国内

暴力団と外国人の犯罪率はそこまで高い?“主観”の怖さ

評論家の呉智英氏

 数字、つまり客観的データは嘘をつかないはずだが、それを用いて分析する段階になると分析者の主観が混じり、事実とずれてゆくことがある。評論家の呉智英氏が、主観によって数値の意味が変えられてしまっている事例をあげ、その弊害について考えた。果たして暴力団や外国人の犯罪率は、本当に発表されたデータ通りなのか?

 * * *
 近頃「ファクトチェック」という言葉をよく聞く。「事実の照合」という意味だ。

 二月十五日付朝日新聞オピニオン欄のテーマがファクトチェック。論者は「政治家は往々にして数字を操作し、事実をゆがめる」と言う。確かに、日本でも外国でも、そういうことがある。政治家にも報道にも出版にも。

 二〇一七年十二月十七日付朝日新聞に「エスカレーター事故を防ぐ」という特集があった。エスカレーター上を歩く人による事故を防ぐ方法として手すり設置をすると「歩行者は、41人から37人と0.8%減った」。

 後に訂正記事が出た。「約9.8%の誤り」だった、と。0と9の入力キーを打ちまちがえたのだろう。全体の論旨に影響はなく、これは単なるお笑いネタだ。

 少し古いが、岩波書店のPR誌「図書」二〇一〇年十一月号に近世文学研究者の中野三敏の「和本リテラシーの回復を願って」という一文が載った。「変体がなと草書体漢字」による近代以前の和本を読める人の激減を嘆く主旨で、これ自体は共感できる。

 では、その和本を読める人が現在どれぐらいいるかというと、「多く見積っても五千人には届くまい。総人口の0.00004%」だ。「我々の中の0.00004%しか〔和本を〕読む能力を持た」ない。というのだが、センセイ、計算がまちがってますよ。これでは、和本を読める人は日本中でわずか五十人である。いくらなんでも少なすぎる。

 岩波には校閲者がいないのか。

関連記事

トピックス

林家ペーさんと林家パー子さんの自宅で火災が起きていることがわかった
《部屋はエアコンなしで扇風機が5台》「仏壇のろうそくに火をつけようとして燃え広がった」林家ぺー&パー子夫妻が火災が起きた自宅で“質素な暮らし”
NEWSポストセブン
1年ほど前に、会社役員を務める元夫と離婚していたことを明かした
《ロックシンガー・相川七瀬 年上夫との離婚明かす》個人事務所役員の年上夫との別居生活1年「家族でいるために」昨夏に自ら離婚届を提出
NEWSポストセブン
林家ペーさんと林家パー子さんの自宅で火災が起きていることがわかった
「パー子さんがいきなりドアをドンドンと…」“命からがら逃げてきた”林家ペー&パー子夫妻の隣人が明かす“緊迫の火災現場”「パー子さんはペーさんと救急車で運ばれた」
NEWSポストセブン
豊昇龍
5連勝した豊昇龍の横綱土俵入りに異変 三つ揃いの化粧まわしで太刀持ち・平戸海だけ揃っていなかった 「ゲン担ぎの世界だけにその日の結果が心配だった」と関係者
NEWSポストセブン
“高市潰し”を狙っているように思える動きも(時事通信フォト)
《前代未聞の自民党総裁選》公明党や野党も“露骨な介入”「高市早苗総裁では連立は組めない」と“拒否権”をちらつかせる異例の事態に
週刊ポスト
韓国アイドルグループ・aespaのメンバー、WINTERのボディーガードが話題に(時事通信フォト)
《NYファッションショーが騒然》aespa・ウィンターの後ろにピッタリ…ボディーガードと誤解された“ハリウッド俳優風のオトコ”の「正体」
NEWSポストセブン
立場を利用し犯行を行なっていた(本人Xより)
【未成年アイドルにわいせつ行為】〈メンバーがみんなから愛されてて嬉しい〉芸能プロデューサー・鳥丸寛士容疑者の蛮行「“写真撮影”と偽ってホテルに呼び出し」
NEWSポストセブン
佳子さまを撮影した動画がXで話題になっている(時事通信フォト)
《佳子さまどアップ動画が話題》「『まぶしい』とか『神々しい』という印象」撮影者が振り返る “お声がけの衝撃”「手を伸ばせば届く距離」
NEWSポストセブン
交際が報じられた赤西仁と広瀬アリス
《赤西仁と広瀬アリスの海外デートを目撃》黒木メイサと5年間暮らした「ハワイ」で過ごす2人の“本気度”
NEWSポストセブン
個別指導塾「スクールIE」の元教室長・石田親一容疑者(公式サイトより※現在は削除済み)
《15歳女子生徒にわいせつ》「普段から仲いいからやっちゃった」「エスカレートした」“やる気スイッチ”塾講師・石田親一容疑者が母親にしていた“トンデモ言い訳”
NEWSポストセブン
秋場所
「こんなことは初めてです…」秋場所の西花道に「溜席の着物美人」が登場! 薄手の着物になった理由は厳しい暑さと本人が明かす「汗が止まりませんでした」
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! 「高市総理を阻止せよ」イカサマ総裁選の裏ほか
「週刊ポスト」本日発売! 「高市総理を阻止せよ」イカサマ総裁選の裏ほか
NEWSポストセブン