「影の総理」と呼ばれる菅官房長官(時事通信フォト)
ところが、選挙戦では二階派議員が現職知事を応援して麻生vs二階の代理戦争となっているうえ、古賀誠・元幹事長、山崎拓・元副総裁という福岡出身の自民党大物OBたちが現職支持に回って“麻生包囲網”が敷かれた。
「安倍晋三ですら(2012年総裁選で)3番と言われ、1番になった。すべてのマスコミの調査が間違っていた。それが選挙だ」
窮地の麻生氏は現職優位の報道にそう反論しているが、結果次第では党内の批判が噴出して副総理の座も危うくなりかねない。
島根県知事選も、選挙後に中央の政局に深刻な影響が出る。島根は「竹下王国」と呼ばれ、故・竹下登元首相が築いた地盤を実弟の竹下亘・前総務会長が継いだ。
だが、今回の知事選ではその竹下氏が擁立した候補を不服として、竹下系県議18人のうち14人が「地元のことはわれわれが決める」と別の候補を担ぎ出し、「地方議員の反乱」で竹下王国は崩壊の危機にある。
そのことが竹下派に衝撃を与え、派閥分裂を呼び込む可能性が出てきたのだ。同派若手議員がこう心配する。
「竹下会長は知事候補を擁立した後、食道がんで入院し、派閥の運営は幹部の集団指導体制で行なっている。島根で負ければ会長の求心力は下がり、そのうえ入院が長期化すれば後継者問題が浮上する。派閥分裂という事態だけは避けてほしい」