国内

米朝会談「決裂」 トランプの狙いは「ツァイガルニク効果」?

米国が譲歩しなかったことに安堵の声も

 臨床心理士・経営心理コンサルタントの岡村美奈さんが、気になったニュースや著名人をピックアップ。心理士の視点から、今起きている出来事の背景や人々を心理的に分析する。今回は、交渉が決裂した第2回米朝首脳会談を分析。

 * * *
 ベトナムの首都ハノイで、2月27日から2日間行われた第2回米朝首脳会談は、北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長が望んだ「良い結果」にはならなかった。北朝鮮の非核化を巡る交渉が焦点だったが、合意に達することができず会談は決裂。金委員長は憮然とした表情で会談が行われたホテルを後にした。

 トランプ米大統領はというと、「北朝鮮との合意に前のめりで、安易に妥協するのではないか」という大方の予想を裏切った形だ。帰国後、ボルトン米大統領補佐官が、「『完全な非核化』というビッグディール(取引)を成立させたかったのだ」と話したように、当初合意を「失敗」と報じたものの、「安易に合意せずに国益を守った」と論調を変えるメディアもあるようだ。

 会談の決裂は、当初の想定とは違う効果も生むことになる。「ツァイガルニク効果」だ。これは、人は何かを達成したり、やり終えた事は忘れてしまうが、達成できず中途半端に終わったことはよく覚えているという現象のこと。途中で止めてしまうと、人は続きが気になるものなのだ。「決裂」という中途半端な状態に終わった会談では、その予兆が所々で顔をのぞかせていたように思う。

 今回、金委員長は専用列車でベトナム入り。到着したドンダン駅からハノイまでは歓迎ムード一色。北朝鮮と国交があり、古くから友好関係があるベトナムでの歓迎ぶりは、前回、米朝首脳会談が行われたシンガポールとはずいぶん違う。

 だからなのか、会見場に入ってきた両首脳の位置は前回とは逆。向って右から金委員長が、左からトランプ大統領が入ってきた。首脳会談といえば、通常はホスト国の首脳が向って右側になる。ベトナム開催では、ホスト側が北朝鮮なのだろうか?立ち位置の違いだが、主導権に対する印象は違ってくるものだ。

 まずは、関係が良好であると印象づけようとしたような握手だった。余裕があるような表情を浮かべた金委員長と、ゆっくりと手の平を上に向けて歩み寄るトランプ大統領。握手を交わした両首脳は、そのまま写真撮影に応じたのだが、金委員長の表情が貼りついたようにぎこちなく変わっていった。よく見ると、握手していた金委員長の指先の色が白く変わっていた。おそらくトランプ大統領が、優位性を示そうと力を込めてギュッと強く握り、金委員長もその手を握り返そうとしたのだろう。

関連キーワード

関連記事

トピックス

初の海外公務を行う予定の愛子さま(写真/共同通信社 )
愛子さま、インスタに投稿されたプライベート感の強い海水浴写真に注目集まる “いいね”は52万件以上 日赤での勤務をおろそかにすることなく公務に邁進
女性セブン
岐路に立たされている田久保眞紀・伊東市長(共同通信)
“田久保派”の元静岡県知事選候補者が証言する “あわや学歴詐称エピソード”「私も〈大卒〉と勝手に書かれた。それくらいアバウト」《伊東市長・学歴詐称疑惑》
NEWSポストセブン
2021年に裁判資料として公開されたアンドルー王子、ヴァージニア・ジュフリー氏の写真(時事通信フォト)
「少女を島に引き入れ売春斡旋した」悪名高い“ロリータ・エクスプレス”にトランプ大統領は乗ったのか《エプスタイン事件の被害者らが「独自の顧客リスト」作成を宣言》
NEWSポストセブン
東京地裁
“史上最悪の少年犯罪”「女子高生コンクリート詰め事件」逮捕されたカズキ(仮名)が語った信じがたい凌辱行為の全容「女性は恐怖のあまり、殴られるままだった」
NEWSポストセブン
「高級老人ホーム」に入居したある70代・富裕層男性の末路とは…(写真/イメージマート)
【1500万円が戻ってこない…】「高級老人ホーム」に入居したある70代・富裕層男性の末路「経歴自慢をする人々に囲まれ、次第に疲弊して…」
NEWSポストセブン
橋幸夫さんが亡くなった(時事通信フォト)
《「御三家」橋幸夫さん逝去》最後まで愛した荒川区東尾久…体調不良に悩まされながらも参加続けていた“故郷のお祭り”
NEWSポストセブン
麻原が「空中浮揚」したとする写真(公安調査庁「内外情勢の回顧と展望」より)
《ホーリーネームは「ヤソーダラー」》オウム真理教・麻原彰晃の妻、「アレフから送金された資金を管理」と公安が認定 アレフの拠点には「麻原の写真」や教材が多数保管
NEWSポストセブン
”辞めるのやめた”宣言の裏にはある女性支援者の存在があった(共同通信)
「(市議会解散)あれは彼女のシナリオどおりです」伊東市“田久保市長派”の女性実業家が明かす田久保市長の“思惑”「市長に『いま辞めないで』と言ったのは私」
NEWSポストセブン
二刀流復帰は家族のサポートなしにはあり得なかった(getty image/共同通信)
《プールサイドで日向ぼっこ…真美子さんとの幸せ時間》大谷翔平を支える“お店クオリティの料理” 二刀流復帰後に変化した家事の比重…屋外テラスで過ごすLAの夏
NEWSポストセブン
左から広陵高校の34歳新監督・松本氏と新部長・瀧口氏
《広陵高校・暴力問題》謹慎処分のコーチに加え「残りのコーチ2人も退任」していた 中井監督、部長も退任で野球経験のある指導者は「34歳新監督のみ」 160人の部員を指導できるのか
NEWSポストセブン
鉄板焼きデートが目撃されたKing & Princeの永瀬廉、浜辺美波
《デートではお揃い服》お泊まり報道の永瀬廉と浜辺美波、「24時間テレビ」放送中に配慮が見られた“チャリT”のカラー問題
NEWSポストセブン
サントリー新浪剛史会長が辞任したことを発表した(X、時事通信フォト)
大麻成分疑いで“ガサ入れ”があったサントリー・新浪剛史元会長の超高級港区マンション「かつては最上階にカルロス・ゴーンさんも住んでいた」
NEWSポストセブン