優勝した琴勝峰(右)。大関・琴櫻(左)がパレードの旗手を務め大きな注目を集めた
東前頭15枚目の琴勝峰が13勝2敗で初優勝を果たした大相撲名古屋場所。千秋楽まで平幕3人に優勝の可能性が残されていたが、琴勝峰が星の差1つで追っていた東前頭筆頭の安青錦との直接対決を突き落としで制し、自力で優勝賜杯を手繰り寄せた。この展開により、舞台裏を含めた様々なドラマが生まれた。
千秋楽を迎えた時点で2敗の琴勝峰、3敗の安青錦と東前頭14枚目・草野に優勝争いは絞られていた。琴勝峰が安青錦に敗れていれば優勝決定戦までもつれていたし、さらに1番あとの草野が高安に勝っていれば、史上初の平幕力士3人による巴戦になるところだった。相撲担当記者が言う。
「執行部としては琴勝峰が一発で決めてくれてホッとしたのではないか。今場所は東西に横綱が揃いながら優勝争いに三役以上が絡めない番付崩壊となっていたが、その結果として新入幕の草野が優勝していたら、場所後の注目の集まり方は執行部にとって望ましいものではなかったでしょう。
草野が優勝していれば、史上3人目の新入幕優勝だった。初土俵から8場所目での優勝が実現していた場合、注目されるのが場所前に退職した元宮城野親方の白鵬(元横綱)になるのは間違いなかったでしょうから」