辻村さん5年ぶりの書き下ろし長編『小説 映画ドラえもん のび太の月面探査記』

広瀬:実は私、辻村さんの『オーダーメイド殺人クラブ』(集英社文庫)が大好きで、前から取材で「好きな本は?」と聞かれたら、この作品のことを話していたんです。

辻村:最初にお会いしたのは映画の製作発表だったのですが、そこで教えてくださいましたよね。広瀬さんは衣装で十二単を着ていて、着るというよりも“装着する”という感じでしたが(笑い)、スタイリストさんたちに囲まれながら、「辻村さん!」と大きな声で呼び止めてくださって。

広瀬:十二単は重くてロボットのように動きづらかったんですが、「これだけは絶対に伝えなきゃ!」と。初めて読んだのは20才前後で、「今ならまだ制服が着られるから、実写化するならこの役をやりたいな」と思っていました。

辻村:うれしかったです。広瀬さんが『アメトーーク!』(テレビ朝日系)の「本屋でマンガ大好き芸人」の回に出演された時に、紹介するマンガの傾向が私の好みと似ていて、もともと勝手に親近感を持っていました。お気に入りだと話していた『今夜は月が綺麗ですが、とりあえず死ね』(講談社)は私も大好きなので、広瀬さんがテレビで紹介してくれてすごくうれしかった。あと語り口の熱が素晴らしくて、きっと表現者としても強い人なんだろうな、と。

 映画スタッフにルナファンがたくさんできるほど、広瀬さんの声がぴったりなので、皆さんには期待して劇場にいらしてほしいですね。

 今作では女性同士の友情もカギに。広瀬演じるルナとしずかちゃんのコンビネーションにも注目してほしい、と辻村さん。「映画の中盤、ものすごいカタルシスが待っているはずです」(辻村さん)という2人の勇姿に期待したい。

【広瀬アリス(ひろせ・ありす)】
1994年生まれ。静岡県出身。2008年映画『死にぞこないの青』で女優デビュ-。以降、連続テレビ小説『わろてんか』や映画『新宿スワンII』、『旅猫リポート』、『銃』など数々の話題作に出演。ファッション誌『with』のレギュラーモデルも務める。2020年には映画『AI崩壊』の公開が控える。

【辻村深月(つじむら・みづき)】
1980年生まれ。山梨県出身。千葉大学教育学部卒業。2004年『冷たい校舎の時は止まる』で第31回メフィスト賞を受賞し、デビュー。2012年『鍵のない夢を見る』で第147回直木三十五賞を受賞。2018年『かがみの孤城』で第15回本屋大賞の大賞を受賞。

※女性セブン2019年3月14日号

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