の中島信也氏は、制作当時をこう振り返る。

「1980年代のCMは、川崎徹さんのようなCM作家がアイデアからコピーや演出まで一人で行なっていましたが、1990年代に入ると協同で制作するようになりました。カップヌードルの場合はアートディレクターだった大貫卓也さんが、原始時代を舞台に、ハングリーという人類の大きなテーマを掲げるネタを考えられていたんです。すべて実写で撮りたいという希望だったそうですが、莫大な予算が必要となってしまう。そこで、他の人たちに先駆けてデジタル編集技術に取り組んでいた私が呼ばれ、大貫さんのイメージを実際の形にしていきました」

 現在だったらすべてCGで予算を掛けずに作れるが、当時は動物や原始人のコマ撮り、別撮りした背景素材などを最後に編集するという、時間と労力をかけた仕事だった。

「カップヌードルはすでに日本中の誰もが知っている商品で、CMでわざわざ商品内容を説明する必要はありませんでした。それよりも日清食品が独自の創造性を持つ企業であることを消費者に感じてもらうことがミッションだった。そのため映像でいかにインパクトを与えるかに注力しました。最初の試写で日清食品の担当者が『何だ、これは』と仰天されたそうです(笑い)。今でも覚えている方が多く、皆さんの心に残っているという意味では大成功だったんでしょうね」

関連キーワード

関連記事

トピックス

“令和の小泉劇場”が始まった
小泉進次郎農相、父・純一郎氏の郵政民営化を彷彿とさせる手腕 農水族や農協という抵抗勢力と対立しながら国民にアピール、石破内閣のコメ無策を批判していた野党を蚊帳の外に
週刊ポスト
緻密な計画で爆弾を郵送、
《結婚から5日後の惨劇》元校長が“結婚祝い”に爆弾を郵送し新郎が死亡 仰天の動機は「校長の座を奪われたことへの恨み」 インドで起きた凶悪事件で判決
NEWSポストセブン
6月2日、新たに殺人と殺人未遂容疑がかけられた八田與一容疑者(28)
《別府ひき逃げ》重要指名手配犯・八田與一容疑者の親族が“沈黙の10秒間”の後に語ったこと…死亡した大学生の親は「私たちの戦いは終わりません」とコメント
NEWSポストセブン
「最後のインタビュー」に応じた西内まりや(時事通信)
【独占インタビュー】西内まりや(31)が語った“電撃引退の理由”と“事務所退所の真相”「この仕事をしてきてよかったと、最後に思えました」
NEWSポストセブン
伊勢ヶ濱部屋に転籍した元白鵬・宮城野親方
【元横綱・白鵬が退職後に目指す世界戦略】「ドラフト会議がない新弟子スカウト」で築いたパイプを活かす構想か 大の里、伯桜鵬、尊富士も出場経験ある「白鵬杯」の行方は
NEWSポストセブン
ブラジルを公式訪問される佳子さま(2025年6月4日、撮影/JMPA)
《ブラジルへ公式訪問》佳子さま、ギリシャ訪問でもお召しになったコーラルピンクのスーツで出発 “お気に入り”はすっきり見せるフェミニンな一着
NEWSポストセブン
「日本人ポップスターとの子供がいる」との報道もあったイーロン・マスク氏(時事通信フォト)
イーロン・マスク氏に「日本人ポップスターとの子供がいる」報道も相手が公表しない理由 “口止め料”として「巨額の養育費が支払われている」との情報も
週刊ポスト
中居の女性トラブルで窮地に追いやられているフジテレビ(右・時事通信フォト)
《会社の暗部が暴露される…》フジテレビが恐れる処分された編成幹部B氏の“暴走” 「法廷での言葉」にも懸念
NEWSポストセブン
渡邊渚さんが性暴力問題について思いの丈を綴った(撮影/西條彰仁)
《渡邊渚さん独占手記》性暴力問題について思いの丈を綴る「被害者は永遠に救われることのない地獄を彷徨い続ける」
週刊ポスト
 6月3日に亡くなった「ミスタープロ野球」こと長嶋茂雄さん(時事通信フォト)
【追悼・長嶋茂雄さん】交際40日で婚約の“超スピード婚”も「ミスターらしい」 多くの国民が支持した「日本人が憧れる家族像」としての長嶋家 
女性セブン
母・佳代さんと小室圭さん
《眞子さん出産》“一卵性母子”と呼ばれた小室圭さんの母・佳代さんが「初孫を抱く日」 知人は「ふたりは一定の距離を保って接している」
NEWSポストセブン
違法薬物を所持したとして不動産投資会社「レーサム」の創業者で元会長の田中剛容疑者と職業不詳・奥本美穂容疑者(32)が逮捕された(左・Instagramより)
《レーサム創業者が“薬物付け性パーティー”で逮捕》沈黙を破った奥本美穂容疑者が〈今世終了港区BBA〉〈留置所最高〉自虐ネタでインフルエンサー化
NEWSポストセブン