「高輪ゲートウェイという長い駅名だと、緑の“次の駅”部分のデザインが崩れる」と能町みね子さん(中央)

 駅名が奇抜であること以外にも、駅名標のデザインが崩れることにも能町さんは苦言を呈する。

「例えば、田町駅の駅名標にも隣の駅として高輪ゲートウェイの文字が表示されます。長い駅名なので、表記するとデザインが苦しくなります。最近は多言語表記の駅名標も増えていますから、英語を併記したら駅名標がごちゃごちゃしてしまいます。こうした部分にも注目すると、高輪ゲートウェイという駅名はほかの駅にも影響を及ぼすことがわかります」(同)

 駅名撤回署名を受け取ったJR東日本は参考までに署名は受け取ったものの、高輪ゲートウェイという駅名を撤回する予定はないと断言。JR東日本の広報担当者は、言う。

「撤回署名を受け取る場には、鉄道事業本部営業部や総合企画本部品川大規模開発部の職員4人が立ち会いました。JR東日本では駅名を決定する際にそれなりの考査を経ていますが、4人は駅名の決定権者ではありません。あくまで、高輪ゲートウェイ駅の関連部署の担当者だから応対させていただいたということです」

 JR東日本の対応は、そっけなかった。1日でJR東日本には膨大な数の問い合わせ・要望・クレームが寄せられる。それらひとつひとつに、多大な時間を割いて対応することは物理的に不可能だ。JR東日本の態度は、仕方がない。

 実は、呼びかけ人の能町さんも、そして記者会見で同席した今尾さんと飯間さんも、今回の署名を提出したからといって、すぐにJR東日本が高輪ゲートウェイという駅名を変更するとは考えていないという。

「過去にJR東日本は国電をE電と呼び変えましたが、一般に普及することなく自然淘汰されました。私は一人でも『高輪駅と呼ぼう運動』を続けます。おそらく、地元の人たちも高輪ゲートウェイ駅と呼ばずに高輪駅と呼ぶでしょう。そうやって、草の根的に高輪駅と呼び続けることで、高輪ゲートウェイという駅名を自然淘汰できると考えています」(能町さん)

 1971年に新規開業した西日暮里駅から、約半世紀を経て開業する山手線の新駅。当初、JR東日本は2020年に暫定開業、2024年に正式開業としていた。現在は「2020年に開業。2024年に、まちびらきをするというスケジュールになっています」(JR東日本広報担当)と言う。

 鉄道事業者・地元自治体・住民などが駅名で揉めたケースはあちこちで散見されるが、高輪ゲートウェイ駅は全国屈指の知名度と影響力を誇る山手線だけに、注目度はまったく違う。

 まだ、まちびらきまでに5年ある。もしかしたら、もう一波乱あるもしれない。

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