マッチングアプリのおかげで素敵な女性と知り合えたと思っていたのに
自営業だった森本さん。1000万円のうち、500万円は結婚用の資金で残りは自らの会社のプール金を切り崩したものだった。そのせいで、新規事業のために進めていた銀行からの借り入れ話も頓挫。それまでの事業計画も立ち行かなくなり、やむなく事業整理に追い込まれたのだった。現在はほぼ無一文。新たな事業計画書を作成し、銀行や信用金庫の担当者に頭を下げて融資金を引き出そうと必死だが、その前途は暗い…。
そして、冷静に考えれば“馬鹿馬鹿しい”が「恋で盲目に陥った」と力なく話す岐阜県在住・住友慶彦さん(仮名・30代)の身に起きた、出会い系サービスを利用した末のエピソードも笑えない。
「有名な婚活アプリで知り合ったA子が、2回目のデートで”借金がある”と告白してきたのです。これは詐欺かな? と思っていたので、肉体関係になることもなく様子見していたのですが、どうも違う。互いに“結婚前はプラトニックに”という思いもあったのですが、ある日“借金を返すために風俗で働く”と泣きながら言い出したのです。そこで私も信用してしまい“お前のために店を使う”などとワンワン泣きながら約束してしまい…。
バカでしょう…バカだった思います。彼女の方から、流石に店を通すと良くない、といわれ週に二度ほど彼女を家に呼び金を渡して行為に励んでいましたが、友人から“それは騙されている”と言われても頑なに彼女を信じました。三ヶ月くらい経って流石におかしいと思い、彼女に“働いている店はどこ”と聞くと、言葉に詰まった。彼女の正体は売れない風俗嬢で、空いた時間に婚活アプリで知り合った男と実質的な“売春”をしながら生計を立てていたのです」
話はこれで終わらない。事実発覚後間も無く、なんとA子の旦那を名乗る、とても一般人とは思えない風貌の強面男性が、住友さんの家を訪ねてきたのだ。
「“うちの嫁に何やってんだ”と怒鳴り込んできて…。A子が嘘をついていたと必死に主張しましたが、相手は裁判だ、慰謝料だと玄関前で大声でがなり立てるばかりで。売春でダメなら美人局かと。さすがに目が覚め、即、警察に通報しコトなきを得ました」(住友さん)
身近になった出会い系サイト、出会い系アプリ。それらは新しい出会いの場を公平に提供しており、トラブルが発生するかどうかは利用者次第だ。たとえば、実名登録のフェイスブックと連携している、プロフィルを直接、確認出来るサイトやアプリだからと警戒心を緩めてはいないか。交際相手なのに、アプリのIDや携帯電話でしか連絡がとれないという関係性になってはいないか。本来、いつか生活をともにしようという相手との交際ならば、そんな限定的な交流はあり得ないことを思い起こすべきだ。出会いのきっかけがアプリであっても、きちんと確かめられる人ならば“被害者”になることはないだろう。
使用することへの障壁が低くなりつつ今だからこそ、今回、語ってくれた男たちの悲劇を「他山の石」として、是非とも知っておくべきではなかろうか。