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龍谷大平安・原田英彦監督「京都府勢甲子園200勝」への思い

──その中で、原田監督が最も注目する選手は?

原田監督「投手は星稜高校の奥川恭伸君です。明治神宮大会の広陵戦で、ネット裏、一塁側、三塁側と、全ての角度から投球を見ましたが、全く隙がありませんでした。体も大きいですし、この冬でさらに伸びていると思うので、30年に1人の逸材だと思います。広陵高校も強いと思っていましたが、さらに上回り手玉に取っていました(11奪三振の完封勝利)」

──奥川投手はどのようなタイプと分析されていますか。

原田監督「奥川君は体が183センチ、84キロと大きい割に、力感がなく、バランスよく放るので完成度が高いと思います。そして腕の振りが真っ直ぐも、変化球も同じで全く分かりませんでした。これまであまりいないタイプの投手だと思います」

──高校時代のダルビッシュ有選手(シカゴ・カブス)と比べて、いかがですか?

原田監督「東北高校時代のダルビッシュはあまり完成していませんでした。自らの能力だけで、投球しているように見ていました。当時の彼は練習嫌いだったようなので、一生懸命に練習すれば、これから凄いすごい投手になるような印象を持っていましたね」

 社会人野球の強豪・日本新薬でプレーしていた原田監督の下に、「平安監督就任」の話が来た時、原田監督は二度もその要請を断ったという。それでも引き受けた最大の理由は、「どん底にいた平安をなんとか再建して欲しい」という周囲の後押しと、「平安のために、何とかしよう!」という“平安愛”だった。1908年創部の伝統校の27代目の監督に就任。部員21人というどん底からリスタートした名門は、2014年春の選抜優勝。昨夏の夏の京都大会前から、「100回大会の甲子園に、平安が出ないなんて、しゃれになりません」と公言し、「100回大会で100勝」をやってのけ、目に涙を浮かべた。

──昨夏、甲子園100勝を達成しましたが、この先どうやって白星を積み上げていきますか。

原田監督「甲子園であと1勝すると、『京都府勢甲子園200勝』を達成するので、そこにまた平安の名を刻みたいと思っています。現時点で、選抜の優勝を目指すところまで、まだ届いてないと感じていますが、夏の甲子園では優勝する事を考えています。春に全国大会を経験して、それから夏まで選手がどれだけ伸びるかに、いまは謙虚に期待しています」

──この選抜に、京都から福知山成美高校と龍谷大平安高校の2校が出場しますが、京都のレベルは近年稀にみる高さといえるのでしょうか。

原田監督「選抜選考会の中でも、『京都のレベルは高い』という話が出たようで、非常に嬉しかったです。京都国際高校も明石商業相手に惜敗しましたが、良い試合をしました。京都のレベルが高い事で5番目に平安が選ばれました。京都全体の野球レベルを上げることも考えながら指導しているので、評価されたのは嬉しいです。手前味噌ながら、平安が強いと他の高校が我々を倒す為に頑張り、必然的にレベルが上がってくると思います。なので、秋の大会に関しては好循環に入ったと思います。いつまでも平安が京都の高校野球を引っ張っていかなければいけないと思っています」

──では、5年ぶり2回目の全国制覇をするために何が必要だと考えていますか。

原田監督「『適材適所で、役割をこなす』という頑固な組織が出来るか出来ないか、にかかっていると思います。組織が出来ると力になりますが、それが一つでも欠けてしまうと力にはなりません。まだ今年のチームは適材適所で役割をこなせる選手が少ないです。やんちゃな子、一生懸命やる子、怒られ役など、様々な役割の子が必要だと思います」

 2014年の選抜の優勝インタビューで、「私は平安が好きです。一番の平安ファンでもあります」と涙をぬぐった指揮官。「いつの時代も、高校野球の道具の変化やトレンドに対応するような野球をしなくてはいけない」と時代の変化に敏感だ。「HEIAN」のロゴをあしらったデザイン性の高いウェアを制作したり、伝統を守りつつも、時代に敏感な点も忘れてはいない。26年間の監督人生を振り返るとき、「高校野球が野球人生の基本であり、長く野球を続けて欲しい」というポリシーが、根底にはある。

──平成という時代を振り返ってみて、高校野球にとってはどのような時代だったのでしょう。

原田監督「野球界、スポーツ界が変わりつつあると思います。難しい時代になってきました。夏の暑さが昔とは根本的に違っているので、球数制限もそのような違いから出てきたものだと思います。休む時は休む、やる時はやる、というように練習の仕方や休み方を変えています」

──メディアの関心事にもなっているその球数制限について、どのような考えですか?

原田監督「球数制限については考えたくないです。大学をはじめとする上のステージで野球を続けることを前提にした場合、70から80球という球数制限では、(経験を積み成長を促すという意味で)十分ではないと思います。私の考えでは、制限をしなくても、故障はしないと思います。しっかりとしたトレーニングと、生徒のフォローが大切になってきますね」

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