YouTubeで大きな話題に
「1980年代の黄金時代と比べて『最近のCMは元気がない』とよく言われますが、おもしろいCMの割合は、今も昔もほとんど変わらないと思います。なんとか見られるのが1割、さらに1割がほんとに優れていて意味がある。けれど、ここ10年くらいで、僕たちの仕事は劇的に変化しました。
ほんの少し前までは、広告表現というとほぼすべてCMで、その中身を考えるのが仕事でした。けれど、オンライン・フィルム、VRなど映像表現がすいぶん拡張し、さらに、デジタル・テクノロジー、イベント、PRなど、あらゆる手段が可能になりました。その中で最適かつ最強の手段を駆使してアイデアをカタチにする競技に、仕事が変化しています。ただ、一瞬で多くの人の気持ちを動かす能力、つまりメジャーという意味では、いまだにCMには圧倒的な力があると思います」
●ふるかわ・ゆうや/1956年生まれ。1980年電通入社、現在エグゼクティブ・クリエーティブ・ディレクター。中央酪農会議「牛乳に相談だ」、大塚製薬・ポカリスエット「ガチダンス」、宝島社企業広告「死ぬときくらい好きにさせてよ」など話題作を数多く手掛ける。国内外で400以上の広告賞を受賞。カンヌ等広告賞の審査員を歴任。
※週刊ポスト2019年3月8日号