──その年、長嶋茂雄監督の下で「地獄の伊東キャンプ」と呼ばれたキャンプが行われました。そこでは西本さんと、伝説ともなった投げ合いがありましたね。
江川:あれは確か300球を超えて……投げ始めて2時間以上経ってキャッチャーの方から「もう終わりにしてくれ!」って怒られて終わりましたが、それがなかったら西本が止めない限り、自分からは絶対止めないぞと思って投げていましたから。
正直、これまで野球をやってきて西本のように、練習とかで勝負をけしかけてくるチームメイトなんて誰一人いなかったんです。巨人に入ってもそんな奴は西本しかいなかった。僕の野球人生において初めて遭遇した人種でしたね。
※ビッグコミックスペリオール8号(3月22日発売)より一部抜粋